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株式日記と経済展望
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欧州の債務危機に端を発した海外経済の減速や燃料価格の高止まりなどで、
貿易赤字は今後も続くとの見方は根強い。日本経済は岐路に立っている。
2012年1月25日 水曜日
◆31年ぶり貿易赤字国に転落 体質定着の恐れも 1月25日 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120125-00000522-san-bus_all
自動車などの輸出で貿易立国として成長を続けてきた日本が「貿易赤字国」に転落した。直接のきっかけは3月の東日本大震災だが、欧州の債務危機に端を発した海外経済の減速や燃料価格の高止まりなどで、貿易赤字は今後も続くとの見方は根強い。日本経済は岐路に立っている。
2011年が貿易赤字になったのは、震災の影響が大きい。自動車などの生産停止で、輸出は3月から7月まで前年割れが続いた。そこに拍車をかけたのが、欧州の債務危機と円高だ。欧州向け輸出が多い中国などへの輸出も減少。8、9月にプラスになった輸出は再びマイナスに転落した。
一方で、輸入は震災以降の電力不足を背景に、液化天然ガス(LNG)などの増加が続く。また、核開発を続けるイランへの制裁強化で、原油相場が上昇する可能性も出てきている。
海外から得られる利子や配当などの所得収支を加えた経常収支は黒字だ。ただ、円高で企業は生産の海外移転を進めており、輸出の減少で貿易赤字が定着し、経常赤字になる懸念もある。そうなれば、国内で使えるお金が減って、国債の消化が行き詰まり、財政にも打撃を与えかねない。
◆日本の輸出大国時代の終わり 1月24日 ウォールストリートジャーナル
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_380263
【東京】世界で最大規模の輸出国家のひとつが勢いを失っている。
数十年にわたり、日本は製造業の力と輸出に主眼を置いた貿易政策によって、世界中の市場に自動車や家電、セミコンダクターなどの雨を降らせてきた。
だが、その時代も終わった。
日本政府は25日、1980年以来初めてとなる貿易赤字(通年ベース)を発表すると予想されている。仮に円高が続き、世界経済も弱いままであれば、日本は向こう数年間、貿易赤字を抱えることになるとエコノミストらは警告している。
この驚くべき変化は、工場を破損させ、サプライチェーンを寸断し、この国の原子力発電所の多くを待機状態にした、昨年3月の地震と津波によって一部もたらされた。しかし、輸出大国日本が年金生活者の国へとゆっくり変化していくなかで、企業の競争力低下のような、長年にわたり水面下で進行してきた傾向を、地震はただ速めただけのようだ。
生産部門を海外へ移す日本企業は増え続けている。森精機製作所の森雅彦社長は「転換期ですね」と言う。同社は今年、1948年の創業以来、海外初となる工場を米カリフォルニア州デイビスに開く。5年以内に同社が製造する機械の40%程度を海外で生産したい意向だ。
かつて日本は世界中の国を自分たちの勢いに従わせていたが、今、この島国は自身のコントロールが及ばない強い国際圧力によって大きく影響を受けている。中国やブラジルといった新興国の急激な成長が、カメラや携帯電話、また自動車などの製造に必要な石油・ガスからレアアースなど輸入品すべての価格を吊り上げてきた。森氏によると、レアアースの価格高騰が森精機で必要なモーターに使われている磁石のコストを2倍にしたという。
日本の国内製造業の沈滞は貿易統計に反映されている。2011年1月から11月までの貿易赤字は2兆3000億円となった。2010年は通年で6兆6000億円の黒字だった。アナリストらは11月までの赤字を相殺するほど大きな黒字が12月の統計に計上されるのは不可能だとしている。
「大きなトレンドとしてこのままでは貿易赤字になっていく傾向にあることを否定はしない」と、枝野幸男経産相はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで述べた。
