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大新聞の特権意識が生んだ渡邊、清武の泥仕合
http://ameblo.jp/aratakyo/entry-11090931189.html
2011年11月27日 永田町異聞
筆者が駆け出し記者だった数十年前の話だが、読売新聞の若手記者が取材先に「ジャイアンツの読売新聞です」と電話していたのを聞いて、唖然としたことがある。
王、長嶋を擁する巨人軍がX9を達成し人気絶頂だった勢いに乗って、読売新聞は「拡材」すなわち景品、サービス品を乱発し、部数を増やし続けていた。
それで定着した「販売の読売」という世間の評価は、筆力をほめてもらいたい個々の記者に複雑な思いを抱かせただろう。
ところがその若手記者があまりにも屈託ない様子で電話取材を続けていたものだから、他社ながら同業として気恥ずかしさを感じてしまったのだ。
猛烈な勢いで朝日の発行部数に迫っていた当時の読売にとって、圧倒的なファン数を誇るジャイアンツは販売戦略上、密接不可分の重要な存在であった。
公称とはいえ1000万部の発行部数で日本一の座を勝ち取った今も、読売新聞と巨人軍の一体性は変わるところがない。
スター不在が続き、かつてのような国民的人気はなくなったにせよ、読売新聞はあいかわらず巨人の栄光を必要とし、常に他の球団より強くあることを義務づけている。
江川投手の「空白の一日」事件で、スポーツに政治工作を持ち込む悪しき前例をつくった渡邊恒雄が、85歳になったいまも、読売グループのトップとして、独裁的な支配力をジャイアンツに及ぼし続けている理由はそこにある。
GMの職をはく奪された前球団代表、清武英利が記者会見まで開いてコーチ人事への介入を理由に渡邊を批判したことは、私憤と公憤の混乱により、いちじるしく説得力を欠いた出来事ではあるが、筆者は清武にも、渡邊にも、新聞記者特有の思い上がり、特権意識を感じてならない。
渡邊は清武の首を切り、対する清武はいかにも渡邊の急所を握っているような素振りだったが、何も出てこない。
憎悪がいっそう深まりゆく双方が、今後、裁判沙汰の泥仕合をしようがしまいが、そんなことに関心はない。問題は新聞社のあり方である。
大手新聞ほど、国家権力に庇護されている民間企業はない。国有地を安く払い下げてもらってそこに本社を建て、電波利権を与えられてテレビ局を開設し、なおかつ新聞だけは公取委に再販制度を黙認させて、新聞価格を高く維持している。
官庁まるがかえの記者クラブに加盟していれば、放っておいても役人がネタを提供してくれ、資料に少し手を加えただけで一本の原稿があっという間に出来上がる。記者クラブがなかったら、現有の記者数では新聞紙面の半分以上を白紙で出さねばならないだろう。
まさに利権の巣窟であるがゆえに、金繰りの苦労を知らないど素人が経営者になっても、会社を存続できているのだ。
しかし、プロ野球でファンを増やし、読者増につなげるという拡大主義的発想がいつまでも通用するとは思えない。
インターネット時代の進展で記者クラブ加盟メディアの情報独占体制が崩壊しつつあるなか、過去の成功法則にとらわれたパラダイムを大きく転換しない限り、新聞は逆に読者を失っていくだろう。
怒りを抑えかねた清武がジャイアンツブランドの威光で大勢の記者を集めて記者会見したのも、「君は破滅だぞ。読売新聞と全面戦争になるんだ」と渡邊が品性下劣な言葉で脅したのも、若い時から垢のごとくたまってきた特権意識のなせるわざではないか。
政治記者として鳴らした渡邊は政権中枢に深く食い込み、社会部の敏腕記者だった清武は警察や検察の幹部と親しい関係を築いた。どちらも、権力の凄みを知っている。
とくに渡邊は連立工作など、様々な局面で政界を動かすとともに、その政治家顔負けの力でメディアとプロ野球界を牛耳ってきた。テレビで「無礼な。俺を誰だと思ってるんだ」と報道陣に怒鳴り散らした姿に違和感を覚えた方も多いだろう。
清武は、渡邊が読売グループ内でどのような存在なのかを朝日新聞に問われ、こう答えた。
「やっぱり、恐ろしいですよ。悪意とちゃめっ気の両面持った人ですが、みんな怖がっている。…あまりにも強引な面があった。やりすぎだと社内の人間は思っている」
清武は案の定、孤立無援で読売を放り出された。渡邊は名誉棄損で訴えると息巻いている。
渡邊はいつまで読売の主筆として、社論の形成にかかわるのだろうか。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo)
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