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米ネット著作権法の阻止とメディアの主役交代
2012年1月25日 田中 宇
米国の米議会上下院で、インターネットを介した不正コピーを防止するための著作権擁護の2つの法案が審議されていたが、インターネット界の反対運動により、2法案とも票決が無期限に延期され、事実上葬り去られた。2つの法案は、下院のSOPAと上院のPIPAで、両者はかなり似ている。いずれも、著作権者の許可を得ずにコンテンツ(文書、画像、音楽、動画など)をダウンロードできるようになっているウェブサイトに対し、検索エンジン、料金決済、広告代理店などがサービスを提供することを禁じる内容になっている。(SOPA/PIPA...What's the big fuzz?)
2法案は、米国のマスコミとエンターテイメント業界からの強い要請で提起された。ユーチューブなどには、テレビ映像を録画したものなどが無許可でアップロードされている。ファイル交換ツールをうまく使えば、世界中の見知らぬ人々のPCから音楽や動画のファイルを無料で得られる。これらの多くは、マスコミやエンタメ業界の著作権を侵害している。
従来、著作権者が侵害をやめさせるには、違法にアップロードされたコンテンツを掲載しているウェブサイト(ユーチューブなど)に連絡し、コンテンツを削除してもらう方法が行われてきた。新法案は、この従来型の防御策に加え、著作権者の提訴に応じる形で、米当局が、問題のサイトに対するリンクが検索結果に出てこないようにしろとグーグルなどの検索エンジンに命じたり、クレジットカード決済業界や広告業界に対し、問題のサイトへのサービス提供を中止しろと命じたりすることができるようになる。
(PIPA法案には、問題サイトのIPアドレスをドメイン名に変換するという、ウェブの動きの根幹をなすDNSサーバーの変換リストから、問題のサイトのものを削除することを当局が命じられる条項も入っていた。だが、米国内法で規制できるのは米国内のDNSサーバーだけであり、米国内と米国外のサーバーが別々のリストを持つことになり、世界中が単一であるべきインターネットに混乱を招きかねないという技術的な指摘を受けた。パソコン側で使う対策ツールもすでに開発されたため、この条項は削除された)(PROTECT IP Act From Wikipedia)
著作権侵害に対する従来の対策は、サイト上から侵害コンテンツだけを削除させるものだが、新法案のやり方は、そのサイト自体の活動を制限するものだ。ユーチューブに1本のテレビ録画がアップロードされただけで、ユーチューブ全体が休止させられかねない。
文書掲載の場合、引用と剽窃の境目(文書全体と引用箇所の関係性で決まる)や、事実と創作物の境目(事実の範囲をどう考えるかで変わってくる)は、複数の判断ができうることが多い。米当局がマスコミ寄りの裁定を下すなら、時事問題のウェブログの中に剽窃が多く含まれると見なされ、政府批判をしているウェブログが集まっているサイトなどが、サイトごと潰されかねない。これは、著作権取り締まりと称した言論の自由の弾圧となりうる。
そのためユーチューブや、ユーチューブの親会社であるグーグル、ウィキペディア英語版、レディット(投稿サイト)などの米国のサイトがSOPAとPIPAの法制化に反対し、米議会で審議が本格化した1月19日から、米国の多くのサイトが休止する抗議行動を行った。米議会でも、法案に賛成していた議員の何人かが反対に回ったため、上下院とも1月20日に審議を打ち切り、法案の必要性が認められるまで、票決を延期することが宣言された。これは事実上、無期限の延期だと報じられている。(SOPA and PIPA postponed indefinitely after protests)
▼SOPA廃案はメディア主役交代の象徴
SOPAとPIPAの2法案が葬り去られたことは、マスコミやエンタメといった旧来型のメディアの政治力の減退と、それと交代に台頭するインターネット業界(新メディア)の政治力の拡大を示している。1月19日前後、ネット上でサイトのブラックアウト(抗議文のページが表示される)など「史上最大規模の抗議行動」が行われ、その威力に圧された米議会が態度を変えたのだ、という「草の根運動の勝利」を強調する見方もある。だが、数日しか行われていない抗議行動のみが事態を劇的に変化させたとは考えにくい。草の根の抗議運動は「ウォール街占拠運動」など他の分野でもさかんに行われているが、事態を大きく変えるまでに至っていない。
