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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/13872
夏本番の暑さとなって、電力不足問題を何とかしなければという声が喧しい。しかし、それを文字どおりに取ってしまっては、日本は大変なことになるのではないか。つまり、それらの声はほとんどが、自らの既得権を何としても守り抜きたい人たちのプロパガンダだからである。
原発再開は日本は変われないことの証明
日本は1000年に1度とも言われる東日本大震災と、米スリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故をはるかに上回る世界最大の原発事故を引き起こした。
こうした事態に直面して、私たちが絶対にやり抜かなければならないのは、できるだけ早い復興と同時に大事故の原因となった日本に巣食う問題の根本的解決である。
逆に、日本が決してやってはいけないことがある。この大惨事に直面して何も変わらないでいることだ。
天が与えた厳しい試練を改革に生かせないようでは、日本は一直線に衰退への道を歩むだけである。
地震対策しかり、原発・エネルギー政策の見直ししかり、二度と同じ惨事を繰り返さないために、すべての根本に立ち返った対策が求められている。
しかし、「電力不足だから点検の終わった原発を開始すべし」という意見には、電力不足という人質を取って、根本的な問題解決を先送りしようという意図が見え見えだ。
しかも恐ろしいのは日本を代表する大手新聞のほとんどが、それに手を貸していることである。朝日新聞から産経新聞に至るまで、社説はもちろん、電力会社の幹部の意見を大々的に掲載することなどを通して、原発再開を求める世論形成に躍起になっている。
例えば、7月1日の朝日新聞の「原発の再開遅れを『風評被害』と発言 九電会長」などはその典型例だし、また産経新聞でも連日手を替え品を替えて、原発再開のプロパガンダを打ち上げている。
原発がないと終戦後すぐの生活に戻るって本当?
その1つが同じ7月1日付1面の「外交評論家・岡本行夫 『確率』だけで原発止めるな」である。曰く、
「『すぐに原発を止めろ』と言うにはわれわれの生活を原発のなかった1960年代に戻す覚悟が必要だ。家庭にエアコンなどなかった時代に。朝起きると息は白かった。暖は石油ストーブと湯タンポでとった。工業出荷額は今の4分の1だった」
ほとんど脅しに近い表現である。原発こそが私たちの生活を豊かにしてきたのだから、と。しかし、経産省の大臣がいくら原発の安全確認が済んだと国民に説明しても、それを信じろと言う方がおかしい。
国や新聞の言うことを信じてきた結果が、福島第一原発の事故ではないか。その責任も明確にしないまま、小手先の安全対策を講じたから安全だと言って、どこに説得力があるのか。これほど国民を小ばかにした話はない。
そもそもLNG火力でも石炭火力でも、電力を賄う方法はいくらでもある。
電力自由化を絶対阻止する狙い
また、せっかく1995年の規制緩和によって日本にも多くの独立発電事業者(IPP)が誕生しながら、電力自由化を阻止したい電力会社の意向によってその後は鳴かず飛ばずどころか尻すぼみの状態が続いている。そうした点を早急に改善すれば、電力不足問題は一気に解決に向かう。
しかし原発の再開論を振りかざす人たちは、それには一切触れない。IPPが増えて原発を推進しにくくなるのが困るからである。
逆に好んで持ち出すのが風力や太陽光発電などの自然エネルギーだ。これらはまだコストが高いことをいいことに、原発再開の言い訳に使っているのである。
つまり、電力自由化などの問題から国民の目をそらし、既存の仕組みを何一つ変えたくないという明確な意図がある。自分たちの既得権益を守り、そのツケは若者たちに払わせようという何とも姑息で老獪なやり方と言える。
夏場の電力不足懸念をいいことに、いま拙速に原発の稼働を認めてしまえば、すべての既得権を守ることにつながり、日本の改革は全く手つかずになる。原発再開論者は産業界のためにという大義名分の下、本当の狙いはそこにある。
若者よ紙は捨ててしまおう
大手新聞がこの論調にこぞって手を貸していることに、日本の国民、とりわけ若者たちは極めて高い関心を向けるべきである。新聞各社が揃いも揃って原発再開を求めるのは、既得権者を守ろうとの下心があるからにほかならない。
もし、そんな下心がないとすれば、ただの批判精神のはき違いをしているだけで、逆に大金を払って読む価値のある代物とは言えない。
福島第一原発の事故は、私たち国民が政府や官僚に騙され続けてきたことを明確に証明したが、彼らの既得権益の鎖には大手メディアもしっかりとつながっていることが、原発再開論で目に見える形に表れたと言える。
すでに風化著しい既得権を守り続ければ、そのツケは必ず未来に回ってくる。若者たちが支払わされるのである。今後も各紙が原発再開論を続けるようであれば、若者たちはもう新聞を購読するのはやめた方がいい。百害あって一利なしである。
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