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当面のメインシナリオは、重債務国は実質デフォルト、中核国はECBが全額救済か
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34416
The Economist
欧州危機:希望か絶望か
2012.01.30(月)1月28日号)
欧州は成長によって債務危機から脱け出す戦略探しに腐心している。
最近、ブリュッセルでよく耳にする言葉は「成長」だ。恐らく、欧州の大部分に忍び寄る景気後退が、人々の意識を集中させているのだろう。あるいは、緊縮財政が長年続くという見通しが各国の不和のもとになっていることに、首脳陣も気付いたのかもしれない。
国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、債務危機を解決し、成長を回復しなければ、欧州と世界は1930年代に逆戻りする恐れがあると警告している。
1月30日に開催されるサミットで、欧州連合(EU)の首脳陣は生産の拡大推進や若者の失業対策、中小企業の支援など、山積する問題について厳粛な面持ちで話し合うことになる。欧州投資銀行(EIB)を通じて、使われていないEUの資金を再利用するなどして、雇用創出に資金を回すことさえあり得る。
サミットでの殊勝な振る舞いにだまされるな
ユーロ「圏外」を喜ぶべきは英国か?
成長に対する考え方は国によって異なる〔AFPBB News〕
このような殊勝な振る舞いにだまされてはいけない。成長に対する考え方は国によって異なり、多くの場合、これは長年の偏見を反映している。
ドイツにとって、成長促進とは支出を増やすことではなく、比較的脆弱な国々に財政規律と構造改革を導入することを意味している。
一方、フランスの優先事項は「不誠実」な競争の抑制だ。具体的には、税率の低い国(アイルランドなど)が税率の高い国(フランスなど)から事業を奪うのを防ぐための税制の調和、英国が自国銀行により厳格な規則を課すのを防ぐ阻止などだ。英国の銀行規制が強化されれば、同国の銀行がフランスの銀行よりも安全に見える恐れがあるからだ。
英国、オランダ、スウェーデン、その他の欧州北部諸国にとっては、成長は単一市場の深化や自由貿易協定(FTA)の推進による競争力向上によってもたらされるべきものだ。また、旧共産圏の東欧諸国ではEU内の資金移転が極めて重大な役割を持ち、これが成長の秘訣となっている。
公式声明でこのような意見の相違を取り繕う以外に、今回のサミットが主な課題としているのは、「財政協定」の推進だ。そのためには、加盟各国が均衡予算を順守する規則を採択しなければならない。ある外交官は「彼らはケインズ主義を非合法化する条約に署名しようとしている」と述べている。
IMF専務理事の後任、ラガルド仏経済相が最有力
IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は、危機を解決し、成長を取り戻さなければ1930年代に逆戻りする恐れがあると警告している〔AFPBB News〕
一方、ラガルド専務理事は正反対の方向に傾いているようだ。同専務理事が示した成長への提言には、金融政策の緩和、需要を押し上げる余裕があるドイツのような黒字国での赤字削減策の緩和、さらには銀行による融資継続を確実にする方策が含まれている。
また、同専務理事はユーロ圏に対し、救済基金の規模を拡大するよう求めている。さらに、欧州全体に及ぶ銀行支援の仕組みを策定する、一部のソブリン債を共有化する、といった提案もある。
ラガルド専務理事の言葉は、最も耳を傾けるべき国であるドイツには伝わらないだろう。では、欧州は麻痺状態に陥る運命にあるのだろうか?