むしろ、今回の廃案の意味は、古いメディアから新しいメディアへの権力の移行であると見た方が良い。旧メディア業界とネット業界には、この問題で以前から対立があり、しだいにネット側が優勢になった。1月20日に予定されていた法案票決に向けて、ネット業界がロビー活動で議会に圧力を加えた結果、票決が中止されたと指摘されている。(Lobbying campaign scuttles piracy bills)
米英豪でマスコミ企業群を運営するルパート・マードックは、米政府が2法案に消極的なので「オバマは、シリコンバレーの資金供給者に迎合している」と批判している。実際には、米政界に巨額の献金をしているのは、ネット業界よりも、旧メディアの一部であるエンタメ業界である。ネット業界は、献金額が少なくても、大きな政治力を獲得したとみることができる。
マスコミは、米国やその他の近代的な諸国で、国家的な目標に沿った国民の価値観の形成という任務を帯びた、プロパガンダ機能である。特に第二次大戦後の米国では、マスコミがソ連や共産主義、アルカイダなど、米国の地政学的な敵国の「悪さ」をできるだけ大きく報じ、人々の「善悪観」を米国の国家戦略に沿った形に再編していく役割を担っていた。マスコミは表向き「社会正義」を標榜し、政府や政治家を監視する姿勢をとっている。そうした姿勢をとった方が、受け手から信頼されるからだ。
米マスコミは、03年の米軍イラク侵攻に際し、イラクが大量破壊兵器を持っていないのに、持っているかのように報じ、でっち上げの開戦事由を作る米当局の戦略に沿った歪曲報道を行った。その前後、テロ対策やイラン問題などでも同種の歪曲が行われ、マスコミに対する米国内外の人々の信頼が落ちた。しかし、こうした不祥事は、マスコミが米国家に不可欠な機能である状況を変えるものでないはずだ。国家機能の隠れた一部である以上、マスコミの政治力が減退するのはおかしい。ただし、国家の隠れた機能として、ネット業界がマスコミに取って代わりつつあるのなら、この限りでない。
▼マスコミが時代遅れになる理由
米国家の隠れた機能としてネット業界がマスコミに取って代わったという動きは、起きていないのか。そう思ってネット業界を眺めてみると、取って代わったのかもしれないと思える事態が起きていることに気づく。
新聞に対抗するものとして、グーグルなどのニュースの部門を多くのより多くの人々が閲覧するようになり、テレビよりユーチューブの動画を熱心に見る人が増えている。グーグルやヤフーなど、ポータルサイトや検索サイトがリンクないし保持しているコンテンツ(記事など)の中には、マスコミが作製したものもあるが、それよりも、マスコミ以外の一般のブロガーなどが作製したものの方が多い。
マスコミは、解説記事などによってニュースに意味づけをする際、国家戦略に沿った意味づけを行い、読者の価値観を国家の都合に合わせていく(米マスコミは積極的にこれをやっているが、日本のマスコミは諸極的にやっている。近年の日本のマスコミは、意味づけを表層的にのみ報じることで、日本人が出来事の本質に疎い状況を作り、対米従属の国家戦略維持に貢献している)。
対照的に、ポータルや検索サイトの機能の隠された最重要点は、検索結果などとして、無数にあるコンテンツのうちのどれを表示するか、どのような順番で表示するかという点だ。無数のコンテンツのうち、ある種の傾向を持ったものを優先的に上位に表出することで「○○とは何か」を知りたい人に、微妙に色のついた情報を与えられる。
多くの人は「事実は一つだ」「事実を教えてくれ」と言うが、実際のところ、物事の事実性は相対的なものであり、特に政治経済社会の分野では、複数の「事実」が語りうる。だが、多くの人々が「事実は一つ」と思ったままの現状の上で、マスコミは記事の内容によって、ネット業界は無数のコンテンツのうちどれを優先的に表示するかによって「これが唯一の事実だ」と見る側が感じる(勘違いする)内容を表示し、物事の「事実性」を微妙に操作する力を持っている。
従来のマスコミでは、年収1000万円前後の記者たちが、海外出張やハイヤーによる「夜討ち朝駆け」など、費用をふんだんに使って記事を作製しており、非常にコストが高い。対照的に、マスコミ以外の人々がネットで発信する記事(コンテンツ)は、多くが無償で作製されており、コストがゼロに近い。ポータルや検索サイトでは、コストの高いマスコミの記事が、必ずしも上位に来るべきものにならない。マスコミの有料記事を読まなくとも、マスコミ以外の人々が発信したネット上の無料記事だけを読んでいれば、だいたい世の中のことが分かった気持ちになれる。
