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「ミドルメディア」で日本の言論界が変わる(2)/茂木健一郎(脳科学者)、上杉 隆(自由報道協会代表)
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20120418-03-1401.html
2012年4月18日 VOICE
■「日本人はもう二流以下の仕事しかできない」
上杉 会議では、議論の仕方が日本とは決定的に違うと感じました。欧州中から参加者がいて、原発賛成派が6割ほど、反対派が4割ほどいるなかで、互いの意見を表出し、また共通項を探るという作業が行なわれたのです。結果、「放射能は危険」「子供は放射能に対して耐性が弱いので、避難をさせたほうがいい」「除染は基本的にできないこともある」という3点が共通事項だとわかりました。日本では、こういった議論さえできない。「原発反対=放射能は危険という人間」、「原発推進=放射能は危険ではないという人間」と決めつけられる。原発問題と放射能の問題は別なのに、一緒くたにされてしまうんです。言論界のトップにいる人間ほど、そのような単純なものの見方しかできません。ちなみに僕は、原発容認派で放射能は危険という立場ですね。
茂木 日本の言論自体、国際的な影響力がないよね。だから本当に悲しいよ、この国の将来を思うと。というのは、モノづくりが世界最高の付加価値をつくる時代はすでに終わっていて、いまは情報や思想といったものが付加価値を生む時代になってしまっている。ツイッターやフェイスブックも、一つの思想の塊です。もう日本全体が、国際競争力をなくしているんだよね。経営コンサルタントの波頭亮さんは、この状況を「日本人は二流以下の仕事しかやることがなくなっている」と表現しています。こうなった戦犯は、はっきりいって日本の文部科学省でありマスメディアだと思うよ。
上杉 波頭さんは、1980年代からすでに警鐘を鳴らしていましたよね。その波頭さんが、言論界の中心にいないわけですから、この国は。
茂木 上杉さんは昔、NHKにいたんだよね。ツイッター上で「上杉隆はNHKの記者ではなかった」とかいっている人がいるけれど、こういった批判をみると「ああ日本人的だな」と思ってしまう。日本人は、アルバイトや契約社員をバカにするメンタリティーがあるんだよ。なぜ正社員と区別するのか、僕には理解できない。
上杉 僕は、正確にいえば記者内定、辞めたあとですが当時の上司とも相談して「記者」とは決して言わず、ずっと「NHK報道局勤務」と言うようにしています。
茂木 報道に関わったという事実があれば十分でしょう。何をしたかが重要なのに、日本人は肩書で判断する。雇用に関していえば、そもそも新卒一括採用というシステム自体が、日本の国際競争力を削いでいる原因の一つだよ。
上杉 そんなくだらない制度はやめたほうがいい。メディアに関していえば、海外では「契約」が普通です。むしろフリーのほうが、自分の実力でやっていけるということで敬われる。でも日本人は権威に弱く、またすぐにレッテルを貼る。メンタリティーが弱いのです。要するに、新しい考え方に恐怖を感じて攻撃するんですよ。
茂木 日本のなかで「俺たちは偉い」と威張っているエリートは、日本というタコツボのなかで威張っているだけ。いまや東京大学もそう。彼らエリートは、対立的な構造のなかで鍛えられていないから、国際競争力がまったくない。海外へ出たら小さく縮こまっている。
上杉 日本が外交下手というのもそうですよね。むしろ、これまで国内で軽んじられてきたアニメや漫画のほうが、国際競争力がある。
茂木 そう! アメリカから帰りの機内で『エヴァンゲリオン』の最新作をみたんだけど、感動して泣いちゃった。アニメは国際的にみて本当に輝いている。
日本は新しい道を開拓するしかない。いまのエリートに可愛がられても意味がないことを認識しなければいけないね。日本が再生するには、これまでの成功の方程式から外れるしかない。
上杉 日本で成功するということは、世界で失敗するということ。逆に日本で失敗すると、世界で成功するかもしれない。
茂木 そのとおり!
■体たらくなメディア界を改革するには……
上杉 自由報道協会では、記者クラブに対するアプローチを二つ採っています。一つは協会が独自に記者会見を行なうことで、情報空間を多元化しようとすること。もう一つは、フリー記者などが記者クラブ主催の会見に出席できるよう、政府に申し入れをしていることです。自由報道協会は公益法人の申請中で、現在は非営利の社団法人になっています。自由報道協会は既存メディアと違って、1円たりとも稼いでいないし、また会計も含めてすべての情報をオープンにしています。こんな公益性の高い団体を排除する理由は見当たらないはずです。
茂木 僕は本筋しかみていない。要するに、上杉隆や自由報道協会が、日本のメディア界のなかで何をやろうとしているかということ。いまの体たらくなメディアを改革しようとしているのだから、断固応援するよ。上杉隆を批判する人たちは、どうでもいい細かい齟齬を突いて、重箱の隅をつつくように文句をいうよね。それは結果として、現状維持に加担していることにしかならないことに、なぜ気づかないのか!(怒)
上杉 そういう人間は、時間があれば別ですが、基本的には放っておいて構わないと思います。次の僕の目標は、メディアをつくって、より日本の言論空間を多様化させるための作業を行なうことです。メディアを含め日本を変えるには、この作業を地道にやっていくしか道はないと思います。
茂木 上杉さんと同じようなことをしようとしているのは、メディア・アクティビストの津田大介さんだね。彼も新しいメディアをつくろうとしている。
上杉 いわゆる「ミドルメディア」ですね。マスメディアと、ブログやツイッターといったパーソナルメディアの中間にあるメディアです。じつは、先駆者は堀江貴文さんです。津田さんや僕は、そのずっと後継に当たります。いま日本の言論界は、記者クラブ制度があるために、放送と通信が完全に分かれていますが、世界はとっくに融合が終わっていますよ。この二つが融合するためには、いったんミドルメディア的なものが出現するほかないのでしょう。
茂木 いま影響力があるミドルメディアは、ドワンゴが運営する「ニコニコ動画」ですね。これは日本の希望だよ。視聴者がコメントを投稿できて、それが画面に流れるのは、日本発の素晴らしいイノベーションです。
上杉 岩上安身さんの「IWJ」もあります。近年では川上量生さんのドワンゴ、岩上さんのそれが先駆ですね。また津田さんが設立した「ネオローグ」も、私の提唱している「NO BORDER」も同じミドルメディアの流れに当たります。そういったものがたくさんできて、連携なり融合を加速させればいい。じつは津田さんが初めて出演したテレビ生放送は、僕が司会を務める朝日ニュースターの『ニュースの深層』だったんです。浅草キッドの水道橋博士に教えられて彼の本を読み、「この人はすごい」となって依頼したのです。
茂木 いまツイッターをいちばんうまく使っているのは、津田さんだよね。
上杉 メディアでの舞台回しが非常にうまい。天才的です。実際、僕が番組を休んだときに、代わってもらったこともあります。僕よりはるかにうまかった。(笑)
茂木 ライバルの物語があったほうが盛り上がるから、上杉隆と津田大介はライバルだという絵を描こうよ。
上杉 いま、メールマガジンサイト「まぐまぐ」で、メルマガ配信数の第1位は断トツで堀江貴文さんです。2位と3位は、僕と津田さんが争っている感じ。先日、彼に会ったときに「いまは俺が2位だね」といったら彼は、「僕はもう一つメルマガをやっているので、それを合わせると僕が勝ちです」って。(笑)
茂木 やっぱりライバル意識があるんだ(笑)。どんどん盛り上がってほしい。こうなってくると、日本のメディアの今後も楽しみだな。
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