http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/684.html
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グラフ:ウィキぺディアから
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E5%8D%B1%E6%A9%9F
公定歩合の推移。インフレ抑制のため1973年の第4次中東戦争、1979年のイラン革命の後、1991年の湾岸戦争の後の数年間が高い金利になっている。
DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html
目次
■ @ ペルシャ湾でのイラン軍による非対称戦
■ A 世界的な金利急騰と日本国債の金利急騰
■ 結語:システム・ダウンと国債暴落後の日本
※本稿は阿修羅サイトに投稿した下記の記事の続稿です。
イスラエルと米国のイラン攻撃はいつ始まるか (2012年1月15日)
http://www.asyura2.com/11/warb8/msg/607.html
ホルムズ海峡の封鎖の可能性については、石油が専門の経済アナリストの見通しとして、封鎖されるのは数日間であろうとの予測が多く見受けられる。これに対して軍事アナリストの中で、原油タンカーなどに対してイランが非対称戦(海上・海中でのテロ・ゲリラ戦)を展開し、ペルシャ湾情勢が軍事的に長期的な混乱に陥るという見方がある。
またアメリカ・イスラエルとイランとの対立と衝突が、バーレーンを通じてサウジアラビア東部州へ、シーア派の反政府暴動として飛び火する恐れもある。サウジアラビア東部州は世界の原油生産量の10%を占め、シーア派人口が多くを占める。
12月28日、バーレーンの米国大使館は職員に対して暴動の恐れのある通勤ルートを替えることを指示した。ワシントン中近東政策研究所のサイモン・ヘンダーソン氏は、アメリカ・イスラエルとイランとの衝突はバーレーンのシーア派による国内的緊張を悪化させるだろうと予測している。
Iran's Strait of Hormuz: A Challenge to U.S. Policy (12月29日)
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1788
現在ペルシャ湾内で新たな原油の輸入先を求めている日本や中国などの国々は、中東情勢の今後の展開によっては、その財政と経済・金融へ甚大な被害を受けることも予想される。
経済アナリストの朝倉慶氏は、ペルシャ湾情勢の混乱による原油価格の急騰は、世界的な金利の上昇、そして日本国債の金利急騰を引き起こすと主張している。本稿はその予測の確実性を根拠づけるために、第1節で過去にも行われたペルシャ湾での、イラン海軍による海上テロ戦争について述べる構成になっている。
■ @ ペルシャ湾でのイラン軍による非対称戦
「アメリカ海軍は、イランによるホルムズ海峡の封鎖は数日間で解除されると主張している。しかしその後、ホルムズ海峡周辺海域でのイランによる非対称戦によるタンカー・貨物船への急襲・攻撃が始まる事態にアメリカ海軍は直面する。そしてその攻撃は持続的なものになるだろう。イラン海軍による非対称戦こそペルシャ湾の本当の危険だ。」
アメリカの中東政策に強い影響力を持つ、親イスラエル系の有力シンクタンク「ワシントン中近東政策研究所」(The Washington Institute for Near East Policy )は、現在のペルシャ湾情勢をこのように見ている。
Iran's Strait of Hormuz: A Challenge to U.S. Policy (12月29日)
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1788
The Real Iranian Threat in the Gulf (1月3日)
http://www.washingtoninstitute.org/templateC06.php?CID=1789
(ペルシャ湾を除き国土が海洋に面することの少ない)イラン海軍は、負けることがわかっている軍艦対軍艦の戦いに向ける軍備よりも、むしろ非対称戦に適した船や軍備に投資してきた。これはとくに革命防衛隊(IRGC)の海軍兵器がそうである。イラン海軍は、精巧な機雷、超小型潜水艦、移動式対艦巡航ミサイル、小規模船隊、高速ボート(高速艇)などを中国やロシアの協力を得て購入し、増強してきた。
Iran's navy -- especially the naval arm of Iran's Revolutionary Guards -- has invested in vessels and armaments that are well-suited to asymmetric warfare, rather than the sort of ship-to-ship conflict that Iran would surely lose. Thus, they have purchased, with Chinese and Russian help, increasingly sophisticated mines, midget submarines, mobile anti-ship cruise missiles, and a fleet of small, fast boats. In addition, they have reportedly sought to develop a naval special warfare, or frogman, capability.
