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「鳩山外交」を読み解けぬ天声人語と社説のから騒ぎ
http://60643220.at.webry.info/201204/article_3.html
2012/04/11 23:30 朝日新聞 読後雑記帳
イランを訪問して大統領と会見して帰国した鳩山由紀夫元首相が、たたかれている。きょう(11日)の朝刊は、天声人語と社説がタッグを組んで批判している。天声人語は「そろそろ晴耕雨読はいかがだろう」と鳩山氏に政界引退を迫り、社説は「鳩山首相はもう、見ていられない。お騒がせはもうたくさんだ」とこきおろしている。
どちらも軽薄で後味の悪い文章だ。天声人語は、読者の下品な川柳を借りて、「出てきては政治を引っ掻き回すハト」「口害が糞害よりもひどい鳩」などと皮肉り、「のこのこ出かけ、海千山千の相手に鴨葱(かもねぎ)を地でいくように利用されかけた」と冷笑を浴びせている。社説は、もっと悪意に満ちている。「いったい何をしに、イランに行ったのか」「さっぱり意味がわからない」「のこのこと出かけて行くのは百害あって一利なしだ」「そもそも、鳩山氏は外交を何だと心得ているのか」「もう外交にしゃしゃり出るべきではない。お騒がせは、たくさんだ」などと最大級の悪罵を連ね、その挙句に、普天間移設、訪中議員団、母親からの政治資金、議員辞職撤回発言など、イラン訪問とは関係のないことまで引っ張り出している。
(引用開始)
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【天声人語】2012.4.11
イランに痛い目に遭わされた一人にカーター元米大統領がいる。在任中に米大使館員人質事件が起き、救出作戦は無残に失敗した。「弱腰大統領」の烙印(らくいん)を押され、2期目の選挙でレーガン氏に惨敗する▼だが退任後は、特使などで世界を飛び回って紛争解決に努めた。平和と人権を重んじ、指導者と差しで話し合うのを持ち味とした。ノーベル平和賞を受けたとき、かつての色あせた評価は「ホワイトハウスを去ったあと最も尊敬される元大統領」の称賛に変わった▼そのカーター氏に倣(なら)おうとしたかどうか。鳩山由紀夫元首相が政府の中止要請を振り切ってイランに出かけた。そして一騒動あった。鳩山さんが国際原子力機関を批判し、(核開発の進む)イラン寄りの発言をしたと、先方の大統領府が発表した▼日本国内では「宇宙人」でも国際的には元首相の肩書は軽くない。結局発言は削除されたそうだが、後味は苦い。のこのこ出かけ、海千山千の相手に「鴨葱(かもねぎ)」を地でいくように利用されかけた▼今回ばかりではない。鳩山さんは退陣後も川柳欄をにぎわす人気者だ。〈出てきては政治を引っ掻(か)き回すハト〉〈口害が糞(ふん)害よりもひどい鳩〉。まだまだある。政治のごたごたに一役も二役も買ってきた証しである▼思えば鳩山さんもカーター氏も愛と善の人だろう。だがカーター流のリアリズムを欠いては、ただの好人物になってしまう。僭越(せんえつ)ながらそろそろ晴耕雨読はいかがだろうとも思う。全国の川柳家に惜しまれながら。
【社説】2012.4.11鳩山元首相―もう、見ていられない
これは外交とは言えない。
鳩山元首相はいったい何をしに、イランに行ったのか。残ったのは「言った、言わない」の空騒ぎだけだ。
イラン大統領府は、アフマディネジャド大統領との会談で、鳩山氏が「国際原子力機関(IAEA)はイランなど一部の国に二重基準を適用しており、公正ではない」と語ったと、ホームページに掲載した。
これに対し、おととい帰国した鳩山氏は「完全な捏造(ねつぞう)だ」と反論した。結局、在日イラン大使館は鳩山氏に謝罪し、該当部分を削除した。
いま、イランの核開発は、国際社会の最大の懸案の一つだ。軍事衝突も招きかねない緊張状態にある。今週にはG8外相会合や、国連安全保障理事会の常任理事国など6カ国とイランとの協議も予定されている。
もし、鳩山氏が核開発への日本政府の考え方を伝える特使だったのなら、微妙な時期の訪問もまだわかる。だが、首相や外相の中止要請を振り切って行った。そして「首相経験者として国益のために働くことができるのではないかという思いから、このタイミングで行かせていただいた」と説明するだけだ。
