http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/772.html
Tweet |
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/01/28/014848.php
イラン、強気の原油輸出禁止法案の意味 小笠原誠治
2012/01/28 (土) 10:31
先日のEUのイラン産原油輸入禁止決定を受けて、イランが対抗手段を打つのでないかと報じられています。
対抗手段と言えば、もちろんホルムズ海峡の封鎖? なんて思っていませんか。イラン自身がそう言明しているからなのです。
でも、ホルムズ海峡の封鎖となれば、米国や英国が黙っている訳にはいかなくなってしまうのです。実際ホルムズ海峡が封鎖され、原油の流通に大きな混乱がもたらされると、途方もない損害が世界経済にもたらされてしまうでしょう。
ですから、オバマ大統領もそのことに関して、先日、イラン側に書簡を送ったばかりです。軽率なことをするなよ、と。そんなことをすれば、米国として黙って見過ごす訳にはいかないのだから、と。
それに、アメリカとしては今、戦争などする気もないし、そのための費用を賄えない状況であるのです。アメリカの今の最大の課題は、経済を立て直し、雇用を回復させること。未だに8%台の失業率をなんとしても、あと2%程度は下げたいと思っているでしょう。そのような見通しが立たなければ決して大統領選に立ち向かうことはできない、と。
では、どうやって雇用を回復させるかと言えば、先日の一般教書演説のとおり。アウトソーシング
からインソーシングへ。つまり、海外移転の流れを逆転させる。再び国内回帰を促す。そして、そのためには国内回帰する企業に税制上の優遇措置を施す。或いは、大規模な公共事業を実施する。
エネルギー政策を見直す。
ただ、そのためには莫大な資金が必要となる訳です。しかし、ご承知のとおり、今米国は、財政再建に向かって無駄の削減に努めているところ。一体そのようなお金がどこから出てくるのか?
その答えが分かっている人は、一般教書演説をよく聴いていた人でしょう。
そうなのです。オバマ大統領は、国防費を大幅に削減し、それによって浮いたお金の半分を経済の立て直しに利用したいと言っているのです。
私は何を言いたいのか?
つまり、今、米国はイランと事を荒立てる余裕などないということです。だからお願いだからホルムズ海峡を封鎖するようなことはしてくれるな、と。イランだって、それは本意ではないだろう、と。
ただ、イラン側からすれば、そんなことをオバマ大統領が言う位なら、何故、イランに対して制裁など課すのか、と。
まあ、この辺のところが、なかなか理解しずらいところであるのです。
イランとぶつかりたいなんて思っていないのに、何故イランを刺激することをするのか、と。しかし、米国からすれば、刺激しているのはイラン側だ、と。
ねえ、分かりずらいでしょう?
どっちも刺激しているようにも見え‥しかし、大切なことを忘れてはいけません。
確かに、イランが核開発をすることによって、イランから米国は刺激を受けているのですが、一番刺激されているのは、米国というよりもイランのすぐそばに位置するイスラエルであるのです。イスラエルは、イランの核開発を大変深刻に受け止めている、と。何故それが分かるかと言えば、イスラエル自身が、イランの核開発は自国の存立を脅かすものだと言っているからです。つまり、イスラエルはいつでもイランを攻撃できる態勢を整えている、と。
極東の我々から見れば、なんとぶっそうなことか。
イスラエルとイランの間には、大変な緊張関係が発生しているのです。そして、それを米国は察知して、その緊張が戦争に発展しないようにと気を使っているのです。それに、イスラエル側からは何かと支援や影響を受けている米国ですから。次の大統領選のことも考えなければいけませんし。
ということで、どうにかイスラエルを宥めたい米国としては、イスラエルに成り代わってイラン側に
核開発の中止を求めたい、ということなのでしょう。
でも、それはイスラエルと米国の論理であって、イランとしては、核開発こそ自国の独立を守る手段であると考えているのでしょう。何故、自分たちが核開発を止めなければいけないのか?イスラエルでさえ、核を保有しているから強気の態度でいられるではないのか、と。
つまり、イランは核開発を止めることなど考えていないということでしょう。しかし、だからと言ってイランとしても、戦争までする気はない。だから、ホルムズ海峡の封鎖を実際にやるつもりはないかもしれない。しかし、米国やEUから経済制裁を突き付けられたままにしておくこともできない、と。何らかの対抗措置が必要である、と。
そこで出てきたのが、逆制裁というやつであるのです。イランからの原油の輸入を禁止するという
のであれば、自分たちの方から、原油輸出禁止を叩きつけてやろうではないか、と。
EUのなかでも例えばイタリアなどはイラン原油の輸入に大きく頼っている訳ですから、それが、いきなり輸入ができなくなれば、イタリア経済にとっては大変な打撃になるはずです。それでいいのかと、逆にイランは脅かしをかけようというのです。
ただ、いずれにしてもそうやってイランが逆制裁を掛けるとなれば、もはやホルムズ海峡を封鎖する必要もなくなるのです。何故ならば、そもそもイランが原油の輸出を止めてしまえば、イランの顔は立つ、と。
そして、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性が小さくなれば、当然のことながら米国などが
軍事的に反応をする必要もなくなるということで、ドンパチの可能性はなくなる訳です。そして、そうなればイランとしては、今まで通り核開発を進めようという魂胆であるのです。
問題は、そういう事の進展をイスラエルがどう考えるかということなのです。
事の本質は、イランにあるというよりも、イスラエルにあると考えた方が理解しやすいかもしれない
のです。
英国や米国は、歴史的経緯を踏まえて、中東の平和実現のためにもっと本気で働く必要があるのではないでしょうか?
「イランは、原油輸出を禁止することによって、外貨収入が途絶えないの?」
まあ、中国などに原油を輸出すればいい、或いは、一時的な措置なので特に支障は生じないと考えているということでしょう。
以上
2
Clip to Evernote
関連記事
危なっかしいイラン制裁 | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! | Klugクルーク - FX投資...
米国がデフォルトを起こす日 | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! | Klugクルーク - FX...
米国経済がぱっとしない理由 | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! | Klugクルーク - FX...
米国の試練 | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! | Klugクルーク - FX投資家向けの為替...
米国の失業率が10.2%に | 小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! | Klugクルーク - FX...
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。