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デフレの原理と消費税のお話
消費税を引き上げるとなぜ日本経済は破綻するのか。それは消費税を上げるとデフレスパイラルを引き起こすからです。
現在のデフレ下において消費税を増税することは、著しい経済の縮小を招き、税収減をもたらします。場合によっては一気に日本は破綻するでしょう。
なぜなら消費税の増税は、デフレスパイラル(経済の循環的急下降:経済的恐慌)を起こす原理だからです。
消費税の引き上げは、市場から資金を一気に大幅に減少させます。これがデフレスパイラルを惹起するのです。
問題はこのことを現政権下の民主党指導者や、自民党、官僚、経済の専門家、そしてそれを後押しする新聞などのメディヤが全く理解していないことです。
彼らは消費税を増税して財政が再建されるとか、日本経済にとって少しは増しになると本当に信じているようです。
しかしデフレ下での消費税の増税ほど経済的悲劇を招くものは他にありません。日本経済を潰す愚行です。
デフレ下では消費税の増税は如何なることが有ってもしてはならないものなのです。それが常識になっていないところが現在の日本の苦境を示しています。
よく新聞紙上などで、無駄の削減が先だ、とかこれ以上歳出カットができないところまでやってからだとか言って、消費税の引き上げを賛成をさせようとする論調を見かけるが、消費税を上げればそのような無駄の削減などあっと言う間に吹っ飛んでしまいます。
公務員の給料の5割削減や、議員数の削減など、消費税の増税の前では何の意味もありません。
震災復興も、デフレ解消もすべて夢物語となり、再建不能な日本を次世代に残すことになります。消費税の増税を行えば今以上にはるかに悪くなり次世代どころか現世代が大敗北を喫するでしょう。
ただ民間の経済の収縮と連動しない公務員だけが得することになります。
また消費税の増税を掲げる政治家の方が真っ当であるかのような書き方をしたり言ったりする新聞やメディヤがありますが、彼らは経済のことを全く知らない、単に新聞に躍らされたピエロです。単なる匹夫の勇に過ぎないのです。
このデフレ下で消費税増税を掲げると選挙で負けるのは、当然です。国民の正しい判断です。逆に消費税増税法案などが通れば日本は終わってしまいます。
消費税の増税というのは、資金を市場から奪うという行為です。これを大幅に行うとデフレスパイラルを誘発します。バブルの時や正常な経済の時にこれを行っても、やはりデフレスパイラルは起こっているのです。
しかしその場合、バブルであれば、市場の過熱を抑える政策となり調整的政策となります。実際に日本はバブル時に消費税を3%に引き上げ成功しています。
消費税というものは、時機と利率さえ間違わなければ管理できるものです。日本はバブルを潰すために消費税を15%ぐらいまで引き上げればよかったのですが、当時まだそのような理論がなく、バブルのつぶし方を間違えたのです。
逆にデフレでこれを行うと、橋本政権で行なわれた2%の増税でも一気に破綻の縁まで追いやられるのです。現状の日本はその当時より一層デフレが進んだ苛酷な状況にあります。
この時機の消費税の増税は論外です。消費税の増税は100%デフレスパイラルを惹起します。デフレ下で行えば一気に破綻に追いやるでしょう。
税収も増えません。増えるというデーターが示されていますが、それはまやかしに近いものです。そのことは、1997年の消費税の5%にしたことが物語っています。その時は今より日本全体にまだまだ資金的な余裕がありました。2%上げただけで日本経済は停まってしまったのです。そしてなお下降中です。
社会保障と税の一体改革なるものが、消費税の増税による社会保障の充実を目指すものなら、デフレ下において行うことに、なんら経済学的な根拠はありません。何の効果もなく、見るも無惨な光景が展開されるでしょう。
税と社会保障の一体改革は、デフレ下で行えば経済を破壊するものであり、社会保障の一層の崩壊を意味しそれどころか日本をデフォルトさせるのです。なぜ彼らがこのような馬鹿げた破綻策を積極的に取ろうとするのか全く理解できません。
*それでは、消費税の増税はなぜデフレスパイラルを招き、恐慌を起こすのでしょうか。
1、デフレが生じる原因
それには先ずデフレ市場とはどんなものかを知る必要があります。
デフレは、生産能力が失われる事なく、資金量が著しく減少した市場です。その結果生産量に比べ消費が著しく不足し、製品やサービスが過剰になり、激しい競争から製品やサービスがどんどん低価格化し、製品やサービスの単位辺りの付加価値(利益額)が減少します。それが所得の減少をもたらし、税収減になります。
所得が減少しても国民負担額や、税の負担額、借金額が変わらないため、市場から資金が税金として、又は、借金の返済として市場から奪われます。そして国民の可処分所得が下がり、消費額が減じます。
その結果我々の消費に使える分が前より少なくなり、経済はその消費に合わせた経済規模に縮小することになります。この循環を繰り返す市場がデフレ市場です。
普通の市場がこのようなデフレに陥る原因は、
資金が大量に市場から急激に、減少することです。
