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株式日記と経済展望
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放送で広告収入を得るために、地上波放送では視聴率が使われて
いますが、今の視聴率は極めて怪しげな方法でカウントされています。
2012年3月31日 土曜日
◆民放がネット配信に消極的なのは視聴率を粉飾しているから 3月30日 多田光
http://blogos.com/article/35374/
新しく就任した民放連会長の井上氏がNHKに番組のネット同時配信をしないで欲しいという発言したことに対して私のTwitterのTLでは「なぜNHKのやることに民放が反対するのか」「民放もネット配信すればいいだけ」という批判の声がたくさんありました。
以前"「ちょっと何言ってるかわかんないです」〜民放連がNHKのネット配信に反対する理由"という記事を書きました。この記事は民放連が発表した反対理由があまりにも意味不明でおもしろすぎたので晒すために書いたのですが、ここに書かれた意味不明な反対の理由は飽くまでも建前です。
なぜNHKがネット配信をすると民放が困るのか民放の立場になって反対する理由を推測したいと思います。まずNHKがネット配信をすると何が困るかというと視聴者がNHKを見る機会が増えることです。そうすると人の可処分時間は限られていますから地上波の民放を見る機会が減少します。すなわち民放の視聴率が減少するわけです。ましてやNHKオンデマンドが無料で見放題になれば一大事です。
「NHKがネット配信をしたら困ると言うなら、民放も対抗してネット配信すればいい。そうすればむしろ視聴者の視聴機会が増えてテレビとネットを合わせた視聴率が向上するじゃないか。」と誰でも思うはずです。しかし民放にはネット配信に積極的になれない理由があります。民放が番組のネット同時配信を広告収入による無料放送で行おうとすると非常にまずいことが起こります。
放送で広告収入を得るためにはどれくらい放送が視聴されたかの指標が必須です。地上波放送では視聴率が使われていますが、今の視聴率は極めて怪しげな方法でカウントされています。
例えば調査対象になる世帯を選ぶ時に以下のような条件があります。
・固定電話がある世帯
・テレビがある世帯
・調査に協力してくれる世帯
今の時代はこれらの条件を満たす世帯は昔と比べてかなり減ってきているので、偏ったサンプリングにならざるを得ません。特に無作為に抽出した世帯がテレビを持っていない場合でも、その世帯をサンプルしなければならないはずです。
さらに世帯視聴率というものにも問題があります。
視聴率には世帯視聴率と個人視聴率があります。普通は視聴率といえば世帯視聴率のことを意味しています。世間に公表される視聴率もこの世帯視聴率です。しかしこの世帯視聴率という指標は調査対象の世帯の中で一人でも見ていればカウントされるので、ある世帯で一人だけが見ている場合はその世帯の分の世帯視聴率は個人視聴率より家族の人数分だけ掛け算した値になります。家族全員がテレビを見て初めて個人視聴率と世帯視聴率が一致します。本来、視聴率というものは個人視聴率でないと意味がありません。世帯がテレビを見るわけではないのですから。
このような調査方法では結果的に視聴率が粉飾されているということになります。
もし地上波のテレビ局が広告収入による無料放送でネット配信を始めると、ネットでどれだけの人が見ているかという指標は普通は視聴者数で視聴率という指標はむしろ不自然です。ニコニコ生放送やユーストリームでもリアルタイムで正確な視聴者数がわかります。ネット配信の視聴者数と地上波の視聴率×人口でスポンサーが同じ広告料を払うとした場合、視聴率が粉飾されているのでネット配信の広告料のほうが少なくなるはずです。さらに人の可処分時間は限られているのでネット配信を見るということは地上波を見なくなるということに他なりません。つまりネット配信に積極的になればなるほど広告収入が増えるよりも減る可能性のほうが高いということになります。
自分たちは視聴率の粉飾がバレるネット配信に移行したくない、しかしNHKだけ抜け駆けでネット配信されたら視聴者は便利な方に流れていくからそれも困るということでしょう。
逆にNHKは視聴率は収入に関係無いですし、テレビを持っていなくてもネットユーザーから受信料を取れるかもしれないという動機があるのでネット配信に積極的だと思います。(NHKオンデマンドに民放連が独立採算でやれと文句つけたりしているのであまり進んでいませんが)