イランが展開させる非対称戦についての指摘は、欧米の海軍の上級将校の話としてロイターも取り上げている。匿名を条件としたその将校の話は次のようである。
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この地域では常時アメリカ第5艦隊の空母が1隻か2隻で、イランをペルシャ湾かインド洋からの射程距離内で監視している。中東地域でのこれまでのアメリカ軍の軍事的支配力を痛感しているイランは、アメリカに対して非対称戦という戦術を採用している。
民間のトラックに積まれたミサイルは海岸線に隠すことができる。民間の帆船や漁船は機雷を敷設するのに利用することができる。超小型潜水艦は、高度な「船種を識別するスマート機雷」や「目標を追尾するホーミング機雷」を敷設するために、浅瀬に隠すことができる。
またイランでは、小型の自爆用の高速ボートを含む何百もの小型の高速攻撃艇から成る船隊を増強してきたと考えられている。その船隊は、考えられる最悪の状況として、攻撃で炎上した複数のタンカーから離れながら、ホルムズ海峡を通過しようとする複数の多様な船舶を同時に攻撃といった状況が想定される。
Iran Could Close Hormuz?but Not for Long (ロイター 1月6日)
http://www.cnbc.com/id/45896971?__source=ft&par=ft
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イランが非対称戦を展開させるホルムズ海峡は次のような地形的特徴と航行量を持つ。
「北にイラン、南にオマーンの飛び地に挟まれている。最も狭いところでの幅は約33km。イラン本土近傍のゲシュム島やホルムズ島をはじめとして、複数の島が海峡内にある。(中略)毎日1700万バレルの石油をタンカーが運ぶ。日本に来るタンカーの全体の8割、年間3400隻がこの海峡を通過する。船舶の衝突を避けるため幅3kmずつの航行出入レーンが設けられている。オマーン領ムサンダム半島の先にある小島のレーダーで航行を監視している。」(ウィキぺディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%82%BA%E6%B5%B7%E5%B3%A1
ホルムズ海峡は非常に狭く大きな軍事力が使いにくい。
狭い海峡でタンカーなどの航行量の多いホルムズ海峡へは、アメリカの海空軍のミサイル攻撃は不可能。イランによるホルムズ海峡での非対称戦に対して、アメリカ陸軍と特殊部隊は海峡に面したイラン沿岸部へ侵攻し陸上戦を始めなくてはならなくなる。つまり米軍は、ホルムズ海峡のすぐ北沿岸で米軍が最も苦手とするテロ戦争を覚悟せねばならない。
さらに2008年9月に作成されたワシントン中近東政策研究所の非対称戦についてのレポートでは、非対称戦の戦術の対象海域にペルシャ湾全海域がその筆頭として挙げられている(オマーン湾とカスピ海をも含む)。
このレポートによると、イラン革命防衛隊(IRGC)の海軍(IRGCN:N=Navy)は1985年にイラン海軍から独立して創設された。このレポートでは、イラン・イラク戦争(1980-1988)で「タンカー戦争」と呼ばれた革命防衛隊の小型ボート(高速艇)によるゲリラ戦術が、ペルシャ湾で採用され始めたことが記載されている。この時にはペルシャ湾に大量の機雷が浮遊した。(イラクは開戦当初から、ミサイル搭載のボートや水雷などによるイラン商船への攻撃を始めていた。)
Iran's Asymmetric Naval Warfare (「イランの海上での非対称戦」 2008年9月 PDF )
http://www.washingtoninstitute.org/pubPDFs/PolicyFocus87.pdf
パネッタ米国防長官はデンプシー統合参謀本部議長とともに、ホルムズ海峡を封鎖することは決して許さない、イランが海峡を封鎖すれば「軍事行動も辞さない」と豪語するが、膨張した財政赤字を抱え、ホルムズ海峡をめぐる対立はアメリカにとっても危険なチキンゲームとなっている。
次の記事は1月6日に起きた、革命防衛隊によるものと思われる小型高速艇の、米軍艦船と警備艇への2件の敵対行為を米国防総省高官が明らかにしたものだ。
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イラン高速艇が米軍艦船らに威嚇行為、ペルシャ湾などで2度 (1月14日 CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/30005273.html
(※ 同記事を抜粋)
イランによるホルムズ海峡封鎖の威嚇で緊張が高まるペルシャ湾情勢で、米国防総省高官は13日、同海峡と同湾で1月6日、イランの複数の高速小型艇が米軍艦船と湾岸警備隊の警備艇に急速に接近する敵対行為を2件起こしていたことを明らかにした。