デフレになる原因の一つに、金融資産や、株式市場の崩壊が上げられます。
他に、戦争賠償金の巨額の支払いのようなもの、あるいは、ユーロの崩壊による、ヨーロッパ諸国の金融機関の大規模な債務などが考えられます。巨額の債務を大増税により資金を民間から徴収することにより市場から大量に資金がなくなるのです。
日本のバブルを例に取ると、金融資産、株式市場、土地価格の暴落により、多くの資産家が莫大な借金を背負ったため、その借金の返済のため、資金が実体市場から流出し、消費額を大幅に減らしました。市場全体の消費額が市場全体の生産額以下になることによりデフレが始まります。
これは需要と供給の差から生まれるものではなく、需要があっても買えない消費不足の状態なのです。いわゆるお金が無いから買えない状態です。
デフレ市場は生産量より消費が著しく少なくなっており、その差額を貯蓄により補うことができない市場なのです。(全体の借金が貯蓄を上回っているからです。)
デフレ市場の特徴のひとつは、資金が循環的に市場から流出し、市場がどんどん金詰まりになっていくことです。やがてどの産業も、企業も儲からなくなり、最後には市場経済が成り立たなくなり終わります。
消費税の引き上げはこの金詰まり状態からさらにお金を奪うことになるのです。
このようなデフレ市場の特徴を所得線を描くことによって簡単に表すことができます。
デフレ市場の所得線を描くと、45度線より角度の下がった所得線が支配する市場になります。これがデフレ所得線というものです。生産量を横軸にとり、資金量を縦にとりその交わる点が所得です。
(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/syotokusennosuiizu20120119.html)
正常な経済の場合、生産量の増大に応じて資金量も増えるため、所得線は45度で描くことになります。しかも生産量が貯蓄が十分に存在する程度の大きさになります。図ではIの資金量とFの生産量です。
これに対してデフレの所得線は、45度以下の角度の所得線で描かれます。生産量に対して(あるいは生産能力に対して)資金量が著しく少なくなっている場合の所得線です。C、Dの所得線です。
逆に45度以上の所得線が支配する市場がバブルとかインフレといわれるものです。ここでは詳しく述べませんが。Aがバブル所得線です。
バブルの時、消費税を引き上げるとやはり資金が少なくなりますが、所得線Cまで落なければ、経済の引き締めで終わります。しかしC線まで下降すると、デフレに陥ります。循環的な経済縮小過程です。(デフレか否かは、全体の借金が貯蓄を上回るかどうかが目安になります。)
こうなると今までの普通の経済政策では、デフレから抜け出せません。
デフレ所得線が45度以下に下がっているのは、市場の資金量が生産量に比べ著しく少なくなっている結果です。そのため資金量と生産量の比率が変わっているからです。生産量1に対して資金量は1以下であり、物よりお金の値打ちが高い市場です。
簡単に言うと正常な経済よりお金がなくなっているのです。金詰まりです。
デフレ市場やデフレスパイラルの生存競争を説明するのに市場をゴルフトーナメントに置き換えると分かりやすいでしょう。
ゴルフトーナメントの賞金総額が正常な経済の場合が10億、バブル経済が15億、デフレ経済が5億の市場としましょう。
優勝者の賞金が、30%、2位が10%、3位が5%、4位以下が2%、などと決められています。
正常な経済であれば、優勝者は3億もらえ、2位は1億、3位は5千万と言うふうに決ります。
しかしお金が少なくなったトーナメント市場では、例えば5億円の市場では、優勝者は1億5千万、2位は、1億、3位は2千5百万となります。
しかし優勝者の実力は、変わりません。例えばタイガーウッズが勝者なら、バブル市場でも、デフレ市場でも、正常な市場でも実力が変わらないにもかかわらず、優勝賞金額が、バブルでは4億5千、正常では、3億、デフレ市場では、1億5千万になります。
彼の実力が劣化したわけではありません。実力が同じでも、全体の市場の資金が少なくなったため、貨幣的評価が少なくなったのです。
デフレ市場とはこのようなものなのです。同じように働いていても実入りが悪くなってくるのです。競争により少なくなったお金(資金量)を取り合いするからです。
日本はバブルの大崩壊により、バブル市場から一挙にデフレ市場へ突入したのです。それがA線からC線への移動です。
莫大な借金が、貯蓄量を越え、資金が市場から流出し、消費が不足した市場が出現したのです。自分たちが生産したものを全部買うことができない市場です。
デフレスパイラルの原因は、生産量(または生産能力)が変わる事なく、一気に大幅に資金が(実体)市場から減少することです。
この資金の一気の減少が所得線の角度を下降させます。この下降中がデフレスパイラルの期間であり、経済が循環的に縮小する大恐慌を呈するのです。資金の減少と共に、経済が縮小し、資金の低下が止まった地点で、一応の均衡がなされます。
1929年のアメリカの大恐慌、1990年の日本のバブルの崩壊、2007年のサブプライムの崩壊からつながるリーマンショックも同様なものです。