このような状況下、人々がネットで知識を得る度合いが増すほど、新聞や雑誌が売れなくなり、人件費削減のため記者は給料が減るうえ一人当たりの仕事量が増えて記事の質も落ち、新聞雑誌がますます売れなくなる。マスコミの記事は、雇用された記者の職業として書かれているが、ネットの記事は人々の「無償でも書きたい」という気持ち(やる気)に依拠しているからコストが安い。
この対比は、フランス革命の前と後の、欧州諸国の軍隊のあり方の対比と似ている。フランス革命前、欧州諸国の軍隊は「職業軍人」(金で雇われた兵士)と、戦意の低い強制的な徴兵要員で構成され、戦争は政府にとって莫大な金がかかり、あまり強くなかった。しかしフランス革命で、国家は「人々のもの」(主権在民)となり、国家の主人公に祭り上げられた人々(国民)は、無償のやる気(愛国心)を発揮し、国家のために喜んで兵士になって戦死し、喜んで納税して戦費をまかなうようになった。
世界初の国民国家の「近代的」な軍隊を持ったフランスのナポレオンは、職業軍人や強制徴兵員で構成された他の欧州諸国の「前近代」の軍隊より、はるかに強かった。欧州諸国の王侯貴族は、競って自国を国民国家に仕立てることをめざした。フランス革命(国民国家革命)が、全世界の諸国に拡大していく「近現代(モダン)」が始まった。近代国家には、国民をその気にさせるプロパガンダが必須になった。(覇権の起源)
フランス革命は、軍隊の中心を「金の切れ目が忠誠心の切れ目」の職業軍人から、無償で死んだり戦費を払ったりする「国民」に切り替え、国家にとっての戦争のコストを劇的に下げた。同様に、今の米国などの世界で起きている、マスコミからネット界へのプロパガンダ機能の移転という情報革命は、プロパガンダを発信する人々の中心を、職業記者から、無償で書いてくれる「ネット市民」(ブロガー、ツイッターやフェイスブックをやっている人々など)に切り替え、プロパガンダ作製の総コストを劇的に下げた。大新聞のスター記者が、前近代の伝説的な職業将軍とだぶって見える感じだ。新たな「革命」の要点は、ポータルや検索サイトなどネット業界が、コンテンツの表示の順番を「アルゴリズム」など客観性を装いつつ、こっそり微妙に操作することである。
▼諜報機関としてのグーグル
米国家にとって、マスコミよりネット業界がすぐれている点は、コスト安だけでない(そもそも上記のコスト安は、国家にとってのコストの話でない)。旧システムは、マスコミという発信者から、国民という受信者への一方通行であり、国民がどう思っているかマスコミが知るルートが非常に細い(読者投稿やテレビ視聴率などしかない)。
対照的にネット業界は、ウェブの閲覧履歴やブックマークなどを業界のサーバーに送る機能によって、国民(や全世界の人々)が、どんな関心を持ち、何をどう考えているか、かなり詳細に分析できる。スマートフォンの電話帳や受送信メールをグーグルなどのサーバーに保存させることで、人々どうしの人間関係のつながりを盗み見できる。
こうした体制を、最も意図的に作っている感じがするのがグーグルだ。グーグルのGメールに新規登録する時、携帯電話番号の登録が必要だ(以前は必要なかった)。アンドロイドのスマートフォンを使っている人は、自動的に携帯番号とGメールのアカウントが連携され、ブラウザで何を見たか、どんなアプリをダウンロードしてどう使っているか、外出時にどこに行ったかなど、随時グーグルに報告が行く。これらの機能のうち、メニュー上のチェックを外すことで使えなくなるものもあるが、チェックを外したからといって情報をグーグルに取られていないと確信できる根拠もない。アップルもiフォンで似たようなことをしている。(iPhones and Android phones building vast databases for Google and Apple)
Gメールアカウントを入力しないままアンドロイドのスマホを使うことも可能だが、マーケットからアプリをダウンロードできない。パソコンでネットから匿名でapkファイルを拾って、野良アプリとしてインストールすることも可能だが、そんな高度な作業をできるのはごく少数の人々だ(iフォンはそれもできない)。大多数の人々は、グーグルから推奨されるまま、個人情報や履歴の多くを無自覚のうちにグーグルに預ける。