さっぱり意味がわからない。
もとより、議員外交の重要性は認める。政府間の関係が悪化したときに、議員交流で信頼関係を修復する。軍縮など政府の腰が重い分野で、各国の議員が連帯して政府の背中を押す。そんな効用は間違いなくある。
だが、現下のイランに、のこのこと出かけて行くのは百害あって一利なしだ。案の定、「日本がIAEAを批判している」と吹聴されかけた。
そもそも、鳩山氏は外交を何だと心得ているのか。
沖縄の米軍普天間飛行場の県外移設を宣言し、米大統領に「トラスト・ミー」と言った揚げ句に断念した。その際に「米軍の抑止力」の必要性を語ったが、首相退任後には「方便」だったと述べて国民を驚かせた。
先月も、民主党訪問団と同時期に訪中し、習近平国家副主席とそれぞれ会談していた。あれも何だったのか。
鳩山氏は首相退任時に公言した「任期限り」の議員辞職を撤回している。一方で、母親から毎月1500万円をもらっていた件は、秘書の有罪確定後もだんまりを決め込んでいる。
こうした言動が、国民の政治不信を増幅させ続けている。
それでも対外的には「元首相」の肩書は重い。もう外交にしゃしゃり出るべきではない。お騒がせは、たくさんだ。
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(引用終わり)
天声人語と社説に共通する批判は、@政府の中止要請を振り切ってイランを訪問した、A大統領との会見でイラン寄りの発言をした、Bその発言は否定されたが、残ったのは「言った、言わない」のから騒ぎだけだ、というものである。しかし、これがどうしたというのだろう。から騒ぎをしているのは、天声人語と社説のほうなのである。まるで、国際情勢を知らない素人政治家が元首相の肩書だけでスタンドプレーを演じ、その結果、周囲に迷惑をかけ、日本の外交を混乱させているかのような書きっぷりである。しかし、迷惑も混乱も、どこでも生じていない。国益を害するような失態も、どこでも演じられていない。
むしろ、真相はその逆である。以下は私見である。
<じつは鳩山氏のイラン訪問は、国益に反するどころか、資するはずのものであった。日本向け原油確保の保証をさぐることが目的だった。イランは日本にとっては第3位の原油輸入国である。だから、それは、政府と財界の強い意向でもあり、つまり日本の国益にかかわる重要なミッションであった。しかし、イランに対して強行姿勢を強めるアメリカとの関係もあり、日米の共同歩調を乱すような単独行動は起こせなかった。そこで、そのような流れと空気に乗っかる形で、鳩山氏が動いたのである。事前に知らされた首相以下、政府首脳は鳩山氏に中止要請はした。しかし、アメリカの手前のポーズといっていいような形式的なものだった……>。
会見での発言問題は、鳩山氏の抗議に対してイラン大使館が謝罪し、一見落着している。だから、鳩山氏のイラン訪問は、天声人語と社説に批判を浴びせられるような話ではない。それが証拠に、外相や官房長官のコメントは、鳩山氏の出発前も帰国後も形式的なニュアンスのものでしかない。ほんとうに由々しきことなら、鳩山氏の処分(党最高顧問の役職を解くだけでなく党除名や党員資格停止)に発展してもおかしくない。しかし、そうはなっていない。
朝日新聞の論説委員たちは、鳩山氏がいまも小沢一郎氏と政治行動を共にすることが許せないのである。小沢氏とともに政界から消えてほしいのである。だから、ことあるごとに鳩山氏を批判してきた。きょうの天声人語と社説のタッグによる往復ビンタ的批判もその延長線上にある。最盛期の小沢バッシングを思い出させる。そして、鳩山氏のイラン訪問の真意を読み解けず、から騒ぎを針小棒大に書きたてる浅薄さに呆れる。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、と言わんばかりの文章しか書けない論説委員たちを哀れに思う。朝日読者の朝日離れはきょうもまた、加速したことだろう。
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