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日本が欧州に学ぶべきは増税ではない 【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/syakai/134972
2012年2月3日 掲載 日刊ゲンダイ
インボイス方式導入が必要
欧州各国が付加価値税の増税に乗り出した。フランスのサルコジ大統領は現行の19.6%から21.2%への引き上げを目指している。イタリアも21%から23%にする方針だ。目指すところは財政再建。膨らみ続ける赤字に歯止めをかけ、市場の信頼を得たいらしい。
日本でも、野田首相が「不退転の決意」とやらで消費税増税にまっしぐらだ。だれが何と言おうと聞く耳持たない。かたくなに増税を推し進めようとしている。欧州の増税ラッシュは朗報だろう。
新聞各紙も、我が意を得たりと「日本も欧州に学ぶべき」と主張し始めた。5年前に付加価値税を増税したドイツを引き合いに出し、「財政再建と経済成長の両立は可能だ」と強調している。
だが、どの報道を見ても、肝心のことが書かれていない。付加価値税と消費税は別物ということだ。
付加価値税は複数税率を採用している。フランスの21.2%もイタリアの23%も「最高税率」のこと。食料品や教育費などはずっと低い。乳幼児向けの商品やサービスにも低減税率が適用されている。増税が暮らしに与えるダメージは、日本人が考えるよりも少ないだろう。
ミソはインボイス方式にある。インボイスとは、仕入れにかかった税額が記録されている紙だ。これがあると、どの段階でだれがいくら払ったか明確になる。消費者が商品やサービスを受ける最終段階の税率を下げるには、それまでに払われた税も控除しなければならない。記録がしっかり残るインボイス方式なら、それが可能だ。
一方、消費税は、インボイスを義務づけていないため、税金の支払いがブラックボックスになり、複数税率に対応できない。税率は一律。10%になれば、宝石もアクセサリーも公共料金も米もおむつも、すべて引き上げられる。低所得者への負担は大きい。
政府は、1人につき1万円をばらまいて負担を軽減するなどとアホなことを言い始めているが、必要なのはインボイス方式の導入だ。税率ウンヌンの前に、制度を根本から改めなければダメである。それ抜きに増税を断行すれば、禍根を残す。
消費税導入時、インボイス方式の導入を見送ったのは自民党だ。税務調査が厳しくなるという企業の反対に押され、断念した経緯がある。彼らに消費税を議論する資格はないし、同じ過ちを繰り返してはいけない。
【高橋乗宣】
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