米軍の水陸両用輸送船「ニューオーリンズ」への接近はホルムズ海峡で起きたもので、同船は警笛や音声で応答を呼び掛けたものの反応がなく、一時は約457メートル内にまで近付いたという。
また、クウェート市から東方へ約121キロ離れたペルシャ湾上で同日、米沿岸警備隊の警備艇「アダック」が航行中、イランの高速艇による威嚇行為を受けた。イラン人乗組員は自動小銃AK47で武装していたとみられ、少なくとも1個のビデオカメラを保持していた。高速艇の1隻の前部には機関銃が装備され、要員が張り付いていたという。
ペルシャ湾での米軍艦船とイラン海軍艦船との遭遇は長年報告されているが、米海軍によるとイラン艦船によるより挑発的な行為がここ数週間増えている。小型の高速艇は通常、イランの精鋭部隊、革命防衛隊の所属で、イラン海軍艦船より戦闘的な行為が目立つという。
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イランの革命防衛隊の司令官は1月6日に、2月に行われるホルムズ海峡の軍事演習は「これまでとは異なる新たな形になる」と述べたそうだが、これは革命防衛隊の非対称戦(海上・海中でのテロ・ゲリラ戦)に関するものになるのではないか。これが非対称戦を想定した軍事演習であれば、現在進められているアメリカの経済制裁に反対する国際世論が湧き上がるだろう。
イラン、2月にホルムズ海峡で新たな軍事演習 革命防衛隊 (1月7日 CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/30005187.html
ワシントン中近東政策研究所が作成したこのイランの非対称戦についてのレポートには、機関砲装備の小舟、対艦ミサイル発射装置を装備した小型魚雷艇、機雷を敷設するための小型ボートの船隊、そして機雷の写真も掲載されており、超小型潜水艦などの特に大きさが参考になると思う。
■ A 世界的な金利急騰と日本国債の金利急騰
ロンドンのシンクタンクの上級エコノミストで、イスラエルの国家経済委員会のアドバイザーも務めたインバル・ロバス氏は、昨年12月11日の投資経済サイトで2012年の世界経済の主要なマクロ経済テーマを取り上げている。
ロバス氏はその筆頭にイラン問題による世界的に深刻な石油危機を予想し、それが2012年を通じて世界経済の大きな不確実性要因となり、エネルギー価格を高騰させ、中国や新興国市場の経済成長を脅かし、そして世界的な高いインフレを引き起こすと述べている。またイラン問題は、多くのユーロ圏諸国でスタグフレーションの危険性を引き上げるとも述べている。
The Main Macroeconomic Themes For 2012
http://seekingalpha.com/article/313134-the-main-macroeconomic-themes-for-2012
同様に12月16日には船井サイトで朝倉慶氏が、イラン問題による原油急騰により世界的に高いインフレが起こることを述べ、世界中の金利と日本国債の金利が急騰し始めると警告している。
冒頭のグラフは日銀の公定歩合の推移を示すものである。これを見ると1973年の第4次中東戦争の後(第1次オイルショック)と1979年のイラン革命の後(第2次オイルショック)、そして1991年の湾岸戦争の後の数年間、ペルシャ湾からの原油供給の大幅な減少と原油価格の暴騰とともに金利が急騰しているのがわかる。インフレの加速を抑制するために日銀による公定歩合の引き上げが行われたのである。
以下の記事は12月16日の朝倉氏の抜粋記事で、12月28日発売の同氏の新刊『もうこれは世界大恐慌』の序章に使われている。
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大波乱の幕開け(最新著『もうこれは世界大恐慌』序章)
2011年12月16日
http://www.funaiyukio.com/money2/index_1112.asp
(引用開始)
■ これから始まる国家破綻レースの一番手は日本
なぜ日本なのか? 仮にイスラエルがイランを攻撃、ないしはこのまま欧米とイランの関係が抜き差しならないところに来て、軍事行動を含む対立に発展すればどうなるでしょうか。まず誰でもわかることは、原油の大暴騰です。現在1バーレル100ドル近辺の値段は一気に200ドル以上に暴騰するでしょう。その後、何が起こるのか? 不況下の大インフレです。特に中東の石油に依存している日本にとっては石油価格の暴騰、並びに供給不足は大打撃になるに違いありません。そして世界にも万遍なくインフレの波が襲ってくるのです。インフレとなれば、金利は上がらざるを得なくなります。現在、景気後退懸念で政策的に低下させている金利ですが、このような低金利が続けられると思いますか?
