http://www.asyura2.com/11/hihyo12/msg/858.html
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2012/04/27
小沢さん無罪報道であなたのメディアリテラシー度をチェック!〜ニュースをつくると自負するNHKを例に
いや、テレビ各局、小沢無罪判決について、まさに、メディアリテラシーの重要性を実感させるようなとんでもない報道をしていますね。前回、予習の題材としておきましたが、皆さん、予習しましたか?お忙しい方もいると思うので、とりあえず、ニュースをつくると自負するNHK のニュースを例に挙げて、チェックしてみることにします。
【無罪判決 小沢氏違法認識と言えず】というタイトルのニュース(※1)です。
※1 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120426/k10014745551000.html
NHKのニュースの本文(一部のみ引用)は、次のとおり。
【26日の判決で、東京地方裁判所の大善文男裁判長は、「元秘書らは、小沢元代表の巨額の資産や金の出どころが明らかになると、政治活動に不利益になると考えた」と指摘し、元秘書らが収支報告書にうその記載をしたことを認めました。
また、小沢元代表と元秘書らとの日頃の関係などから、「元代表は、4億円を記載しないことなどについて、報告を受けて了承していた」と認めました。
一方で、小沢元代表が元秘書らと共謀したかどうかについては、「共謀があったことを疑う、それなりの根拠はあるが、元代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、違法だと認識していたとは言えない」と指摘し、小沢元代表に無罪を言い渡しました。】
さて、上記部分、私がデスクなら、突き返したと思う。あまりにも、タイトルにふさわしくない内容だからだ。そして、実は、各局の報道も同じ誤りを足並みそろえて行っている。こうなると、誤りなのか、故意なのか、わからないが…。
どこがひどいのか、ニュースだけ読んでいてもわからないかもしれないので、判決要旨を新聞各紙で確認してほしい。ネットでも紹介されているが、一部省略されており、ヒントにならないものが多いようだ。
本日、午後10時頃には、私なりの分析を示したいと思います。
あと、3時間ほどありますので、予習がまだだった人はぜひ、それまでにトライしてみてください。
2012/04/27
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【回答編】小沢さん無罪報道によって分かるあなたのメディアリテラシー度〜NHKニュースを題材に
すみません、本日は、理学療法士さんによるチェックがある日でした。回答編を作成し始めるのが遅れ、午後10時としていたアップ時期が遅れました。予習の具合はばっちりでしょうか?
予習の課題は、「無罪判決 小沢氏違法認識と言えず」というタイトルのNHKニュース(※1)を読む際、どこに注意をする必要があるか?ということでした。私なら、このニュース原稿は突き返すとまでかかせていただきました。
※1 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120426/k10014745551000.html
まず、このタイトルのもとでのニュースの内容は、「なぜ、小沢さんが必ずしも違法性を認識しているとはいえないという判断をしたか」ということになります。つまり、NHKのニュース自体にあるように、小沢さんが、「4億円を記載しないことなどについて、報告を受けて了承していた」ことまでは判決は認定しています。それにもかかわらず、なぜ、違法性の認識がない可能性があると判断したのかを視聴者に分かるように説明をしなければなりません。
ところが、このNHKのニュースは、この点、【一方で、小沢元代表が元秘書らと共謀したかどうかについては、「共謀があったことを疑う、それなりの根拠はあるが、元代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、違法だと認識していたとは言えない」と指摘し】、無罪としたというだけで、なぜ、【元代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、違法だと認識していたとは言えない】のかの理由について説明をしていないのです。私が原稿を突っ返すといった一番の理由はこの点です。
ところが、実は、判決はこの点を説明をしています。
その説明をする前に、なんと驚くべきことに、このNHKのニュースでは、収支報告書へ記載された「うそ」の内容そのものが説明されていないことを指摘しないわけにはいきません。「うそ」を書いた、「うそ」を書いたといってはいるが、いったい、何が嘘なのだろうか?その説明をしなければ事実が分からないにも関わらず、このニュースではそこに触れられていません。私が突っ返すといった理由の二番目がこれです。
まず、判決が認めた「うそ」の内容とは、小沢さんの資金管理団体「陸山会」の政治資金収支報告書について、【(1)元代表が04年10月に石川議員に手渡した4億円を記載せず(2)同月に土地を購入し代金を決済しながら05年分報告書に記載をずらしたこと】(毎日新聞クローズアップ2012 ※2)の2点だ。つまり、小沢さんが土地購入のために2004年10月に秘書に渡した4億円が陵山会の収入として記載されていないこと、(2)土地購入が実際には、2004年中になされていたのにもかかわらず、2004年度の報告書には記載せず、2005年度の報告書に記載した、ということだ。
※2 http://www07.mai.vip.ogk.yahoo.co.jp/select/opinion/closeup/index.html
