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モルガンSのゴーマン氏、奇食「ベジマイト」で狙う逆転ホームラン
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYT4ZT1A1I4R01.html
2月6日(ブルームバーグ):米モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はニューヨーク、タイムズスクエアの本社最上階にある大会議室の演壇の中央に歩み出た。昨年10月遅くのことだ。同CEOは3年間で2回目の投資家の反乱に見舞われていた。1回目の反乱は2008年の金融危機のさなかだった。
53歳のオーストラリア人、ゴーマン氏はモルガン・スタンレーが欧州の財政難国の国債を大量に抱えているという風評を打ち消すメディアキャンペーンを開始した後、従業員に向かって演説するところだった。同社はうわさを否定したが、株価は10週間でほぼ半分に下げていた。ブルームバーグ・マーケッツ誌3月号が報じた。
聴衆の中にはモルガン・スタンレーに25年在籍するベテランのマネジングディレクター、トム・ウィプフ氏がいた。モルガン・スタンレーの株価が12ドルを割り込んだことでストレスを感じているかとゴーマンCEOが尋ねると、同氏は首を横に振った。
「まったくだ。百戦錬磨のベテランは本物のストレスというものを知っている」とゴーマン氏は告げた。そして、聴衆に向き直り、「前回の危機を生き抜いた者は皆知っている。あれこそが本物のストレスだった」と続けた。
波乱の年月
わずか2カ月余りで株価が50%急落しても本物のストレスではないという事実は、モルガン・スタンレーが過去数年に経てきた波乱を物語る。08年のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻後、モルガン・スタンレーは当時のジョン・マックCEOの下で米連邦準備制度から1000億ドル(約7兆6000億円)以上を借り入れることで破綻を免れた。さらに、三菱UFJフィナンシャル・グループに20%余りを身売りして息をつないだ。
メリルリンチの証券部門トップだったゴーマン氏は、同じ役割を果たすため06年にモルガン・スタンレーに迎え入れられた。投資銀行が市場の動揺とトレーディングおよび案件の急減、新規制に手足を縛られている中でも利益を出すことは可能だと、今こそ見せつけなければならない。
昨年12月で、ゴーマン氏のCEO就任から丸2年がたった。取 締役会は1月1日、マック氏が05年から就いていた会長の座もゴーマン氏に与えた。評価損と政府による救済に染まった5年間と決別するため、ゴーマンCEOは不採算の投資資産を整理し、為替取引など比較的低リスクの分野へと投資銀行事業を拡大している。自己勘定トレーディングは廃止し、540億ドルの資本バッファーを積み上げ、レバレッジを大きく低下させた。バランスシート上の資産は11年末で7500億ドルと、ピーク時だった07年の1兆2000億ドルから急減していた。
手書きの「仕事リスト」
ゴーマン氏は株主資本利益率(ROE)15%を目標に掲げた。23%だった06年の実績に比べれば控えめな目標だが、11年は4%だった。
「体勢立て直しにかけてはわれわれは極めて積極的だった」と同CEOは胸を張る。「不確実な時代にできることは、できる範囲で最良の事業を築くこと、それを積極的に進めることだ」という。
ゴーマンCEOは手書きの「仕事リスト」をいつも机の上に置いている。昨年このリストに載っていた最大の仕事の1つが、米金融保証会社(モノライン)MBIAとの法的係争を終わらせることだった。同CEOはこれを昨年12月に完了。MBIAに販売したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で17億ドルの評価損を計上した。
ゴーマンCEOの最も大きな攻めの一手は時計の針を15年戻して、自身が統括してきたリテール証券部門を収益源の主役に据えたことだ。同氏とマック前CEOは09年に、モルガン・スタンレーの旧ディーン・ウィッター部門と米シティグループのスミスバーニー部門を合わせ合弁会社を作った。モルガン・スタンレーは同事業の持ち分を51%とし、経営権を握った。
世界最大
1万7000人のアドバイザーを抱え、1兆6500億ドルの資産を預かるモルガン・スタンレー・スミスバーニーは、今や世界最大のリテール証券会社だ。11年にはモルガン・スタンレーの収入の41%を稼いだ。
ゴーマンCEOは同部門の税引き前利益率20%を目標に設定した。現状はこれに程遠い。昨年10−12月(第4四半期)の利益率は8%と前年同期の12%から低下した。11年通年は10%。11年の部門利益は6億6500万ドルで、全社の16%にすぎなかった。
第4四半期は全ての大手銀にとって暗い時期だった。欧州の債務危機と世界経済の減速が投資銀行の案件とトレーディング活動を低迷させた1年の締めくくりだった。M&A(企業の合併買収)は昨年、 金額ベースで07年のピークから44%落ち込んだ。米国株の売買高 は09年から20%低下。ブルームバーグのデータが示した。
「新聞を読め」
金融機関はこぞって、人員と報酬を減らすことで低迷に対応した。ブルームバーグのデータによれば、金融業界は昨年、世界で23万人を減らした。モルガン・スタンレーも例外ではなく、昨年12月に1600人の削減計画を発表。今年1月にはシニアバンカーの報酬が20−30%減ることが明らかになった。ゴーマンCEO自身の報酬も 11年が1050万ドルと、前年の1400万ドルから25%減少したと事 情に詳しい複数の関係者が述べている。
報酬に不満をもらす従業員に対して、ゴーマンCEOは手厳しい。「世間を知らな過ぎる。新聞を読め」というのがそんな従業員へのメッセージだ。ゴーマンCEOが1月のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。
ゴーマン氏は自身の戦略を正当化するのに株価に頼ることはできない。モルガン・スタンレー株は11年に44%下落した。11年に成し遂げたことについて同CEOは「もっと強い企業になった」と述べた。「資本は80億ドル増えた。自己勘定取引事業の多くを分離した。そのために株価が半分になったと言うのか。理由が知りたい」と同CEOは問い掛けた。
株価は今年に入っては反発し2月3日は20.31ドルと年初来34%上昇。
オーストラリアの国民食
ゴーマンCEOにウォール街の巨人というイメージは合わない。正装が求められるイベントには1980年代に経営大学院の学生だったときに買ったくたびれたタキシードで現れる。お気に入りの「ベジマイト(イースト酵母から作るオーストラリアの食品)」を経営幹部用のキッチンに常備し、トーストに塗って食べる。タイムズスクエアの会社からアッパーイーストサイドの自宅まで、よく歩いて帰る。週末にはジャージ姿で郵便局の列に並んでいるところを目撃されている。
アナリストが知りたいのは、ゴーマン氏が前任者らよりもうまく、モルガン・スタンレーの抱える問題を解決できるかだ。「問題は実際、10年近くも前に始まったものなので、数四半期などは解決への歩みを見極める上でほんの取り掛かり部分にすぎない」と、CLSAの銀行アナリスト、マイケル・マヨ氏は話す。CEOに言いたいことは、「結果を出せ」、これに尽きるという。
記事に関する記者への問い合わせ先:Michael J. Moore in New York at mmoore55@bloomberg.net
記事に関するエディターへの問い合わせ先:Michael Serrill at mserrill@bloomberg.net; Robert Friedman at
rfriedman5@bloomberg.net
更新日時: 2012/02/06 15:18 JST
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