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CBO財政見通しの意味
2012/02/05 (日) 15:07
米議会予算局(CBO)が財政見通しを改定した。2012会計年度(11年10月〜12年9月)の財政赤字は1兆790億ドルとなり、4 年連続で1兆ドルを超える見込み。しかし、13年度になると状況は一変し、5850億ドルとほぼ半減を予想している。急減の主因は、11年に2.302兆ドルであった税収が、12年は2.523兆ドル、13年は2.988兆ドル、14年は3.313兆ドルと、3年で43.9%も増えるとの見通しにある。その裏付けは、12年末に期限が切れる多くの大型減税措置の失効だ。税収は対GDP比で、11年には15.4%であったのが14年には20%まで上昇する。過去40年平均は18%なので、このまま実行されれば重税感が生まれるのは確実。歳出は、昨年8月に成立した予算管理法に基づき、10年間で1兆2000億ドルの歳出を強制削減する事を織り込み、穏やかな増加に抑えられている。
一方、減税の失効と歳出削減で、景気回復は精彩を欠いたものになると予想。潜在成長力に到達しない状態が、あと6年続き、失業率も7%を上回る状態が3年は続き、13年末には9.2%まで上昇すると見ている。GDPは、2012年には2%。13年には1.1%成長に減速するが、成長スピードは14年から加速すると予測。エルメンドルフCBO局長は「大恐慌意向、こうした高い失業率が長期に続いた時期はなかった」としながら「増税と歳出削減は12年と13年の経済成長を鈍化させるが、長期的には景気に力を与える」と述べた。
セントルイス連銀の調査レポートは、CBOの見通しには、財政赤字を過小評価する傾向があり、過去の例に倣えば、現実の財政赤字額は予想より大きくなると指摘。特に5年先の見通しには問題が多く、景気後退時の予想は、さらに精度が低いと手厳しい。しかしCBOは、現状の法や金融政策が変わらないとの前提で予測せざるをえないため、その難しさも認めている。今回の見通しでもCBOは、ベースとなる想定の他に、米議会で検討されている減税の延長などを加味した別の想定での予測も公表しており、そちらでは13年度も9810億ドルと1兆ドル近い財政赤字が続く見通しになっている。ただ、政治状況が混迷の度合いを深めているとは言え、CBO予測の信頼性が10年前より低下しているとも指摘もあるので、CBOバイアスの存在は意識しなければならない。
ブッシュ政権時に実施された減税措置は今年末で期限切れとなるが、CBOの見通しからは、議会が何もしない事が、財政赤字削減にもっとも効果的な方法だと読み取れる。また、減税を延長したり、財政均衡的な法案を覆したとしても、財政赤字が今後数年は減少しそうな趨勢である点も、財政危機が先進国共通の深刻な問題になっている中で、米国の相対的な力を評価するのに重要な情報だ。
財政赤字を対GDP比率で見ると今年度は7%と大きいものの、来年度以降は劇的に低下し、13年から22年までは平均で1.5%まで低下する。しかし、赤字額が減少しても黒字にはならないので、累積債務額は増大し、現在の15.2兆ドルから22年には21.6兆ドルまで膨れ上がる見通しで、支払い金利だけでも6240億ドルに達する。またブッシュ減税継続の場合は、10年間で5.4兆ドルが必要だが、オバマ政権は、年収20万ドル以下の個人には減税を継続したい意向だ。
海外で居住、活動する米国人や米国籍企業の徴税、罰則強化は税収増に織り込まれており、日本含め外国にも協力のための負担が生じる。今後の米国の動きを読み解く上で重要な材料を提供する数値なので頭に入れておきたい。(了)
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K27O20120204
米QE3、雇用統計後も半数以上が実施予想
2012年 02月 4日 15:46 JST
2月3日、1月の米雇用統計発表後に米プライマリーディーラーを対象に実施した調査によると、回答した20社中13社が、FRBはいずれ追加の量的緩和に乗り出すとの見方を示した。写真はバーナンキFRB議長。2日撮影(2012年 ロイター/Yuri Gripas)
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[ニューヨーク 3日 ロイター] ロイターが3日、1月の米雇用統計発表後に米プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)を対象に実施した調査によると、回答した20社中13社が、米連邦準備理事会(FRB)はいずれ追加の量的緩和に乗り出すとの見方を示した。
調査ではプライマリーディーラー21社中20社から回答を得た。
前週実施した調査では、19社中12社が追加の量的緩和実施を見込んでいた。予想を上回る堅調な内容となった雇用統計を受けても、プライマリーディーラーが追加緩和見通しを据え置いたことを示している。
1月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が24万3000人増と、市場予想の15万人増を大きく上回り、9カ月ぶりの高い伸びとなった。失業率は2009年2月以来の低水準となる8.3%に低下した。
FRBは2014年終盤まで金利を低水準に据え置くと予想する理由の1つに失業率が高止まりしている点を挙げている。
失業率は約3年ぶりの低水準に改善したが、これまで景気回復は一進一退を繰り返しており、FRBは雇用市場の持続的改善を確認したい意向とみられている。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのシニアエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「米連邦公開市場委員会(FOMC)委員の多くは、QE3(量的緩和第3弾)の可能性を排除するには、雇用が持続的に大きく伸びる必要があると考えている」と指摘した。
また調査では、12社中9社が今年上期のQE3実施を予想。2社が2012年半ば、1社は9月実施を予想した。
QE3の規模については、回答した11社の予想中央値で6000億ドルとなった。これは前週の調査から変わらず。
買い入れ対象をめぐっては、12社中6社がモーゲージ担保証券(MBS)のみと予想。6社は米国債・MBSの両方が対象となるとの見方を示した。
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