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(日刊ゲンダイ2012/2/28)
今テレビ放映中の「運命の人」のモデル西山事件の反省もなく国家権力の手先となって個人の抹殺を煽るこの国のメディアへ怒りと不信 写真 さんざん叩きながら、よくもヌケヌケと… 特捜部長以下がお縄≠ノなる可能性も 小沢裁判をウオッチし続けているジャーナリストの魚住昭氏はそう言った。 それにしても、こうしたメディアの右往左往を見ていると、その体質がよく分かる。どちらが正義かで揺れるのではなく、「どっちが有利か」で動くのだ。つまり、いつも権力者=強者のにおいがする方向へとなびいていく。「権力者の監視」が仕事なのに、「走狗」に成り果てている。それが大マスコミの実態だ。 法大教授の須藤春夫氏(マスコミ諭)が言う。
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嵐のような小沢犯罪報道は何だったのか
なぜ謝罪しないのか大新聞テレビ
もし無罪判決ならどう釈明するのか、どう責任を取るのか見物だ
何も証拠がないのに検察の尻馬に乗ってさんざん小沢一郎の犯罪を書き立てていたが、九分九厘無罪となった今になって大々的インタビューで自分たちの行為をごまかそうとしている
この国の大メディアはホント、身勝手、厚顔、恥知らずだ。あれだけ、民主党の小沢一郎・元代表を叩いてきたくせに、今や、豹変。
小沢にインタビューを申し込んで、「政局の行方は?」なんて聞いている。今月上旬は共同通信、先週は朝日新聞。他の新聞、TV属も単独取材を頼んでいる。
どのツラ下げて……ではないか。これまで人マスコミは小沢を政界から抹殺しようとしてきたのである。元秘書が水谷建設から1億円の裏金をもらったと断じ、それをゴマカすために事務所ぐるみで政治資金収支報告書を偽装したと決め付け、「小沢排除こそが政界浄化」とどこもかしこも書いてきた。ちなみに水谷献金をスクープ≠オたのが共同。「小沢抹殺」の急先鋒が朝日だ。
「その2社が相次いで、小沢インタビューを載せているのでビックリしました。それじゃあ、彼らが問題視してきた疑惑を追及しているのかというと、何も聞いていない。これじゃあ、裁判が無罪になりそうなので、慌てて擦り寄ったと見られても仕方ありません」と政治ジャーナリストの角谷浩一氏は言っていたが、おそらく、その通りなのだろう。(2ページへつづく)
「東京地裁の大善文男裁判長は今月17日、石川元秘書の供述調書を証拠採用しない決定を下しましたが、その際、『調書は具体的な供述に基づいておらず、違法不当なもので許容できない』『(調書を作成した田代検事が)公判で説明する内容にも深刻な疑いを生じさせる』『取り調べは個人的なものではなく、組織的なものだったとも疑われる』とまで書いています。これは田代検事に偽証の疑いがあるだけでなく、違法不当な捜査が組織ぐるみで行われたことを示唆している。小沢氏は無罪の流れですが、それよりも違法捜査が特捜部長の指示で、組織ぐるみで行われた可能性が出てきたのです」、 で、「こりゃあ、ヤバイ」となったのだ。なにしろ、大メディアの小沢極悪人報道には裏≠ェない。あったらとっくに書いているはずで、全部検察リークだ。その検察が組織ぐるみでお縄≠フ可能性が出てきたのである。
「そのうえ、野田政権はヨレヨレですから、小沢氏が晴れて無罪になれば、権力の中枢に返り咲くのは間違いない。民主党内の権力構造はガラリと変わる。小沢とケンカしてきた大メディアが急に方向転換した裏には、こうした事情もあるのです」(永田町関係者)
いやはや、「よくもまあ、ヌケヌケと……」と言いたくなるが、それがこの国のメディアだ。ツラの皮の厚さじゃ、政治家顔負けなのである。
西山事件の頃と全く体寛は変わっていない
評論家の佐高信氏はこう言った。
「いま、ちょうど、ドラマ『運命の人』が放映されているでしょう。皮肉なことだと思いましたね。大マスコミは西山事件のころと体質は変わっていない。腑抜けの偽善者、偽紳士ばかり。権力と本気で対決する気概がない。それを反省する罪の意識もない。だから、何も変わらないのです」
西山事件は1972年に起きた。問題の本質は沖縄返還をめぐる米国との密約の有無だったが、スクープした毎日の西山太吉氏は逮捕され、検察は起訴状で「ひそかに(外務省の女性事務官と)情を通じ、これを利用して」と書いた。以後、この事件を巡る報道は男女の情事一色となり、「知る権利」は隅に追いやられてしまった。西山氏は有罪となり、政権の思うツボの展開になったのだが、検察リークに乗っかり、まんまと丸2年間も政治家・小沢の手足を縛っておいて、反省ゼロの大マスコミを見ていると、当時と何も変わっちゃいない。
もっと言えば戦前だって一緒なのだ。簡単に権力者の情報操作に乗ってしまう。時にはそれがひとりの人間を抹殺することになっても、てんで恥じない。この国のメディアはそういうところがある。だから、怖い。
大マスコミはどう落とし前をつけるのか
「大マスコミが小沢憎しとなった背景には複雑なものが絡み合っています。民主党のマニフェストの実行を求め、予算の組み替えや徹底的な政治主導を求める小沢氏は、官僚だけでなく、その官僚と一緒になって既得権益を享受している大メディアにとっても面白くない存在なのです。だから、一緒になって潰そうとした。この国の大メディアは、権力と握り合ってきた過去がある。だから、権力の監視という本来のジャーナリズムのあり方から外れて、あるときは権力に追随し、またある時は自分たちが国を動かそうとしたりする。国民にとって、『知る権利』の情報源は相変わらず、大メディア中心なのに、そこがジャーナリズムの本質からは外れているのが問題です」
西山事件がああいう展開になったのは、米国の機嫌を損ねたくないという意識において、政府と大メディアが一致していたからだろう。小沢事件にも共通したものがある。結局、彼らは国の権力構造は変えたくないのだ。だから、タッグで小沢を排除しようとしたのである。
さて、小沢の判決は4月26日前後とされるか無罪判決が出たときに大マスコミはどう落とし前をつけるのか。前出の角谷浩一氏は「まず、謝るペきだ。その上で、そうした報道になった理由を検証すべきだ」と言った。けだし見ものだが、おそらく、反省したとしても1日だけ。あとはシレッと頬かむりする。そうやって、この国の大メディアは国民の信頼をなくしていくのだ。
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