個人情報を、他の個人や、国内の野暮ったい企業に教えることに対して神経過敏な現代人も、個人情報を全部グーグルに預けることを、最先端のおしゃれだと勘違いしている。スマートなのは、スマートフォンを買う側でなく、売る側だけだ。買う側は、スマートだと軽信させられている。Gメールは世界で3・5億のアカウントが登録されている。
グーグルは、世界の無数の個人情報を収集することで、米国にとって、新手の諜報機関として機能し始めている。これまでCIAなど既存の諜報機関は、世界各地に事態をウォッチする要員(スパイなど)を置き、世界的な政治経済・軍事社会などの動向を分析し、米国の覇権戦略に役立ててきた。こうした人的なウォッチは今後も必要だろうが、グーグルが世界中から集める膨大な個人情報は、それを越えるものだ。情報をうまく分析することで、これまで諜報機関が把握しにくかった、世界の人々の個々人の頭の中や心の動きがわかるからだ。
▼対米従属の日本はスマホ奨励が国策
Gメールは、一つのアカウントあたり7ギガバイトまで使え、ほぼ無尽蔵にメールや個人情報を蓄積できる。諜報分析者の側は、世界の人々が蓄積する個人情報が多いほど、いろいろな分析ができる。マーケティングのツールとしても使えるし、各国の政治的な分析結果をその国の親米的な政治家だけに教えることで、親米政党を選挙で連勝させ、ずっと与党にしておける。世界中の反米政治家の個人情報をあさってスキャンダルを探すこともできる。かつて、米英諜報機関が世界中のネットや衛星経由の通信を傍受して分析するシステムとして「エシュロン」が話題になったが、グーグルはエシュロンより効率的だ。エシュロンは情報を途中で傍受する必要があるが、グーグルは待っているだけで情報が蓄積されていく。(世界中の通信を盗聴する巨大システム)
諜報機関は政府組織だが、グーグルは民間企業なので、全く別物だという反論もあるだろう。しかし、諜報機関の方からグーグルにすり寄ってきて、既存の政府傘下のプロパガンダ機能を使ってグーグルのイメージを向上させ、株価上昇を手伝ってあげるから、米国の国益や「テロ対策」のために協力してくれないかと誘われたら、企業として、株主と米国家の利益を考えた場合、協力した方が良いということになる。そもそも911以後の米国のテロ戦争の有事体制下では、米企業が集めた個人情報を、米当局がテロ対策の名目で検閲することが可能だ。
グーグルの約款には「Google では、アカウントに含まれる情報を Google の他のサービスまたは第三者から取得した情報と統合し、ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上のために使用する場合があります」と書いてある。それ以外のことに使わないのだから、グーグルは盗み見なんかしないはず、と考える人がいるかもれない。しかし「ユーザーの利便性の向上および Google のサービスの品質向上」の中に、米国のテロ戦争に沿った政府への情報提供が含まれていても不思議でない。個人情報をスマホのサーバーに預ける人々は、グーグルやアップルの「善意」を、何の根拠もなく信じるしかない。
日本の携帯電話番号にひもつけされた個人情報は、NTTドコモなど日本の電話会社が持っている。グーグルがGメール登録時に日本人に携帯番号を入力させても、それだけで個人の特定はできない。しかしこれも、911以降のテロ戦争の米国覇権の世界体制のもとでは、日本政府がドコモから個人情報を提出させ、米政府に提出させることを、テロ対策の名目で合法的にやることができる。
ユーザーが入力したクレジットカード番号を他の個人情報とひもつけすることは、もっと簡単だ。カード会社はVISAもマスターカードもアメックスも米国企業であり、米当局は、米国内の法律や政策の範囲内でひもつけできる。クレジットカードはインターネットよりずっと前からあるが、世界中の個人情報を米国に集める情報覇権であるという点で、構造上、グーグルなどネット業界と同じである。これらの方法で個人の特性(性別や年齢、住所など)と、グーグルやアップル、ヤフーなどが集めた、その人のネット上での知的活動や人間関係、購買行動などを関連づけることで、人類のかなりの部分の頭や心の動きを推測できる。
