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組織ぐるみの電話盗聴事件が発覚した、英国の日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が、昨年7月、廃刊になったことを覚えていらっしゃるだろうか?
今月11日、同じくニューズ・インターナショナル社が発行する、今度は日刊の大衆紙「サン」の編集幹部ら5人が、警察や公的機関への情報提供をめぐる贈収賄容疑で逮捕される動きがあった。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-16999659
逮捕されたのは、5人に加えて、英南部サリー州の警官、英軍関係者、国防省関係者それぞれ1人で、合計8人である。
「サン」は、日刊紙市場最大の約270万部の発行部数を誇る。
「サン」で逮捕された人物とは、BBCの推定によると、写真エディターのジョン・エドワーズ、チーフ・リポーターのジョン・ケイ、外国特派員ニック・パーカー、記者ジョン・スタージス、アソーシエト・エディターのジェフ・ウェブスターだ。逮捕と同時に、それぞれの自宅やニューズ・インターナショナル社の事務所が家宅捜査された。現在までに、逮捕者全員が、保釈されている。
BBCニュースのウェブサイトは、「サン」が「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」のように廃刊になる可能性については否定する意見をいくつか載せている。私が見たところでは、たぶん、廃刊にはならないが、それだけ事態が真剣だということだろう。
それでも、「絶対廃刊がない」とも言い切れない。何しろ、ニューズ社は、電話盗聴に対する国民の怒りが大きくなり、広告主も腰を引き出すと、電光石火でニューズ紙の廃刊を決めたからだ。「廃刊の危機」というのが、現状に一番近いのかもしれない。
―警察への賄賂がなぜ、今問題に?
少し過去をさかのぼると、電話盗聴事件というのはすでに2007年に、当事者が刑務所に入って、一件落着したと思われる事件であった。
しかし、盗聴という違法行為が、「一部の記者」だけではなく、広い範囲で行われていた、とする報道を、2009年ごろから、ガーディアン紙が開始。ニューズ社はこれをずっと否定し続けてきたが、昨年夏、失踪された少女の携帯電話にも、記者がアクセスしていたとガーディアン紙が報道したことで、国民的な怒りを引き起こしてしまった。
これが、日曜に発行されている新聞の中では最大の発行部数を持つ「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の廃刊につながり、警察の大掛かりな捜査が前後して始まった。
この「ニューズ」紙での盗聴事件については、昨年夏に大事件に発展するまで、警察が同紙や発行元に対する捜査を十分にはしてこなかった疑いが出ている。
その理由というのが、どうも、警察や、あるいは政治家がニューズ紙、あるいは発行元のニューズ・インターナショナル社、ひいてはその親会社米ニューズ社の会長ルパート・マードックと「近すぎた関係を持っていたから」らしいのであるー少なくとも、そんな疑念が出ている。
大きなメディア、メディアの所有者、警察、そして、政治までもがくっついていた、と。お互いにぼろが出ないように沈黙を守っていた、と。
「政治」というのは、キャメロン首相が、何ヶ月か前まで、もとニューズ・オブ・ザ・ワールド紙の編集長を、官邸顧問として雇っていたのである。また、首相や閣僚らは、マードックやニューズ社が発行する複数の新聞の編集幹部らと、定期的に会合を持っていた。
廃刊をきっかけとして、警察はいくつかの調査を続行中だが、その1つはニューズオブ・ザ・ワールド」紙での電話盗聴事件の全貌を調べること、ほかには、メディアが警察にお金を払って、情報を買っていたかどうかを調べることにある。
「サン」編集幹部が贈収賄容疑で逮捕されたことで、警察の捜査が「ニューズ」紙のみならず、少なくともニューズ・インターナショナル社のほかの新聞にも及んでいることが分かる。
ちなみに、同社が英国で発行する新聞とは、サンのほかに、高級紙のタイムズ、サンデー・タイムズだ。
「サン」の編集長ドミニク・モーハンは逮捕に衝撃を受けたが、「新聞の発行を続ける」と述べているそうだ。モラルの低下を防ぐためか、今週後半にも、マードックが米国からやってきて、ロンドンでサンのスタッフに会う予定だ。
ニューズ・インターナショナル社の従業員がBBCの記者に語ったところによると、サンの編集スタッフは「怒り」、「経営陣に裏切られた」と感じているという。
今回の捜査につながった情報の出所とは、ニューズ・インターナショナル社が自ら立ち上げた、一連の事件解明のための委員会が警察に提出した資料だ。
元ニューズ・オブ・ザ・ワールドの副編集長だったポール・コンニュイ氏は、BBCの取材に対し、「警察内部や軍隊にいて、内部告発のためにメディアに連絡をしたい人たちが、後で逮捕されるようだとおびえてしまって、できなくなる」と懸念を示した。
―タイムズもコンピューターをハッキングした情報を使っていた
タイムズ紙といえば、英国内外で高級な新聞として評判が高いが、ぼろが出た事件が、最近あった。
電話盗聴事件を反省し、新聞界の倫理水準や慣行を調査するため、レベソン委員会という調査委員会が設けられた。今、メディア関係者を公聴会に呼んで、聞き取り捜査を行っているが、この中で、メディアの外の人が聞いたら、首を傾げてしまうような、独自の慣行が暴露されている。
以前、匿名の人物が書く「ナイトジャック」というブログが人気を博していた。警察官の仕事をしながらの見聞を書いたブログは、優れた政治ジャーナリズムに与えられる「オーウェル賞」を2009年、受賞した。
同年、タイムズで働いていた記者がブロガーの実名を探し当てた。ブロガーは実名が公表されないよう、報道差し止め願いを出した。これを扱った裁判で、ブロガーが負け、実名(リチャード・ホートン)が公開された。
このとき、タイムズの記者はブロガーのコンピューターに違法アクセスして、名前を見つけていた。タイムズの弁護士はこの経緯を知っていたが、タイムズのジャームズ・ハーディング編集長は、「この件に関して、何も知らない」とレベソン委員会で述べていた。
しかしどうも、ハーディング編集長は報道差し止め願いの裁判が起きていた段階ですでに「違法アクセス行為によって、情報をつかんだ」ことを知っていたようなのだ。差し止め裁判の裁判長は違法アクセスの事実を知らされていなかった。もしこの事実を知らされていたら、差し止めを支持する判決が出たかもしれないのだ。
つくづく、「人はなかなか、(保身やそのほかの理由で)本当のことを言わないものだなあ」、と思う。「違法行為でも、これを編集長がーーどこの新聞でもーー知っていて、やらせていた」という事例が、どんどん明るみに出ている。あまりよいニュースはない。
レベソン委員会が新聞界と警察との関係について、聞き取り調査をはじめるのは、3月に入ってからといわれている。
http://ukmedia.exblog.jp/17446041/
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