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本澤二郎の「日本の風景」(974)
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2012年1月31日 :{「ジャーナリスト同盟」通信}
<内部被曝研を報道しなかったマスコミ>
台湾総統選挙についての勉強会があるというので、参考になるのかどうかは別にして日本記者クラブ(1月30日午後)に出かけた。途中、市政会館に寄って同僚の長沼節夫さんと久しぶり雑談した。先日の内部被曝研の記者会見のことが話題になった。彼はその記者会見に出られなかった。理由は「共同通信か時事通信が配信する筈だからと思い、他の日程をこなした」と言った。
どっこい、NHKも民放テレビも報道しなかった。時事通信も共同通信も記事にしなかったらしい。これは大変衝撃なことなので、
台湾選挙会見はさしたることもなかったのだが、会見後に彼はクラブに保管されている内部被曝研の会見翌日の各紙の朝刊をチェックした。「どこにも出ていない」と驚きながら眉を吊り上げた。
<東京新聞にも?>
産経と読売はともかくとしても、朝日新聞も載せていない。記者会見の司会者は東京新聞だった。「東京には掲載しているはず」と声をかけると、彼は同紙の隅々をチェックした。
右傾化してジャーナリズムの使命を放棄してしまったかのような読売と産経はともかく、両紙にぶら下がり始めた朝日の評判もよくない。そんな中で東京新聞(中日新聞社)は、時々正論を吐いてマスコミ事情に明るい専門家の評価を高めていた。
だが、期待した東京新聞にも載っていなかった。これでは毎年100万部の新聞が減少して当然だろう。新聞への信用が下落している。新聞の側に責任があるのだが。
<共同・時事通信も>
以前のように記者を、どこにでも張りつけることが出来なくなった新聞界である。そこで活躍の場が与えられたのは通信社だ。政府寄りの時事通信よりも、地方紙の加盟社で成り立っている共同通信の任務は大きい。
真面目な会見を通信社が見過ごすことはない。だが、日本記者クラブで行われた内部被曝研の会見記事を、両通信社とも記事にしなかったらしい。
<テレビ取材ゼロ>
クラブラウンジでコーヒーを飲んでいると、記者クラブの職員が長沼さんに用事があるといって同席した。さっそくこのことを話題にした。
記者会見では会見場の最後部でテレビ取材カメラが活躍するのだが、なんと「あの日、1台もなかった」ということが判明した。会見当日夕刻の民放テレビで報道される可能性はゼロだったのだ。これには腰を抜かしそうになってしまった。
<報道統制か>
こんなことってあるのだろうか。かりそめにも日本は、リベラルな平和憲法を保持している。報道の自由・表現の自由が認められている。戦前の天皇制国家主義の国ではない。言論統制など許されない。
内部被曝研の活動は、市民の生命と財産を守ろうという真剣なものである。憲法も市民に命じているところだ。ジャーナリズムは、率先して彼らの活動を報道する義務があるのである。
だが、新聞もテレビも報道しなかった。ということは言論統制が行われている?間違いなく存在する。違うだろうか。
首相官邸とマスコミ首脳部が、報道すべき内容、報道してはいけない内容を規制している?金で容易に転ぶマスコミである。権力に屈している可能性が高い。戦前のような日本が、今回の東電事件で再現したものか。疑問は尽きない。
<赤旗でも2段記事>
長沼元記者は日本共産党の機関紙「赤旗」も見つけてきた。「赤旗」が官邸に屈することは想像できない。必ず記事になっているはずだ。元時事通信のベテラン社会部記者は「あった」といって、その記事をコピーして筆者にくれた。
1月18日付の「赤旗」の14面での扱いだ。1面ではなかった。14面の記事も2段見出しという小さい扱いだった。
政府・議会・司法が事実上、放置している内部被曝を、福島の住民のために真正面から調査するという市民本位の本物の研究会である。政府・東電の嘘を覆しかねない市民・科学者の活動に対して、お上は完全に封じ込めようというのであろうか。
<マスコミも共犯>
東電福島原発事件を当局・東電・マスコミは、もっとも恐ろしい内部被曝の真実を隠そうとしている?ストロンチウムやプルトニウムの測定をしようとしない当局である。
東電の犯罪は、国家の犯罪でもあろう。それに与するマスコミも共犯であろう。東電の真相隠しは、政府とマスコミを巻き込んでいる?
足腰の強いジャーナリストにお願いしたい。内部被曝研の記者会見を報道しなかった真相を、改めて取材してもらいたい。どうして報道しなかったのか、封じたのか。どうしても解明する価値がある。報道管制・マスコミ統制の有無を明らかにすることが、いま何よりも重要であろう。
投稿者の追加
内部被曝研(ACSIR) 2012.1.27 記者クラブの会見
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