日銀出身でクレディ・スイス証券のチーフ・エコノミストを務める白川浩道氏は、日本が昨年同様、今年も貿易赤字を記録すると予想している。同氏によると、円が対ドルで歴史的な高値水準を維持し、エネルギー価格が高く、外需が比較的弱い限り、黒字に戻る可能性はほとんどないという。
こうしたなか、日銀は24日、2011年度の実質国内総生産(GDP)伸び率の予想を従来の前年度比プラス0.3%からマイナス0.4%に下方修正した。日銀は、海外経済の減速や円高が引き続き景気の重しになっているとしている。
これは日本にとって不吉な展開だ。仮に貿易赤字が続けば、日本は安定した債権国から純債務国に転じる可能性がある。日本は、経済規模に対する比率で比べると、すでにイタリアよりも大きな債務負担を抱えており、将来、債務問題が一段と深刻化しかねない。円は現在、天空をつくような高水準にあるが、日本が貿易赤字を続ければ、やがて円も下落する。弱い円は日本の製造業を下支えするものの、輸入への依存度を高めつつある経済に打撃を与えることになる。
第二次大戦後の数十年間、日本は輸出主導の成長路線を維持し、この国のリーダーたちが「日本の奇跡」と呼ぶ驚くべき富の創造を達成した。1981年には日本車が米国市場を席巻し、米国政府は日本の自動車メーカーに対し、「自発的に」輸出を制限するよう圧力をかけ始めた。その直後、米国は日本が世界市場で半導体をダンピング(不当廉売)していると非難した。
日本の輸出攻勢を抑え込むための国際な取り組みの一環として、米国と欧州主要国および日本は1985年にプラザ合意を結んだ。これは、合意がなされたニューヨーク市内のプラザホテルから名づけられたものだが、主要通貨に対する円の価値を高め、世界市場で日本製品の価格競争力を抑えようとするものだった。この合意を受けて、1985年に1ドル239円だった円は、88年には1ドル128円にまで上昇した。
しかし、巨大な日本の貿易黒字を縮小させるという期待された効果を得ることはできなかった。日本の金融当局が経済への影響を軽減しようと、安い資金を市場にあふれさせたためだ。結果、資産バブルが日本経済と金融市場に大きなひずみを生じさせ、その崩壊が20年に及ぶスタグネーションの土台を作った。米国は中国の人民元に対して同様の圧力をかけているが、中国側は、プラザ合意のトラウマが、米国の圧力に応じることを躊躇させる大きな理由であると指摘している。
ここ数年、日本の製造業は中国や韓国といったライバルたちに後れをとっている。これらの国の製品は、日本製品と同様の品質だが、より低コストで作られている。デロイト・トウシュ・トーマツと米国競争力委員会によって2010年に実施された、世界の製造企業トップらを対象にした調査では、向こう数年間、日本は高齢化と国内生産のコスト高により、製造業の競争力において、引き続き新興国や米国の後塵を拝することになると予想されている。(後略)
(私のコメント)
欧米経済の不振とホルムズ海峡の危機の高まりで石油価格が高騰して、日本は31年ぶりの貿易赤字になるそうです。今までが超円高でも黒字だったのが不思議なくらいですが、火力発電用の燃料の輸入が大きく響いていることは間違いがない。「株式日記」では条件付の原発推進賛成派ですが、この調子だと日本中の原発が止まりかねない。安全性を高めて使える原発は稼動させるべきですが、日本では一度流れが出来てしまうと変えることは難しい。
ホルムズ海峡をめぐる危機は日本にとっては死活問題ですが、円が売られてもいい環境になっています。さらに貿易赤字が長期化すれば円安傾向になっていくのではないだろうか? 日本企業は超円高が定着したとして控除の海外移転が進んでいますが、海外に移転したとたんに円安に転換していきます。新興国もインフレで必ずしも人件費は安くなくなって来ていますが、日本企業の海外移転の動きは止まりません。
確かに円高は輸出競争力には不利に働きますが、欧米の景気が良ければ新興国は通貨を安くして輸出競争力が高くなり日本は不利になります。このような日本を抑え込む動きは1985年のプラザ合意から始まりますが、米中による日本封じ込め戦略に気がつくのが遅すぎた。中国は80年代は1ドル=2元程度でしたが、1ドル=8元にまで4分の1にまで切り下げられた。これは中国が単独で出来る事ではなくアメリカが認めなければ無理な事です。