グーグルは、アップルよりも諜報機関的だ。アップルはパソコン時代から、伝統的にハードウェアの自社製造に固執してきた。グーグルは、サイトやウェブツールなど、ソフトウェアだけだ。OSはオープンソースで、ハードは日韓などの企業に作らせている。重視するのは集めてくる個人情報だけで、その他の部分を下請けに作らせているグーグルの方が、製造業的なアップルより、諜報機関に近い動きをしている。しかし、スティーブ・ジョブズが死んだ後、世界的な英雄に祭り上げられたプロパガンダ的な急上昇を見ると、アップルも諜報機関に入り込ませてあげる見返りとして、企業イメージと株価の向上を得ることにしたのかもしれないと感じる。
対照的に、ヤフーやマイクロソフトはイメージ的に落ち目の方向だ。これらの企業は、諜報機関との連携に消極的だったのかもしれない。もともとマイクロソフトのウインドウズは、インターネットが大々的に普及する前に確立したOSで、ウインドウズのパソコンは匿名性を維持したまま利用できる。アンドロイドがGメールのアカウント入力を前提とした「諜報機関万歳」的な新しいOSであるのと対照的に、ウインドウズは「諜報化以前」の昔の製品だ。いずれウインドウズのパソコンは、過去の遺物にされていくかもしれない。
とはいえ、グーグルはウインドウズ上でも本領を発揮している。クローム(Chrome)というグーグルの新しいウェブブラウザは、立ち上げるとまずGメールアカウントの入力を促され、パソコン内の既存ブラウザから履歴とブックマークをコピーしてグーグルのサーバーに送り込んでいる。あとから履歴の複製をやめさせることはできるものの、多くの人はそんなことに頓着しない「スマートな現代人」だろう。ネット業界万歳である。
グーグルやアップルは、米国覇権の新しい一部分となっている。だから対米従属を国是とする日本で、ネットワークが国内で完結しているガラパゴス(進化停止動物の島)な携帯電話が時代遅れとみなされ、国民全員にグローバルスタンダードのアンドロイドやiフォンのスマホを持たせる方向に事態が動くのは当然だ。ドコモやソフトバンクを批判する日本人は多いが「お上」の一部であるグーグルやアップルを悪く言う日本人は少ない。
(ドコモの副社長は最近、安全性の観点から、ドコモの利用者がGメールのアカウントにログインせずにアンドロイドのスマートフォンを使えるようにすることを検討していると述べている。対米従属を国是とするはずの日本の企業が、米国の覇権を無視するこの手の行動を許されるものか、今後の成り行きが注目される)(NTTドコモ 辻村副社長に聞く)
米英諜報機関に入り込まれた方がうれしい従属型の日本と対照的に、米国の諜報機関に入り込まれると何をされるかわからない中国が、インターネットに設けた国家ファイアウォール(長城防火)によって、グーグルのサイトを拒絶したのも、当然の流れだ。長城防火が、イランなど、米国に潰されそうな他の反米諸国に輸出されるのも、自然な流れだ。世界の覇権構造は今や、サイバーなものになっている。(グーグルと中国)
中国人は、共産党に個人情報を見られており、それを自覚しつつ人生を送っている。だが日本など、米国と同盟諸国の人々は、グーグルなどネット業界の諜報機関に個人情報を見られていることに無自覚なまま、人生を送っている。ネット業界の諜報機関は、英MI6など巧妙に運営されてきた既存の諜報機関の一部であり、傘下の臣民に良いイメージを持たせたまま支配を続ける手腕がある。だが中国共産党は、もっと稚拙で粗野なので、人民に対して手法を露呈しつつ、支配を続けている。
グーグルの検索結果に自分の記事が載ることは、私にとって、情報発信の重要な一要素である。だが今回、グーグルに対する批判めいたことを書いてしまったことで、今後、制裁として、私の記事がグーグルに載りにくくなるかもしれない。それは覚悟している。それはいやなことだが、私は、いろいろ調べていくうちに、日本を含む世界の人々のために、今回書いたようなことを書かずにいられなくなった。グーグルにすり寄るより、自由に書くことの方が、自分の精神衛生上、良い。グーグルやマスコミが人々の価値観形成を主導している今の世の中で、グーグルやマスコミを批判的に描く私が目立たなくなっていくのは、やむをえない。対米従属系の人々からすれば「ざまあみろ」だろう。しかたがない。
http://www.tanakanews.com/120125SOPA.htm
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