(1)については、重要なポイントは、@実際に、土地購入のために使われた4億円はりそな銀行からの融資であったこと、つまり、小沢さん個人が出した4億円は支払いには使われなかったこと、A小沢さん個人が出した現金は、りそな銀行から融資を受けるための担保としてりそな銀行に定期預金とされたこと、B判決要旨(毎日新聞4月27日9面掲載)によると、「元代表は、04年分の収支報告書において、借入金収入として、りそな銀行からの4億円が計上される代わりに、自身の4億円は計上される必要がないと認識していた可能性がある」ということだ。
ちょっと、わかりにくいが、判決が指摘しているのは、【小沢さんは、自分が秘書に渡した4億円は自分名義でりそな銀行に預金され、それを担保としてりそな銀行から陵山会が、4億円を借り入れたと考えていた可能性がある】ということだ。
この点、上記毎日新聞は、より明確に判決を引用している(判決はまだ紙にはなっていないので、法廷でのメモによる)。【4億円についても「元代表が土地購入原資とならず、同額の銀行融資における担保(定期預金)となったと認識し、報告書への計上の必要性を認識していなかった可能性がある」と判断。「元代表が違法性を認識していたと断定できない」として、刑事責任を否定した。】
そうであれば、4億円は、陵山会の収入として記載する必要はまったくないことになる。あくまでも、借り入れを行うための担保として小沢さんが銀行に提供しただけということになるからだ。
ここで、預金を担保として借り入れをすることについて、不思議に思う人もいると思うので説明しておきます。つまり、「預金を担保に金を借りて土地を買うくらいなら、預金にする金で支払ってしまえばいいのではないか」という疑問に対する答えです。
手元の現金を支払ってしまうと、もう、その現金は、手元からなくなります。でも、担保として提供しておくだけなら、担保からはずせば、いつでも自由になるお金になります。今回のような不動産売買が典型です。良い不動産があるが、購入する不動産を担保として購入するためには、銀行の決済で時間がかかるため、ほかの人に売られてしまう可能性がある。そこで、とりあえず、手持ちの現金(たとえば4億円)を定期預金にして、それを担保として現金(たとえば4億円)を借り入れして不動産の代金とし、後ほど、購入した不動産を担保とすれば、預金は担保からはずれるため、自由に使うことができるわけです。預金担保はすごく使い勝手がいいわけです。
というわけで、うその(1)については、預金担保の名義が「陵山会」ではなく、自分であると勘違いしていた可能性「など」(=ほかの説明もあり得ると思う)があるということです。というか、本来、小沢さん個人が担保提供するのであれば、小沢さん個人の名義で行うのが普通です。ですから、小沢さんがそのような誤解をしていた可能性はかなり大きいと思われます。
次に、うその(2)ですが、この点は、判決要旨(上記毎日掲載)に、「元代表は土地の所有権取得時期や残代金の支払い等の決済時期を含めた決済全体を遅らせるものとして報告を受け、認識していた可能性がある」としている。つまり、秘書らの報告自体が間違っていた可能性(あるいは誤解させるような説明ということだろう)があるということだ。これはそのとおりだろう。
この点も毎日はより明確な引用をしている。【石川議員は土地購入を05年分収支報告書に記載するため、実際の登記や代金決済日を05年に遅らせようと、元代表に説明した上で不動産業者と交渉。結果的に決済繰り延べに失敗し虚偽記載に至ったが、判決は「元代表がこうした経緯を正確に認識しておらず、支払いを(石川議員の説明通り)05年だったと思った可能性がある」と推認した。】
ここまで説明してようやく、なぜ、判決が、取引について報告・了承までは認めながら、違法性の認識がない可能性があるという判断をしたのか、ということの説明になるわけです。
ここで、小沢さん個人の預金担保ということが分かるとまずいので、小沢さん自身、陵山会名義の預金にするということを明確に認識していたのではないか、という疑問もあるだろう。しかし、陵山会名義で4億円の預金があるということが発覚した場合、結局、その預金の出所はどこだ、ということになるため、陵山会名義で預金担保する必要はない。よって、あくまでも小沢さんが4億円の現金を持っていることを収支報告書に記載しないというだけの話になり、それならば、小沢さん名義での預金であっても、陵山会名義の預金であってもいいわけだ。そして、政治家の資産公開には現金は含まれておらず、小沢さんが4億円を現金でもっていたこと自体は政治倫理上も何ら問題にならない。
というわけです。これらのことは、私が言い出したことではなく、小沢さんの起訴自体、不当だという議論の中でも触れられています。判決でそのことがより明確になったにもかかわらず、マスメディア(特にテレビ)は、この合理的な判決の判断を説明せず、一方的に「小沢ほとんど黒」などというコメントをさせているのです…。
小沢さんに対する起訴の内容はまったく立証されていないわけですから、これは立派な白だということになります。
黒に限りなく近い、判決はおかしい、などというテレビコメンテーターがいたら、すぐに電話をかけて、預金担保のイロハから教えてやってください(笑)。
あなたのリテラシー度はどうだったでしょうか?質問などは、コメント欄に残してください。
【補足】
メディアをチェックするための3原則(@誰が得をするか、A不合理な内容があるか、B金の流れに着目)という点からは、@は検察ですね。普通の国なら、検察が虚偽レポートを作成したことを激しく糾弾するでしょうね。これって、普通の国にはあってはならないこと。Aは、検察に対する批判が異常といえるほど弱い。もし、これが中国で起きていたら、つまり、政治家が検察の暴走によって陥れられたら、いかにひどいことかを詳しく書くはずです。B今回は金の流れはあまり関係ないけれども、預金担保などの点で正確な流れを把握する必要がありましたね。
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