それに対して日本の円は1ドル=75円にまで切り上げられましたが、米国政府とFRBによるドル安政策で円が高くなります。つまりアメリカと中国による日本に対する封じ込め政策であり、日本の輸出産業に大きなダメージを与えている。しかしながら東日本大震災で日本国内は大きな被害を受けて、特に福島第一原発事故で火力発電に頼らざるを得なくなり、石油やLNGなどの燃料輸入が大きくなって来ている。さらにホルムズ海峡問題で石油が高騰している。
2011年の東日本大震災は、日本にとって大きな転機になったのみならず世界にとっても大きな転機になっていたのではないかと思います。ヨーロッパの金融危機はこれからもますます拡大して何が起きるかわかりませんが、石油価格の高騰がリーマンショックやヨーロッパの金融危機の大元になっているのでしょう。世界の石油生産のピークは2004年ごろには既に打っていて増産余力が無く、投機的な資金が石油価格を吊り上げやすくなっています。
中国やインドをはじめとする新興国の経済発展は石油の消費を飛躍的に拡大させますが、数十億人の中国人やインド人が車を運転するようになればガソリンはいくらあっても足らなくなります。このような状況になればヨーロッパやアジアには石油が少ないから石油の高騰はドルにとっては有利に働きます。昨日も石油の問題を書きましたが、石油の高騰や脱原発の動きは日本にとってはエネルギー危機であり、中東の油田や脱原発の動きは日本にとってはダメージだ。
日本は外貨を切り崩して石油を輸入しなければなりませんが、ホルムズ海峡は封鎖されると物理的に輸入がストップする。ヨーロッパへはパイプラインがありますが、日本へはタンカーでホルムズ海峡を通らねばなりません。エネルギー問題は日本のボトルネックであり、再生可能エネルギーや石油代替エネルギー開発にもっと研究開発費を回すべきなのでしょう。
東日本大震災を見ても、東北の被災地域には風力発電機も太陽光発電機も普及しておらず、携帯電話や通信用の電力すら確保できていなかった。病院などの自家発電機も燃料が無くなれば発電できないことが分かった。避難所となるべき学校や病院などには太陽光発電機があれば通信や照明程度の電気は確保できるのですがそれすらなかった。
日本には世界最大の1500兆円もの金融資産がありながら、投資先が無いとして銀行も国債ばかり買ってきましたが、自然エネルギー資源開発にはほとんど投資されてこなかった。日本人にはほとんど危機に備えると言う発想が無く、原発事故に際しても「想定外」の言葉を繰り返した。日本政府はホルムズ海峡が長期間封鎖された時の地策は立ててはいないだろう。
それと同じく、超円高から超円安になった場合の事も考えている人は僅かだろう。石油の備蓄もありますが東北地域には石油製品の備蓄も無くトラックも走れなくなりましたが、東北人は我慢強いが将来の危機に備える意識の無さが大震災後の復旧を遅らせている。インフラなどは二重三重の備えが必要ですが、学校や病院には井戸すらなくてトイレの水も無いから使えなかったと言うのは問題だ。
日本企業も、海外へと草木もなびくような状況ですが、タイに工場を移転したらタイが洪水で工場生産が止まってしまって自動車産業をはじめとして被害を受けましたが、グローバル化の一箇所に集中した生産体制は非常に危険だ。パソコン用のハードディスクが高騰していますが、タイに工場が集中していた為だ。日本国内にある程度の生産設備があれば補完が出来たはずだ。日立もサムスンもHDD部門を売却したとたんに投売りだったHDDが倍近い値段に値上がりしている。
物事は人が思っている事とは反対の方くによく動きますが、円高もいつまでも続くわけではなく災害もいつ起きるかわからない。日本の貿易黒字も転機が来たのだろう。そして工場を海外に移転させたとたんに超円安がやって来るかもしれない。石油もストップしてしまったらそれは起きるだろう。私などは避難用のアパートを千葉に確保していますが、燃料はプロパンであり井戸水も使っているので後は太陽光パネルで電気を確保できれば自給自足体制は出来上がる。それくらいの用意はしておくべきだと考えているからだ。
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