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FRBがインフレ目標―日銀メンツ失う
2012/01/31
ZAKZAK http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120131/ecn1201310805000-n1.htm
1月25日、ついにFRB(米連邦準備制度理事会)が2%のインフレ目標を導入した。食料とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)価格指数で2%を長期的な目標とするとした。これは歴史に残る大方針である。
インフレ目標は金融政策の枠組みとして広く世界各国で導入されている。数年後のインフレの目標を設定して、金利の上げ下げの幅・タイミングなど具体的なオペレーションは中央銀行に任せるというものだ。
インフレ目標の枠組みでは、「目標」は政府が関与するが、「オペレーション手段」の選択は中央銀行がやるので、中央銀行には、目標の独立性はないが手段の独立性が確保されるという言い方がなされる。
バーナンキFRB議長は、インフレ目標が中央銀行の行う金融政策に透明性を与え、またインフレ目標を設定することは市場と中央銀行のコミュニケーションになって経済を安定化させるというインフレ目標の理論の世界的権威だ。
私は1998年から2001年までプリンストン大学に留学し、当時彼はプリンストン大教授だったので個人的にかなりお世話になり、親しくさせていただいた。
彼のインフレ目標論について、彼との単独インタビューを掲載した本を出版するなどいち早く日本に紹介してきた。個人的に話したとき、彼の静かな決意を感じたものだ。9年ほど前に、彼がFRB理事に就任したときに、いつか必ずインフレ目標が米国で導入されると思っていた。
インフレ目標の枠組みを先進国で取り入れていないのは、日本と米国だけだった。もっとも、日本と米国ではパフォーマンスに差がある。
新日銀法が施行された1998年4月以降2011年11月までの164カ月でそれぞれのパフォーマンスをみよう。日本ではCPI(除く生鮮食品)の対前年上昇率が0〜2%、米国ではPCE価格指数(除く食料とエネルギー)の対前年上昇率が1〜3%にそれぞれなっていれば合格としよう。日本の合格率は16%、米国は98%だ。日本の場合、81%はマイナスかゼロになっているので、デフレターゲットとも揶揄されている。
今回のFRBのインフレ目標は、日銀の物価安定の理解と同じとの声も聞こえるが、決定的にパフォーマンスが異なっている。また、かつて日銀はインフレ目標を採用しても、手段がなく金融政策で達成できないといっていたが、声明文に「長期的なインフレ率は主に金融政策によって決定されるため、FOMCはインフレの長期的な目標を具体的に定める能力がある」と書かれている。
日銀はメンツを失ったが、はたしてインフレ目標を採用するのだろうか。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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