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『週間ポスト』8/19.28日号
平成23年8月8日(月)発売
小学館 通知
さらば、テレビ
「地デジ化」とともに音をたててくずれゆくガラスの巨塔
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テレビは、いつからこんなにつまらなくなったのだろう──。地デジ化で、女優やタレントが肌の細部まで見えてしまうことを気にしているらしいが、テレビ局側も気が気じゃない。番組の「劣化」が覆い隠せないほど、鮮明に見えてきてしまっている。今、公共の電波の「巨塔」で何がおこっているのか。
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蓄電球のような役割
もはや「手抜き」といよリレベルを超えていた。
テレビに新たな歴史が刻まれた7月24日。フジテレビは『FNS27時間テレビ』で地デジ時代の幕開けをした。
その目玉企画として放映されたのが、系列各局代表の素人が歌の下手さ≠競うカラオケ大会「FNS歌へた自慢」だ。番組ハイライトは優勝した警備員が歌った「トイレの神様」だった。なんとノーカットで全8分30秒。
「小3の頃からなぜだか、お婆ちゃんと暮らしてた〜」
歌い出しから司会を務めるナインティナインの岡村隆史らにクスクス笑いが漏れる。そして誰かの「こりゃ駄目だしという声。音程は外れ、リズムは狂い、オリジナルを忘れさせるほどの歌下手≠ヤりば、もはや「晒しもの比に近い。
しかし、これだけならまだよかった──。照れ笑い一つせず歌い続けるひたむききに心を打たれたという演出≠ノのっとり、会場に泣きだす女性が現われたのである。
カメラは泣いた女性をクローズアップ。会場は一転しっとりムードになる。熱唱を終えると、「フルコーラスでございます。今回も奇跡が起きました!」と岡村が興奮気味に絶叫する。
そして拍手と大歓声。こんなやらせ≠ノ泣きも笑いもできるわけないが、流れてくる映像のあまりの異様さに、チャンネルを変えることも忘れていた。これはもはや「放送事故」ではないのか───
編集も構成もないタレ流し。YouTubeに投稿された素人制作の映像の方がよほど気がせいている。
最近のテレビはいったいどうなってしまったのか。
劣化の著もい番組は地にもある。
『行列のできる法律相談所』(日テレ系列・日曜21時)法律相談だいう当初のコンセプトはどこへやら、紳助がお仲間を集めて、さながら学芸会の体だ。
「自画自賛ですみません私の名シーンSP」と題された7月31日放送回では、上地雄輔や出川哲朗ら出演タレントの感動話を司会者紳助がいじるだけ。
紳助の仕切りに贔屓タレントのお追従発言、演出の笑い声が加わり、場は盛り上がっている風なのだが、見ているこちらは、どんどん冷めていく。
芸能人主催合コンに参加した上地の実話を暴露して「ドヤ」顔の紳助。見ているのが辛い。
さらに、「続きは『深イイ話』でご覧ください」と自身の別番組を宣伝する始末である。
コラムニストの小田嶋隆氏の談。
「全員が紳助におべっかを使っていて気持ち悪い。トークは一流でも、番組進行、タレント起用まで胸三寸で決まる。無名タレントが紳助の番組に出演することで知名度をあげ、オーラを身につけていくことをネタにしているだけの蓄電球のような役割かな」
これが日テレの誇る日曜ゴールデンタイムの看板番組なのだから、あとは推して知るべしだ。
ワイドショーも朝から脱力してしまう。鳴り物入りで4月からスタートした『モーニングバード!』(テレ朝系列・8時)。鳥越俊太郎氏など、古参の論客をリストラしただけの衣替えでは、やはり鋭さ≠ェ足りない。
7月29日。中国の新幹線脱線事故で温家宝首相が事故現場に訪れたとの報道ではこんなコメントがあった。
「我々、日本メディアも含めて海外メディアへのアピールだったのかもしれませんが、逆に不信感を与える逆効果を生んでいるよね」
ごもっとも──しかし発言者はあの長嶋一茂氏である。
いや、一茂氏は悪くないのだが、なぜこ、の人の専門外の解説を拝聴せねばならないのか、番組の意図がわからない。
キャスティングのみならず番組全体が新聞や雑誌の記事や、芸能人の宣伝°L者会見の切り貼りであり、新たな視点や情報はほとんどない。
唯一の見どころといえば、意味不明なコメントを必死にフォローする、羽鳥慎一の奮聞ぶりだけである。
(写真)上から『行列のできる法律相談所』『FNS27時間テレビ』『モーニングバードJ』
韓流ドラマの焼き直し
近年、クイズ形式のバラエティがどこの局でも増えている。低予算で作れる、というのがその理由らしいが、地デジはそのチープさを鮮明に映し出してしまう。
たとえば、7月スタートの『謎解きバトルTORE!』(日テレ系列・水曜19時)は、田村亮やベッキーらの面々がトラップをクリアしながら、「冒険映画のようなスリルが味わえる」という。だが、魔宮を模したステージは、あまりに安普請。
モチーフの『インディー・ジョーンズ』には遠く及ばず、さながら郊外遊園地の冒険アトラクションだ。
まア、これは仕方ないにしても、制作者の頭の中までチープになっているのはいただけない。
クイズに失敗すると待ち受ける罰ゲームのシーンはCMまたぎで引っ張られる。
アトラクションに足がひっかかり、吉本芸人のしずる村上が宙ぶらりんになるシーンなど、CM前に2回、CM後に3回も復習≠ウせられてしまった。視聴者をバカにしてるのか。
さして面白くもないこの映像を制作者はどういうつもりで3回も流すのか。
第一、こんな場面で何回もCMを挿入したら、視聴者のイライラがつのって、商品の印象も悪くなるばかりではないか。スポンサーは怒らないのか。
7月29日放送の『私の嫌いな有名人 実名で発表するぞSP』(日テレ系列・19時)では和田アキ子、小倉智昭らを配して「芸能界のタブーに挑戦した」という触れ込みだった。
しかし、肝心の大物タレントたちの嫌いな有名人≠ヘ、イニシャルトーク。会場が盛り上がれば盛り上がるほど、こちらのテンションは下がっていく。
結局、判明したのは杉村太蔵氏が蓮肪氏を嫌っている、といったどうでもいい与太話である。
ホントに最近のテレビは楽屋話ぽっかり。当初は新鮮で面白かっ、たかもしれないが、もはやうんざりだ。
ドラマの不振も深刻だ。日中は、どの局を見ても韓流ドラマだらけ。
おまけに貴重な自局制作のドラマまで韓流におもねっている。『美男ですね』(TBS系列、金曜21時)に至っては韓流人気ドラマのリメイク版。映画に劣らぬ作品を作り、アジア各国にドラマを輸出していたプライドも捨てたのだろうか。
かつてテレビ界とは職人が集う場だった。そうしたプロたちが、個人の感性を蔑ろにする番組制作に嫌気がさして、または人件費削減の煽りを受け、現場から少しずつ姿を消しつつあるという。
職人が消え、視聴者が消え、そして誰もいなくなる──。
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