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The Economist 中国経済:統計に見る2つの異変
2012.01.26(木)
(英エコノミスト誌 2012年1月21日号)
中国の消費比率はもはや低下しておらず、外貨準備はもはや増加していない。
中国の09年輸出額、ドイツを抜いて世界一へ
中国の純輸出は2011年に減少した〔AFPBB News〕
データが示すポイントは、時として議論されているポイントより早く変化する。中国の輸出主導の経済成長は、この国の巨額な外貨準備を容赦なく増加させると同時に、国内では消費者を圧迫し、海外では競争相手を圧迫するというのが世間一般の通念だ。
だが、今月公表された統計は、こうした議論を複雑なものにしている。
中国は今もかなり多額の貿易黒字を計上している。だが、2011年には純輸出が(絶対ベースで)減少した。純輸出の減少は、2000年以降たった3度目のことで、中国の成長率を0.5ポイント押し下げた。
消費に支えられて力強い成長を維持
国内で生まれた支出のおかげで中国経済は2011年にも何とか9.2%拡大し、第4四半期でさえ驚くほど堅調に推移した。
この成長は、通常考えられないほど多くの部分を消費(公的部門と民間部門の両方)に負っており、その寄与度は2001年以降初めて5割を超えた。その結果、中国の国内総生産(GDP)に占める消費の割合は、10年連続で低下してきた後で、2011年にわずかに上昇に転じた。
中国の成長の柱は引き続き投資で、中国経済は依然、憂慮すべきほど投資に依存している。実際、中国を批判する人たちは、過剰な輸出を理由に中国を叩いていない時には、不動産に対する過剰な投資を理由に中国を叩く。
だが、中国の住宅ブームは著しく減速している。中国は先日、昨年12月には全国70都市のうち52都市で新築住宅の価格が前月比で低下したと発表した。家計は住宅ローンを組むのに四苦八苦しており、デベロッパーはほとんど融資を受けられない状態だ。
ロンドンと北京に拠点を置く調査会社ノース・スクエア・ブルー・オークは、外国資本の枯渇ぶりが特に劇的だと指摘する。外国資本は12月に前年同月比で65%減少した。
外国人が不動産から逃避する動きは部分的に、中国の物語のもう1つの意外な展開を説明している。中国の外貨準備が第4四半期に、アジア金融危機がピークに達した1998年以来初めて減少に転じたのだ。
減少幅は小さく、3兆2000億ドルから3兆1800億ドルに減っただけだが、外貨準備の減少はやや不可解でもあった。中国は依然として輸入よりも輸出が多く、自国が行う対外直接投資よりも多くの対内直接投資を呼び込んでいる。ということは、これら2つの外貨収入源は、未確認の外貨流出によって相殺されたはずだ。
懸念されているのは、中国の資本規制に漏れが生じたことだ。中国の成長に引き付けられた「ホットマネー」が、不動産市場が揺らぎ始めたことで流出しているのかもしれない。中国の富裕層が大挙して、新たに手に入れた富を国外に持ち出し始めているのではないかと推測する向きさえある。
外貨が流出し始めた本当の理由
こうした不安は、今のところ行き過ぎている。外貨準備の減少の一部は、恐らく中国が保有するユーロの価値の変化を反映しているのだろう。一部は確かに短期資金の撤退を表しているが、ホットマネーの満ち引きは珍しいことではない。さらに、ある種のホットマネーはその他のホットマネーより熱い、とスタンダード・チャータード銀行のスティーブン・グリーン氏は言う。
温度計の一方の端では、輸出業者が合法的に獲得した外貨収入の交換を遅らせているのかもしれない。反対側のもっと熱いケースでは、輸入業者がより多くの資金を国外に送金するために、購入した商品の量を不法に過大申告しているのかもしれない。
資金を持ち出すことに熱心な資本家は、別の切り札も持っている。グリーン氏の試算では、昨年は約1850億ドルの資金がマカオのカジノのVIPルームを通じて中国本土から出ていった可能性があるという。
ノースウェスタン大学のビクター・シー教授は、中国の上位1%の富裕層は、流動資産と不動産を2兆〜5兆ドル保有していると見ている。仮に彼らがそのカネをこっそり持ち出したとしたら、中国の外貨準備でさえ、さすがに減る。そうなれば、人民元に大きな下落圧力が加わり、中国の経済運営にとって大惨事となる。
ただ、少なくとも中国を批判する人たちはもう、中国が為替レートを実態より低く抑えているという、もう1つのお馴染みの非難を持ち出すことはできなくなるだろう。
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