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デフレについて書きたいと思います。
デフレの功罪は良く述べられますが、私は、経済学を専攻する学者ではないですから、あくまで、市場を見ているものとしての意見として書きます。
結論は、デフレは、成長が前提である資本主義経済下においては、好ましくない状態で、回避しなければいけない状態だということです。
(そもそも、英語でde-という単語はネガティブな意味合いが多いですよ)
まず、デフレは、物価が下がることを言います(当たり前)。
物価が下がるということは、短期的には、いいこともあると思います。
物の値段が下がるわけですから、安く買い物ができるので、いいことかもしれません。
しかし、物の値段が下がるということは、結果的に、売上が減少し、利益が減少することになります。
となると、時間の経過とともに、企業の業績は悪くなり、給与も減少します。
最悪のケースは、企業は破綻します。
総じて、需要が少ないので、安売り競争になりやすく、その結果、利益率が下がるという悪循環になります。
そんな環境下で、借金をして、事業を行おうとしている人がいたとします。
その人は、事業をしては、資金に行き詰まり、その度に、借金をしていたのです。
その人は、土地とか、資産を持っていたので、銀行の追加で資金を融資していたのです。
さて、この人はどうなるのでしょうか。
普通は、事業は行き詰まり、破産しかねません。
これも、物価の低下からくるわけです。
日本も簡単に言えば、こんな状況です。
日本は貯蓄が異常に多いのですから、借金が多くても、まだ、信用が維持されているのだと思います。
さらに、デフレですから、金利は異常に低いわけです。
で、借金が多くても、利払いのコストは低いままなのです。
もしかすると、これが、財務省や日銀の戦略かもしれません。
デフレを維持しておくことで、借金のコストを最小化しておくということです。
いや、戦略とかではなく、たまたま、デフレがコストの最小化に役立っているだけかもしれません。
信用が維持されている間は、この公式が成り立ちますが、信用が失墜し始めれば、デフレであろうが金利が上がり、財政がさらに厳しくなるのでしょう。
でも、ですよ。
こんな状態(デフレ)を放置しておくと、いつまでたっても、物価は下がり続けるわけです。
デフレとは収縮ですから、収縮させておくと、借金の割合がますます大きくなって、困りませんかね。
事実、税収は減税分を差し引いても、減少傾向です。
さらに、民間が借金の時は、効率化を徹底して、借金を返済しなければなりません。
しかし、公的部門は、ご存知の通り、もっとも非効率な部門です。
そこが借金をしても、早々簡単に返済できません。
となると、日本の効率が悪くなり、成長も鈍化するわけです。
結局、日本の利益率は落ちて、給与は減少、企業は過当競争になり、生活は、じわりと苦しくなります。
さらに、借金のある人は、更なる苦痛を負い、自殺者も増加するという、本当に真綿で首を絞めるかのごとくなのです。
これが、財務省や日銀の戦略なのかということです。
もちろん、デフレ環境下でも、好況な時期もあります。
しかし、基本は、不況な時期が長いのです。
反対する人もいるかも知れませんが、人間が実感するのは、「名目」の世界です。
名目GDPが増えない限り、人間は、苦しさの方が増します。
要は、実感がわかないのです。
さらに、デフレを放置しておけば、株式市場や不動産市況も緩やかながらも、右肩下がりです。じわじわと苦しくなるのです。
このように書くと、デフレが原因でなくて、いやデフレ以外にも政治の政策に問題があったりして、自殺者が増えたり、日本が苦しくなったりしているのだということを言う人もいるでしょう。
しかし、規制緩和が進まない結果、構造問題が解決しない結果、少子化の結果、老齢人口が多い結果、労働人口が少ない結果、日本の質素倹約文化の結果、円高の結果、デフレなのです。
デフレから逃れるためには、高コスト化した世の中では収益率を上げることができないので、高コスト化を改革しなければいけないということです。
規制緩和して、構造改革すればいいのです。
子ども手当てを増やして、年金を減らせばいいのです。
政治的に出来ることは、いくらでもあるのです。
財政だけで行けば、何としてもプライマリーバランスを黒字化することです(もっとも非効率な政府部門の借金は減らす)。
これで日本の借金は時間がかかっても、必ず減ります。
こうなると、金融市場というのは、面白いもので、デフレからインフレへと変わる可能性が出てくるのではないでしょうか。
つまり、成長性がでてくるわけです。
高コストが改まり、資金が効率的に使われる可能性がでくるわけです。
多分、歴史上、そんな国なんてほとんどないと思います。
普通は、借金が増えて、信用がなくなって、資金調達コストが上がって、デフォルトするお決まりのパターンです。
