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拝啓 古館伊知郎様 3月11日の報道ステーションスペシャルにて、あなたが以下のような決意表明をなさったとのこと、インターネットの複数のブログにて知りました。
****報道ステーションではスペシャル番組として、去年の12月28日の夜、原発の検証の番組をお送りしました。「津波で原発が壊れたのではなく、それ以前の地震によって、一部第一原発のどこかが損壊していたのではないか」という事を、その追求をしました。
今回、このスペシャル番組で、その追求をする事はできませんでした。「原子力ムラ」というムラが存在します。都会は、こことは違って、まばゆいばかりの光があふれています。そして、もう一つ考える事は、地域で、おもな産業ではなかなか暮らすことが難しいという時に、その地域を分断してまでも、積極的に原発を誘致した。そういう部分があったとも考えています。
その根本を、徹底的に議論しなくてはいけないのでしょうか。わたしはそれを強く感じます。そうしないと、今、生活の場を根こそぎ奪われてしまった福島の方々に申し訳が立ちません。わたしは日々の報道ステーションの中で、それを追及していきます。もし圧力がかかって、番組が切られても、わたしはそれはそれで本望です。(以上、ブログ「晴天とら日和」様より部分的に引用*******
私は当該の番組を見ておりませんでしたが、まずはそのご決意に敬意を表します。しかし、一方で少なからぬ疑念を抱いていることも事実です。その最大の理由は、あなたがご指摘の「原子力ムラ」にマスメディアも入っていることをきちんと認識されているのかどうかが不明だからです。原発問題はこの部分を理解することなしに語ることはできません。
当ブログでは再三再四、しつこく指摘をしていますが、マスメディアには広告という形で多額の金が原子力産業から流れております。マスメディアの最大の収益源である広告収入は、2000年代の半ば以降、急激に下がり始めました。つまり、これまでのように広告枠の高額販売(ボロ儲けともいいます)ができなくなってしまったのです。
しかし、これはある意味では仕方のないことです。これまで寡占市場の中で高止まりしていた(メディア側が価格決定権を握っていた)広告価格は、ネットの登場で競争市場となってしまったのです。結果、いわゆる神の見えざる手が働き、マスメディアの広告価格は右肩下がりの調整局面に入ってしまいました。
ところが、そんななかでも電力会社はずっとメディア側の言い値(定価です)を守って広告を気前よく出稿してきました。それは電力会社が総括原価方式を採用しているからこそできる芸当ですが、それとともにマスメディアを原子力ムラに引き入れるためでもありました。そうしたなかで、福島第一原発の破局事故が起きたのです。
あなたもご記憶だと思いますが、あの事故からしばらくして、東京電力がお詫び広告を大々的にテレビに出稿しました。そして、あのCM枠をテレビ局は従来通りの定価で売った可能性があります。つまり、東京電力がこれから賠償金で経営的に大変なことになるのはわかっていたにもかかわらず、テレビ局はまったく値引きをせずに東電からカネを受け取っていたかもしれないのです。
ちなみに、この点をフリーランスの記者から会見で問われた東電は、私契約ということでその金額については一切答えませんでした。古舘さん、もしあなたが本当に原子力ムラを追及するおつもりがあるのなら、まずは自らの足元、つまりテレビ朝日がこのCMをいくらで受けたのかを調べて公表してはいかがでしょうか?
調べること自体は簡単です。毎日、通っているテレビ朝日の広告担当部署へ行って、料金を聞けばいいのです。さらにもう一つ、取材ネタを提供いたしましょう。現在、政府は除染、そして震災瓦礫の広域処理を進めようとしております。しかし、この二つともが効果を疑問視され、また非常に大きな利権があると言われております。つまり、大変に問題のある政策なわけですが、しかし政府はこれを強引に進めようとしており、マスメディアを使っての広報に力を入れ始めています。
環境省では来年度、除染15億、震災瓦礫の広域処理15億の広報予算を組みました。本日、16時半から、環境省でその説明会が広告会社を相手に行われ、月末にはコンペがあります。広告会社は環境省の意向を聞いて、各社独自に広報のプラニングを立てていきます。当然、その筆頭はマスメディアに対する広告出稿他、さまざまなアプローチ(記者を現地へ連れて行って説明会をするなど)です。
この場合、もちろん常日頃から政府のやり方に批判的なメディアは、どの広告会社もプラニングから外すでしょう。当たり前の話ですが、政府の政策に好意的なメディアが選ばれる(=広報予算という血税を手にすることができる)ことは言うまでもありません。
先日は、読売新聞が「震災瓦礫を自治体は受け入れるべき」という社説を書きましたが、昨日(つまり説明会が行われる前日)は、朝日も同様の社説を書きました。ちなみに、政府広告も東京電力と同じく定価です。私には、いま15億+15億=30億の血税分捕り合戦がマスメディアの中でも始まっているように見えます。古舘さん、あなたはこの構図に斬り込むことができるでしょうか?
あなたは「圧力がかかって番組が切られてもいい」とおっしゃいました。しかし、本当の圧力というものは、そんな生やさしいものではありません。本当に原子力ムラという虎の尾を踏んだら、番組を下ろされるぐらいではすまず、小沢一郎のように権力によって嵌められることすらも十分あり得るでしょう。それも覚悟の上だというのならば、私はあなたに期待したい。
しかし、それができないようならば、むしろあなたは原子力ムラから、国民のガス抜き要因として使われるだけとなってしまいます。霞が関の官僚を中心とした日本の統治システムの優れたところは、自民党が一党独裁で君臨しながら、民主主義国家を偽装するため、社会党や共産党といった反対勢力を制度として組み込んでいたことです。
つまり野党は予定調和の反対勢力だったのです。岡庭昇氏が「合意のファシズム」と呼ぶ所以です。このシステムに本気で挑もうというのならば、繰り返しになりますが、小沢一郎のような目に遭うことも十分、計算に入れておく必要があります。古舘さんに、そこまでのご覚悟があるのかどうか……。私としては今しばらくそれを見極めさせていただきたいと思います。
http://fusenmei.cocolog-nifty.com/top/2012/03/post-c214.html
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