ちなみにテレビ局がネット配信する場合、上述のように無料広告放送モデルでは地上波での視聴率の粉飾がバレてしまいますが、有料配信ならスポンサーは必要ありませんので、地上波の視聴率の粉飾という既得権に抵触せずに済みます。なので民放が行うネット有料配信についてはアクトビラや4月から始まるもっとTVなどがあります。
というわけで民放がネット配信に消極的なのは、自分の既得権を守る合理的な判断であるということです。
(私のコメント)
最近のテレビ番組は2時間から3時間に及ぶ特別番組が多くなりましたが、特にバラエティー番組などは1時間番組でも3時間番組でも製作コストはたいして変わりがありません。収録に3時間も4時間もかけても放送されるのは1時間に編集されて放送されていましたが、2時間や3時間番組として編集しなおせばいいだけの話です。
「株式日記」でもよく紹介している「たけしのTVタックル」にしても青山繁晴氏や西尾幹二氏などが言っていましたが、発言したことの9割がカットされてしまっているそうです。時間的な制約もあるし面白いシーンだけを抜き出して編集しているのでしょう。だから多くのバラエティー番組は1時間番組でも3時間番組でも製作コストはたいして変わりがありません。
なぜこのようになったかと言うとCM収入が大きく落ち込んでしまった為に製作コストの引き下げが行なわれているからです。広告収入が減ってしまったのは不景気なせいもありますが、ネット広告などへのシフトもあります。ならばテレビもネット放送にシフトすればと思うのですが、民放はあまり積極的ではなりません。
民放でもBSやCSなどには有料テレビ放送がありますが、赤字経営が多くて採算的に難しいようです。BSが韓流ドラマばかり放送しているのもコストがほとんど只の為ですが、数パーセントの視聴率が取れればスポンサーもつく。しかしこのような事をしていれば、ますますテレビ離れが進んでネットやスマホに時間を費やすようになるでしょう。
多田氏の記事にもあるように民放がネット配信に消極的なのは、ネットで配信すると視聴率が正確に出てしまって営業上まずいことになるようです。昔はテレビと言えば今に一台あって家族が揃って見るという形式でしたが、携帯電話で個人単位になったようにテレビ視聴も個人単位になっている。ワンセグでも見ることができるから視聴も多様化している。
「株式日記」も毎日の読者数が出るようになっていますが、テレビ番組でも視聴者数がリアルタイムでカウントする事が出来ます。そうなると従来の視聴率の誤魔化しがばれてしまうからネット放送に消極的になってしまうのだろう。しかしネット放送はアクセスログを解析していけば、どこで誰が何人くらい見ているかが分析ができるから効率的なCMが出来るはずだ。
このままでは日本のテレビ放送は、アップルテレビやグーグルテレビに切り替わっていくのではないだろうか? 今までは1億円の番組スポンサーが付いても電通や在京テレビ局がピン撥ねして、下請けプロダクションに回される費用は1000万円以下と言うことですが、これではいい番組が作れるわけがない。
いずれはテレビもネット配信が普通になり、24時間分の放送が数秒でダウンロードできるようになる。だからスカイツリーのような電波塔もいらなければ、放送衛星も打ち上げる必要もなくなり、光回線で高画質の放送が受信できる。難視聴の所や外国の放送は衛星放送になるのでしょうが、ネット放送になれば世界中のテレビ放送が一つになる。
ユーチューブも一種のデマンド放送ですが、在来のテレビ局は録画されて違法にアップされた番組を消しまくっている。しかしいずれはユーチューブに配信チャンネルを設定して放送するようになるのではないだろうか? 多田氏は「民放がネット配信に消極的なのは、自分の既得権を守る合理的な判断であるということです」と書いていますが、在来のテレビ放送は廃れていくのだろう。
これからのテレビ放送は多チャンネル化して特定の視聴者を絞った放送が有料化に成功している。視聴者も自分の見ない番組ばかり放送している総合放送は見ないが、アダルトチャンネルやアニメチャンネルやスポーツチャンネルなど特化すれば有料でも見たいと言う人は多い。そのような視聴者は再放送でも何度も見るから意外と番組コストはかからずに済むだろう。
今まで私もビデオレコーダーで録画して見ていましたが、見たい番組がいつでも放送されていれば録画する必要もない。現在でもユーチューブなどで見たい番組を見たい時に見ていますが、テレビ放送がビデオオンデマンドになれば、録画して見る必要もなく録画機もDVDも要らないのだから有料化しても有料テレビ放送は成り立つ。
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