世界銀行が1月24日に発表した欧州に関する報告書は、楽観的な見方を示そうとしている。筆頭執筆者のインダーミット・ギル氏は「米国は貧しい移民を受け入れ、高所得者に変えた。EUは貧しい国を受け入れ、高所得国に変えた」と述べている。EUの経済モデルは改革こそ必要だが、有効だというわけだ。
公共支出の大きさと生産性の低さ
特筆すべき問題が2つある。1つは、欧州の公共支出の規模だ。米国が国防の超大国だとしたら、欧州は「ライフスタイルの超大国」だ。米国の防衛費が世界の残りの国の防衛費の合計にほぼ匹敵する一方、欧州諸国が社会保護政策に投じる金額は、世界の残りの国の合計を上回っているのだ。
スウェーデン政府ほど効果的でない限り、大きな政府は概して成長を鈍らせると、世界銀行では報告している。高齢化も負担を増大させる。ギル氏によると、欧州の人々は今でも米国人より労働時間が短く、より長い休暇を取得できるが、早く退職する余裕はもうないという。
欧州の生産性がもっと高ければ助けになるだろう。しかし、これこそが2つ目の懸念分野だ。欧州は1990年代半ばに米国との生産性の差をほぼ埋めたが、今や再び遅れを取っている。最も憂慮すべきは南欧諸国で、実際に生産性が低下している。
簡単に説明するなら、地中海諸国はこれまで、技術を輸入することで「遅れを取り戻す」形での安易な成長を手にしていたということだ。
新たな成長を遂げるには、技術革新や進取の気性といった、より難しい要素の移植が必要となる。煩雑な規制、お粗末な行政、家族経営の小企業への過剰な依存、過剰に保護された労働力といった問題を抱える南欧の経済国にとっては、苦手な分野だ。これは1世代かけて解決する問題であり、1度のサミットでどうにかなるものではない。
地中海諸国という頭痛の種を除いたとしても、欧州には情報技術(IT)やバイオテクノロジーといった分野でのハイテク新興企業があまりに少ない。その原因は様々だ。産学間の連携がうまく行っていないこともその一因だ。
また、単一市場が細分化されているせいで、新興企業の事業拡大が難しい点も挙げられる。EU内の国境をまたいでオンラインショッピングをしようとした人なら誰でも分かるように、インターネットさえも国境だらけだ。
特許の不条理
象徴的な問題の1つが、もう何十年も議論されている、EU共通特許に向けた取り組みだ。欧州の人々は自身のアイデアを保護するために、米国人の5倍ものカネを投じることもある。国ごとに特許を申請し、書類を各国の言葉に翻訳する必要があるためだ。同様に、訴訟の費用も何倍もかかる。
すべての手続きが1カ所で可能になれば、技術革新とコスト削減につながるだろう。しかし、特許の共通化は長年、言語的な優越主義に阻まれ続けてきた。英語、ドイツ語、フランス語が当然の選択肢だ。しかしスペインとイタリアは自国の言語も認めてもらうか、英語のみの特許制度(最も安価な選択肢)にすることを求めている。
しかし2011年に入り、25カ国が「強化された協力」の枠組みを採択してイタリアとスペイン抜きで共通化を進めることに合意し、これで膠着状態が解消されたかに見えた。複数の訴訟はあったが、12月には合意達成が射程圏内に入っていた。
ところが今、特許裁判所の本部をロンドン、パリ、ミュンヘンのどこに置くべきかという新たな論争が浮上し、協議は再び暗礁に乗り上げている。カネの問題(裁判所ができれば、法的サービスの市場が生まれる)も多少あるが、最大の焦点は威信だ。
欧州で最も多くの特許を認可し、欧州特許庁の本部を持つドイツは、裁判所もドイツに置くべきだと考えている。英国とフランスは2011年12月に提案されたEU新条約を巡って決裂したことで、お互いに妥協する気分にない。
しかし、小さいながらも確実に成長促進につながる対策についてさえ、大国が合意に至ることができないのであれば、EUがサービス市場を全面開放する可能性などあるだろうか? 世界中のその他の国や市場が欧州に対する信頼を失いつつあるのも無理はない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34417
Financial Times
欧州が米国の債務騒動から学べること
最悪のシナリオに備えた米銀の教訓
2012.01.30(月)1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米バンカメ、1-3月期決算 純利益前年同期比77%減
大手米銀は昨年夏、万一のことがあっても消費者がパニックに陥らないよう、密かにATMを現金で一杯にしていた〔AFPBB News〕
昨年夏、米国最大級の銀行数行は密かに、自行のATM(現金自動預け払い機)に現金を目一杯詰め込んだ。
その理由は何か。銀行幹部らは2011年7月、米議会が債務上限を引き上げる措置で合意できないために、米国が今にもテクニカルなデフォルト(債務不履行)に陥りかねないと思っていたのだ。
そこで彼らは集団で議論を重ねた末に、デフォルトという「最悪」のシナリオが現実になった場合、現金が尽きるのではないかと消費者がパニックを起こすことが決してないよう、ATMを現金で一杯の状態にすることを決めたわけだ。
ユーロ圏解体という「最悪のシナリオ」への備えは?