デフレ市場は低価格商品が増え、製造コストが上がり、利益額が下がることが分かります。正常な経済と比べると、ものをたくさん作り、しかも製造コストが高く付き、低利益で販売していることが分かります。
どの企業も製造コストが高く、利益率の低い、脆弱な不安定な企業であることが分かります。倒産しやすい、信用不安な経済基盤になっています。
2、)このようなデフレ所得線が支配する市場において、消費税を取るということは、どういうことでしょうか。
デフレ市場とは、元々金詰まりの市場です。
消費税の税率がアップされると、物を買うごとに、増えた税金が政府に徴収されることになります。無理やり市場から資金が無くなっていくのです。
金詰まり市場からさらにお金が奪われるのです。
それは、ゴルフトーナメントが5億の規模から3億の規模に縮小されることを意味します。これは再び競争のゴングが打ち鳴らされることを意味します。
各企業は一斉に動き始めます。
今まで5億の規模でそれぞれの企業が棲み分けしてきたものが、2億の資金が減少したため、少なくなった3億の規模で生き残るため壮絶な競争が開始されるのです。ものを作り、販売し、サービスを提供して、お金を取り合いするのです。少なくなったお金の取り合いです。
この競争過程で、経済が循環的に縮小するのがデフレスパイラルです。それは所得線の角度が下降し3億の規模に応じた生産量が定まるところで再び不安定ながらも一応の均衡がなされます。
デフレ線Pがその到達点です。
私達、民間企業は、この2億円の資金の消滅により生じた売上の減少を市場全体で受け止めることになります。これが消費税増税により生じることです。
2億円の資金の消滅は、多くの企業淘汰を生み出し、生き残った企業も、前よりも売上が減少し、利益率がさらに悪くなり、借金が増え、人員削減から、失業やが増え、生活保護所帯がさらに増大し、税収が下がります。
消費者はこれに呼応して、生活維持のため、より安いものを捜し求める必要が生じ、市場はますます新興国の低価格商品が跋扈することになり、国内企業はますます淘汰され、失業者が増大し、さらなる社会保障費が必要ななります。
これが消費税増税で引き起こされる光景です。
上記で、デフレスパイラルの原因は実体市場で生産量がそのままで、資金量が一気に大幅に減少するからであると言いました。
消費税を引き上げることは、まさしくこれに該当するのです。
消費税の引き上げは、生産量が変わらず、資金量が市場から一気に著しく減じることになります。それはデフレスパイラルを惹起することになります。
その結果製造業者は、その少なくなった資金を取り合う競争をしあい、激しい淘汰に翻弄されながら、よりコスト高の利益の少ない、市場を形成していくのです。
消費税を今より10%引き上げると市場から資金が確実に10%なくなります。生産量は変わりません。企業の生産能力は変わらないのです。しかし資金量が確実に即座に(消費税の増税が施行された地点で)減少します。これがデフレスパイラルを惹起するのです。
その結果再び企業は棲み分けのための生存競争を始めるのです。
このことは1997年の日本の消費税の2%引き上げ
により実証されています。
消費税の引き上げは、日本のバブルの崩壊、1929年度のアメリカの大恐慌などと同じ原理なのです。自然発生的か政策的か、あるいは、大規模か、否かです。
消費税は政策的にデフレスパイラルを起こせるのです。我々人類は、既にこの素晴らしい知識を手に入れているのです。
これをデフレ下で使うことがどんなに馬鹿げたことであるかだれでも分かることです。
デフレ下の消費税の引き上げは、このようなすさまじいものであり、現在金融円滑化法で救済されている数十万の企業は、倒産せざる負えないでしょう。
また、欧米のデフレによる変調は、資金が日本に集まる構図となっており、日本のデフォルトは資本主義の終焉となるでしょう。
消費税の引き上げは、政局がどうの、税の逆進性がどうの、無駄の削除、社会保障の充実がどうの、財政再建云々、経済成長がどうのなどとは次元の違うものです。
もしもデフレ下で消費税を引き上げるようなことがあれば、後世、世界から、もの笑いの種にされるでしょう。日本の次世代から何ということをしてくれたのだと嘆かれることでしょう。
消費税の現下の引き上げは、とにもかくも経済破壊そのもなのです。
一言主。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
敗戦と戦後の復興:デフレと震災復興参照ー特に最後の船中八策はデフレ脱却の最重要事項です。
番外:(普通の国ならこんな馬鹿げたことはしないと思いますが、何しろ日本です。東条軍事内閣とメディヤの結託して起こした太平洋戦争のように、いままた民主党 菅、野田内閣とメディヤの結託により破滅に遁走しています。理論はそうだが実際は違うとでも言うのだろうか。
原発はまだ終焉していないが、もう輸出をしたり、60年廃炉など言い始めている。私達日本国民はまだ今の原発管理体制にOKを出していない。なんら同じ惨禍を被らない態勢を政府は取ってはいないのだ。)
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