日本は、なぜ、そうならないか。
よく分かりませんが、多分、まだ、貯蓄があるからなのでしょう。
今は、デフレですから、その貯蓄を食いつぶしているわけです。
私は、まだ、貯蓄に余裕があるとは思っています。
(懸念は、日本に対する信用が失墜した時です。なぜなら、急激に貯蓄を食いつぶすからです)
しかし、規制緩和などの上記政策を行って、高コストな日本から効率的な日本に変えて、日本のお金の流れを変えることこそ、デフレ対策だと思っています。
プライマリーバランスの黒字化は、いきなりは、困難でも、政府部門が効率化するだけで、デフレは変わると思います。
ここからが、ある意味、本題なのですが、政府部門を改革することは、大雑把に言えば、予算削減を意味しますから、放置しておけば、デフレスパイラルになりかねません。だからこそ、金融を緩和して、景気を少しでも維持するのが日銀の役割だと思います。
FRBは、明確に2つの役割があります。
物価と景気です。
だから、今回のFOMCでは、インフレの懸念が少ないから、景気を重視する政策を採ったわけです。
非常に理にかなっています。
★日銀の役割は、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展を助けることなのです。であれば、景気回復は、日銀の仕事なのです。
財政政策は政府の仕事ですが、金融政策は日銀の仕事なのです。
確かに、デフレ脱却は金融政策でなく、ほとんど、政府の問題、もっと言えば、大借金の公的部門の効率化の問題なわけです。そこを直さないと上手くいかないと思います。
しかし、そこを変えるには、レバレッジの縮小(簡単に言えば、予算カットや既得権益の削除など)を行うわけですから、更なるデフレ圧力がかかります。
だから、日銀もやることは、あるはずです。
景気を維持するために知恵を絞るのでしょう。
政府ともっと話をしたりすることもそのひとつでしょう。
ボンクラの財務大臣と喧嘩している場合じゃないのです。
もっと、建設的なコミュニケーションをとらなければいけないのですよ。
以前も書きましたが、白川さんの意見は、「なるほど」というものが多いと思います。
そこには、特に反論もありませんが、★言うこととやることは別ですよ。
★ロン・ポール下院議員を知っている人多いと思います。
この方、FRBはいらないと言っているのです。
きっと、日銀とて、同じことです。
私は、なぜ要らないのか、まだ、十分に理解できていませんが、小さな政府を目指す人には、FRBも政府紙幣の格好で代替できるということです。
デフレになる原因はいろいろなのでしょうが、物価下落という現象は、成長を目指す資本主義においては、非常に厄介な存在だということです。
しかも、時間が経てば、ますます疲弊していくのです。
資本主義の先進国の英国では、19世紀後半に長期間デフレになり、不況が続きました。
しかし、産業革命でしこたま儲けていたので、異常な貯蓄があったのです(植民地政策でも儲けました)。
さらに、新興国が出てきて競争力を失い、不況になり、イノベーションが喪失したりして、構造改革が送れ、高コスト体質になってしまい、収益率が低下したのです。
その結果、需要が低迷し、物価を断続的に低下したのでした。
幸か不幸か、当時の英国はとんでもない貯蓄があったので(債権国)、長い間、デフレに耐えうる力があったわけです。
一説には、サッチャーの出現を待つまで、低迷の時代だという人もいるくらいです。
これ、日本のことではないですよ。
19世紀後半のイギリスのことですからね。
デフレの克服は、結局、規制緩和などを通じて、世界中から企業がよってくるような環境、財政再建、日本の効率化、などなどでしょう。
具体的に言えば、アップルのような企業が日本に出現する環境を作ることなんです。
そうなるには、途中で、景気が底割れしては、更なるコストがかかるので、金融は緩和しておくべきだと思うのです。
★長くなりましたが、これが私が思うデフレ悪玉論です。
日銀の緩和を将来のインフレにつながるのかもしれませんが、信用失墜を別とすれば、そうそう厳しいインフレにはなることはないと思っています。
正常化すれば、日本がもっと効率的になっているはずですから、それこそ、日銀の得意とするインフレ抑制が出来ると期待しています。
それより、景気悪化のコストがいかに高いか、目の前の火事は、何としても消そうというのが消防士の役割で、燃えている前で、消化後の後片付けの議論をすることはないですよね。
反論…あるでしょうね。コメントどうそ。賛成!という方もどうぞ。
あと、市場関係者の経験からなんですが、株式市場とは、成長の鏡でもあるわけです。
株価が下落しているということは、成長性がないということです。
これがデフレの結果なのだと思います。
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