今、ユーロ圏の将来を巡る複雑なドラマが進行している中で、これは熟考すべき示唆に富んだ話だ。欧州や米国の銀行幹部は今のところ、公の場では誰も、ユーロ圏の解体や加盟国1カ国(ギリシャなど)の離脱という「最悪」のシナリオに向けて準備していることを認めようとしない。
何しろ、先にダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会では、ユーロ圏の指導者たちが単一通貨を守ることに対する強い意志を強調した。
また、この数日間で筆者が話をした銀行幹部らのコンセンサスは、見通し得る将来においてユーロ圏で実現の可能性が最も高いシナリオ(ざっと70%の確率か)は、「何とか切り抜ける」状況が続くという見方だった。欧州中央銀行(ECB)の流動性供給策によって、差し迫った危機への不安は解消されたからだ。
とはいえ、本当に有益な「解決策」が近く出てくると思っている人はほぼ皆無なようで、大半の人は解体や離脱のシナリオが十分あり得ると考えている(確率は20〜25%程度か)。このため、公の場では安心感を与えるような発言をしながらも、大半の大手銀行は今密かに緊急時の対策を準備している。万一の場合に備えて。
ある意味で、これは昨年米国で密かに起きていたことの繰り返しだ。
JPモルガンやバンク・オブ・ニューヨーク・メロンといった大手銀行は、米国がデフォルトした場合に備えて自行の様々な契約が法的に完璧であるようにし、(例のATMと並び)レポ取引と金融市場が機能し続けることを確実にするために、2011年上半期に1行当たり5000万ドル前後のお金をかけたと見られている。
今回は、課題がはるかに複雑なため、一部大手銀行はそれよりずっと多額の資金を投じているかもしれない。
銀行はユーロ圏からの離脱が生じた場合に備えて、すべての法的契約の細則を点検しなければならず、金融市場での取引が万全か、少なくともヘッジされている状態にしなければならない。また、多くの大手銀行は、ユーロ圏全体としてバランスを取るのではなく、周縁諸国で抱えている負債が同じ国の中にある資産と釣り合う状態にしようとしている。
だが、昨年の「予行演習」とは、決定的な違いが1つある。しかも、それは安心感を抱かせるものではない。
銀行同士で周到に協議し、当局にも報告した米銀
米国の債務残高、史上初めて12兆ドルを突破
米財務省(写真)やFRBなども、銀行の準備について詳細を知らされていた〔AFPBB News〕
米国のデフォルトが迫っていた2011年夏には、最大手クラスの銀行の経営幹部たちが自行の準備について互いに徹底的に話し合った。彼らは次にこうした協調的な対策について、米財務省や米連邦準備理事会(FRB)、その他の規制当局に相当詳しく伝えた。
一方、政府は積極的なフィードバックは一度も行わず、ましてや銀行の準備について直接的なリーダーシップを取ることはなかった。何しろ、財務省がデフォルトに備えているというニュースが漏れたりすれば、政治的には自殺同然だったろう。
それでも多くの市場参加者にとっては、対話が行われているという事実そのものが大きな安心感をもたらした。計画が存在しているのだ。
しかし今の欧州では、同じような協調的な動きは、ほとんどないかゼロに見える。あるいは、もしあったとしたら、完全に秘密にされていて、銀行幹部でさえまだ知らされていないのだろう。
個別には、大半の大手銀行は、自行は準備万端だと主張する(もっとも多くの銀行は、取引所や決済システムの準備が不十分なようだと懸念を表明している)。だが、ほかの人と徹底して話した人は誰もいないように見える。ましてや中央政府機関と話した人はいないようだ。
欧州の銀行が消極的な理由
なぜか。1つの問題は、欧州の銀行業界は米国よりずっと細分化されていることだ。もう1つの問題は、弱い欧州銀行は今、曖昧なリスクに備えるには、ほかの問題に気を取られすぎていたり、現金が不足しすぎたりしていることだ。
また、ユーロ圏の一部銀行幹部の間には、最悪の事態に備えていることを認めるのに深いためらいがある。自国の政治家の地位を弱めてしまう恐れがあるからだ。さらに一部の銀行幹部は、本当に深刻な危機が現実になれば(例えば、イタリアがユーロ圏から離脱する事態など)、あまりに破壊的で複雑な状況になるため、計画立案は無意味だと話している。
