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ニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が2008年秋の「リーマン・ショック」後の高値を上回り08年5月19日以来の高水準に、ナスダックは11年ぶり高値をつけた。
その背景は3日に発表された米国の雇用統計が市場の予想を上回る改善を見せたこと。
米国の失業率はまだまだ水準自体は高く、雇用者数の回復も不十分であるものの、先月31日に発表された12月の失業率が10.4%と、前月改定値(11月分は10.3%から10.4%に上方修正)に続いてユーロ導入以来の最高水準を記録、失業者数が前月比2万人増の1,650万人となり、雇用問題が依然として悪化傾向にあるユーロ圏と比較すると、その差は歴然である。
世界経済はここに来て大きく変化して来ている。それは、日米欧で景気の方向性が変わって来たことである。水準や持続性はともかくも、米国経済は方向性としては回復基調が明らかになって来ている。これに対して欧州は景気悪化に歯止めが掛からず、日本も景気回復には程遠い状況にある。つまり、世界経済の組合せは、数か月前までの「日米欧共に景気は悪化方向」から「日欧は景気悪化傾向だが、米国は景気回復傾向」というものに変化して来ている。
金融市場がファンダメンタルズを反映して動くのだとしたら、こうした世界経済の組合せの変化は、金融市場に影響を及ぼすはずである。2012年の金融市場は、昨年、2011年までの延長線上にはないと考えるのが賢明である。
米国経済が回復傾向を見せ始めたということは、世界経済にとって朗報である。しかし、この状況を素直に喜べない人達も存在している。それは「財政再建原理主義者」である。
★世界経済の組合せが変化して来た原因は、「財政政策の違い」である。日米欧共に「財政赤字」という共通の問題を抱えている状況には変化はない。つまり、世界経済の組合せを変化させた原因は、「財政赤字」の有無、或いは多寡ではなく、その「問題解決方法の違い」にあるということ。換言すれば「増税を中心とした緊縮財政」を採用したか否かである。
「増税を中心とした緊縮財政」を採らざるを得ない状況に追い込まれたスペイン。
昨年12月に発足した国民党政権は、スペイン経済がリセッション入りして歳入と雇用の重しとなっても、財政赤字を年内にほぼ半減出来ると、どこかの国の首相と同様の主張をしている。しかし、スペイン中銀は、政府が緊縮目標を「厳格に」達成した場合、同国は1.5%のマイナス成長となり、失業率が23.4%まで上昇する可能性があるとの見方を示している。
こうした「増税を中心とした緊縮財政」の副作用が明らかになって来たことで、あのIMFですら軌道修正をして来ている。ラガルド専務理事は先日ベルリンで「全面的かつ大陸全域での予算削減に訴えれば、景気後退の圧力を増大させるだけだ」と述べている。
そして先月30日のEU首脳会議でも、「債務危機の解決には加盟国の財政再建だけでなく、ユーロ圏の経済成長や雇用創出が必要」との認識で一致し、声明で「将来の成長に向けた投資を維持した賢明な財政再建や、健全なマクロ経済政策、積極的な雇用戦略といった、一貫性がある幅広い措置をとった場合のみに成長と雇用は回復する」との認識が示された。
NY株式市場が、リーマン・ショック後の高値や、11年ぶりの高値を記録する中、「増税を中心とした緊縮財政」を国際公約に掲げている日本の株式市場は、3日の日経平均株価が8,831円と、2008年の高値14,691円(08/1/4)から39.9%下落した水準に留まっている。
足下の世界経済、金融市場の動きが証明していることは、「増税を中心とした緊縮財政一本槍では財政再建は困難である」ということである。そして、世界の多くの指導者がそのことを認識し始めている。世界は「増税を中心とした緊縮財政」にようる「財政再建」ではなく、「投資を維持」した「成長による財政再建」に舵を切り始めている。
こうした中、世界情勢の変化に鈍感な「財政再建原理主義者」野田総理は、近い内に「世界のもの笑い」になるだろうし、世界の投資家から無視されることになる危険性も秘めた愚策である。重要なことは「財政赤字」が存在することではなく、「財政赤字の解決方法」である。(長崎駿介/中略)
【参考資料】******************
「拡大なき緩和」というリアルマンデート
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-11155614242.html
そういえば、先日発表された貨幣流通速度(M2)が過去最低の「1.594」を記録しており、これがちょっとした話題となっている。
2011:Q4: 1.594
2011:Q3: 1.610
2011:Q2: 1.658
2011:Q1: 1.670
2010:Q4: 1.684
この説明については、過去と重複するので貨幣の回転率 シリーズを参考して頂きたい訳だが、今回、過去最悪の「1.601」を割り込んだことになり、FRBにとっては手痛いところになる。
彼等は、市中への(マネー)緩和にあたり、バランスシートの拡大をずっと避け続けている。いわゆる「バランスシート拡大なき緩和」だ。このブログを追ってくれている方であれば理由はお分かりかと思うが、これ以上超過準備を積み上げても仕方がない、上記「流通速度を回転させ、必要以上に積み上がったリザーブをどう取り崩すか?」。バーナンキはその事で頭が一杯のはずだ。
2011-12: 1502.317
2011-11: 1497.919
2011-10: 1545.318
2011-09: 1550.992
2011-08: 1583.365
1月4日、議会に提出された「FRB報告書 」を見てもそれは明らか。昨年よりしつこく言ってきたFRBのニュートラル政策 (バランスシート規模維持)はその結果であり、ツイストオペなんかはその象徴になる。何度も言うように、現在の問題点はM(マネー)ではなくV(緩和速度)だ。
そういえば、今回更新されたM2貨幣流通速度の過去最低数値(1.601)が記録されたのは1964年、ちょうどツイストオペ1.0が行われていた時期になる。ウィリアム・マーティンジュニアの時代だ。
60年代のドル危機と現在のドル危機は、その意味合いが全く違う訳だが「長期金利を低下させ、景気全般を押し上げる」。 その意図は当時と何ら変わりない。
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