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「国民の知らない40兆円の損失」(EJ第3231号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/249736073.html
2012年02月02日 Electronic Journal
2011年9月27日の衆議院予算委員会で江田憲司氏(みん
なの党幹事長)が次のような質問をしているのです。植草一秀氏
の本に出ていたものですが、少し長いので、2つに区切って解説
していきます。
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国民が知らない間にとんでもないことが起こっているというこ
とを説明します。まず、今の外国為替資金特別会計にある、い
わゆる外貨資産高、外貨準備と言っているんですが、2010
年末の統計で、日本は1.06 兆ドル、84兆円も持っている
んですね。これは今、直近でいいますと8月末で1.22 兆ド
ルですから、大体97兆円、およそ100兆円ですよ。ただ、
ほかの先進国はどうかと言いますと、英国は0.08 兆ドル、
米国は0.13 、イタリアは0.26 というように、大体先進
国は日本の十分の一です。日本だけが突出して多いというのが
一点目。では、その100兆円になんなんとする外貨準備をど
ういう形で持っているかというと、そのほとんどは米国債で保
有している。これが2011年7月現在で9148億ドル、こ
れは史上最高まで行きまして、80円で換算すると73兆円程
度になる。これも、中国がトップで、ほかの先進国とはもう比
べものにならないぐらいの莫大なお金を持っているわけです。
──衆議院予算委員会会議録より
植草一秀著、『日本の再生』/青志社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
外貨準備の主目的は、為替リスクに対処するためのものですが
為替に介入して円高を是正しようとすると、巨額の資金が必要に
なります。そのため、100兆円規模の金額になってしまったの
です。この金額は中国に次いで第2位です。
それでは、日本と中国以外の国は、なぜ外貨準備が少ないので
しょうか。それは、国際金融では為替介入は禁じ手であるからで
す。高橋洋一氏によると、国際金融の理想は次の3つの要素を満
たすことにあるとしています。
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1. 固定相場制
2.独立した金融政策
3.自由な資本の移動
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しかし、これら3つの要素はすべてを満たせないのです。どれ
か1つを犠牲にしないと、後の2つが成り立たないからです。そ
こで世界の国々の大多数は固定相場制を捨て、変動相場制を採用
することによって、他の2つを満たそうとしているのです。
この場合、為替リスクは金融政策で安定を図るとが常識なので
す。なぜなら、変動相場制では、為替に介入してもほとんど効果
が得られないからです。円高になったので、ドル債を円で大量に
買えば、確かに円高は一時的に冷やされますが、そのドル債を売
ると円高になるので、意味がないからです。
しかし、日本はなぜ為替介入を繰り返すのでしょうか。それに
ついては後で述べます。それでは、続いて江田みんなの党幹事長
の質問の続きをご覧ください。
―――――――――――――――――――――――――――――
では、この莫大なお金を持っている結果どうなっているのかと
いうと、何とこれが、国民の皆さんはほとんど知らないことな
んですが、40兆円の為替差損が出ているわけです。40兆円
ですよ、皆さん。しかも民主党が政権交代をしたのが(平成)
21年ですから、この直近の3年間。この3年間で為替評価損
は、26兆、35兆、40兆と、もう急激にこの円高に伴って
伸びているわけですよ。そして、それまでの為替評価損と質的
に違うところは積立金というのはこういった為替リスクに対応
するために積み立てているものなんですけれども、この20兆
円レベルの積立金をはるかに上回る規模で為替評価損を出して
いるわけです。わかりやすく、これは、政府短期証券という国
債を出して国民から借金をしてそれで投資しているわけですか
ら、これは100兆円ですから、言ってみれば、国民一人当た
り100万円の外貨預金というか外貨投資をして、40万円の
損失を出しているということなんですよ。こんなことが民間会
社であったら、即刻、社長は首ですよ。しかも、この3年間、
一番責任が重い人はだれか。野田総理ですよ。財務副大臣、財
務大臣としてこういう莫大な外貨準備を放置して、結果として
この為替評価損が出た。急激な円高も食いとめられなかった。
この結果、40兆円の評価損。本来なら、民間会社なら首にな
るような人が何と総理大臣に出世しているというのが、この今
の日本の政府の現状なんですね。その一環として、外為特会が
ありますね。外国為替資金特別会計、ここに20兆円の積立金
があるんですが、これを使えという議論がございますけれども
なぜ使えないんでしょうか。──衆議院予算委員会会議録より
植草一秀著、『日本の再生』/青志社刊
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円高になると、政府短期証券で調達した巨額の資金を使い、国
際金融では禁じ手の為替介入をしても、その米国債を売らないで
保有している──これではまるで米国へのプレゼントをしている
のと同じ。100兆円もあるのですから、活用すべきです。
その国民の財産が、江田氏のいうように、直近の3年間で40
兆円という巨額の為替差損が出し、その間、財務副大臣、財務大
臣の職にいた野田首相は知らん顔をしている──こんなことは許
せないという江田氏の主張はもっともです。案外ご本人は、そう
いう事実すら知らなかったのではないでしょうか。
国民の知らないところで財務省は、これほど巨額の損失を出し
ながら、そういう損失の穴埋めも含めて首相に増税をけしかけて
実施させようとしている。まさに財務省は日本国のシロアリその
ものであります。 ―――─ [財務省の正体/57]
≪画像および関連情報≫
●外貨準備に関する植草一秀氏の意見
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日本政府は2011年8月末時点で、1兆2185億ドルの
外貨準備を保有している。世界のなかで現在、最大の外貨準
備保有国は中国である、中国は何と日本の三倍近い2.88
兆ドルの外貨準備を保有している。しかし中国は、完全な変
動為替相場制を採用しておらず、中国人民元の上昇を抑制す
るために政府が人民元を売り、ドルなどを買う為替防衛策を
採っているため、必然的に外貨準備高が膨張するのである。
これに対し日本は、1973年以降、変動為替相場制を採用
しており、基本的には変動相場制の場合、対外収支の不均衡
は為替レートが変動することによって調整されるとのメカニ
ズムが期待されており、そのなかで1兆ドルを超す外貨準備
を保有することば極めて不自然であると言わざるをえない。
植草一秀著、『日本の再生』/青志社刊
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