しかし筆者の考えでは、それでは欧州は大きなチャンスを逃すことになる。まさに昨年夏に例の「予行演習」が行われたために、非常に有益な教訓を学ぶことができるし、最悪の事態に備えることは必ずしも、それを実現させてしまうことにはならない。
欧州のリーダーたちは米国の「予行演習」を研究し、そのうえで最悪のケースが現実とならないことを祈った方がいい。昨年米国で最悪のシナリオが現実とならなかったように。
By Gillian Tett
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LYJ8JJ6KLVR401.html
国際金融協会:ギリシャの債務交換交渉で一段の進展−来週の合意予想
1月28日(ブルームバーグ):ギリシャと同国債の民間債権者は来週債務交換で合意できるとの見通しを示している。債券保有者は欧州各国政府が求めたギリシャ新発債のより低い金利を受け入れることを示唆した。
民間債権者を代表してギリシャと交渉を行っている国際金融協会(IIF)は28日、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)が提示した枠組みで、双方が自主的な債務交換で合意に「近い」と述べた。電子メールで声明を送付した。
交渉に詳しい関係者1人は最終合意がまだ成立していないことを理由に匿名で、債権者がギリシャ30年物新発債で平均で最低3.6%の表面金利を受け入れる用意があることを明らかにした。
ギリシャのベニゼロス財務相も同日、最終的な債務交換に関する合意が来週成立するだろうと語った。
同相は今後数日間が次の10年のギリシャを形作るだろうと述べた。同相は欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)で構成するトロイカの当局者との会談後に記者団に対し、債務交換に加えて、「われわれは労働や構造改革、年金問題を解決する必要がある。労働組合や雇用者との国家的な合意が必要だ」と語った。
ギリシャのパパデモス首相は29日に、今月30日の欧州連合(EU)首脳会議を前に、同国への第2次支援策に関して国内の各党指導者と協議する予定。
ユーロ圏の当局者2人が明らかにしたところによると、ギリシャへの第2次支援策の条件として、欧州当局者はギリシャの予算決定に直接介入する計画について議論している。
ギリシャ当局者は28日、同国政府が国家主権に反するとして、計画を拒否したと語った。ドイツ財務省スポークスマンはこの件についてコメントしていない。
記事についての記者への問い合わせ先:Athens Marcus Bensasson mbensasson@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:麗英二 Eiji Toshi etoshi@bloomberg.net
更新日時: 2012/01/29 08:42 JST
ギリシャは第2次支援で1450億ユーロ必要に−独誌シュピーゲル
1月28日(ブルームバーグ):ギリシャは第2次支援で1450億ユーロを必要としており、2011年10月の合意を150億ユーロ上回っている、と独誌シュピーゲルが伝えた。欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)で構成するトロイカの匿名の当局者を引用している。
同誌は当局者の話として、ギリシャが経済状況の悪化のため、さらに資金を必要としていると伝えた。同誌によると、差額は民間債権者の負担だけでは埋まらない。
記事についての記者への問い合わせ先:Berlin Rainer Buergin rbuergin1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:麗英二 Eiji Toshi etoshi@bloomberg.net
更新日時: 2012/01/29 10:06 JST
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