1973年の石油ショックで、石油価格が一気に4倍になり、日本全体は大混乱に陥りました。その時は狂乱物価となって日本中がパニックに襲われたのです。仮にイランで火がついて原油が2倍以上の価格となったら、どのような状態になるか? 物の値段はどうなるのでしょうか?
(中略)
日本は石油輸入の10%をイランに頼ってきました。しかし日本政府は、今回の米国の要求を断るわけにはいかないでしょう。東日本大震災の後、日本では原子力発電所が次々とストップ、原発の再稼働ができない状態です。当然電力の供給は火力に頼っていくわけです。日本エネルギー研究所によれば、このまま原発の再稼働がなければ、必要となる原油量は2012年に4096万バーレルになると言われています。これは2009年度に比べて3倍の量です。ただでさえ、これほど石油不足となっているのにイランの原油が止められようとしているのです。
そして現在、世界中で怒濤のようにマネーが印刷され続けています。欧州を発火点として国債の危機、ソブリン危機が叫ばれています。このような袋小路に陥った世界に、一方で世界最大の火薬庫と言われる中東に火が付いたら……。そうなったら世界各国の金利はどうなりますか?
疑問の余地はないでしょう。全世界で万遍なく金利が急騰します。例外はありません!
いま問題になっているイタリア国債10年物などは、現状でも危険水域の7%を超えてきていますが、それどころか10%を超える金利となっていくでしょう。フランスやドイツの国債もその動きに追随していくことでしょう。もちろん米国債も現在のような2%というわけにはいきません。4%、5%、場合によっては10%と金利が駆け上がっていくことでしょう。日本はどうなるのでしょうか? いま1%近辺の10年物国債の金利は3%に上昇ですか? 5%までいきますか? そのように世界中に金利高が波及した時、世界中で一番苦しい国はどこでしょうか? 世界中で一番金融が危なくなる国はどこですか?
日本に決まっています! 世界の流れに乗って、石油価格暴騰の波を受け、金利が5%に上昇する。その世界はどういう世界ですか? 日本国は1,000兆円も借金があって、税収は38兆円です。金利が5%になれば、金利支払いだけで50兆円。まさに日本の国家財政は間違いなく、算数ができる小学生から大人まで誰が見ても日本は国家破綻です!
(引用終了)
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■ 結語:システム・ダウンと国債暴落後の日本
第1節で見てきたように、ホルムズ海峡周辺でイラン海軍による非対称戦が展開してタンカー・商船などの航行が阻害された場合、原油輸送の代替ルートはかなり不十分なものになる。本稿のはじめに挙げたサイモン・ヘンダーソン氏の記事によれば、サウジアラビアの原油の一部はアラビア半島を横断して紅海へ、アラブ首長国連邦の原油のほとんどがオマーンを通る陸上パイプラインで運ばれる予定だ(ほぼ完成しており、5,6月までに稼動)。しかし、クウェート、イラクの南部地域、カタール、そしておそらくイラン自身、これらのすべての原油の輸出が止まると述べている。
サウジアラビアは中国にとって最大の原油調達先だ。中国は輸入で第3位のイランからの原油が途絶えた場合に備え、サウジなど他の産油国から調達を増やす方向で動いている。しかし、ワシントン中近東政策研究所が指摘するように、イラン革命防衛隊による非対称戦でペルシャ湾全体からの原油輸出が大きく阻害される可能性がある。これは日本についてもまったく同様だ。そしてその時こそ石油価格は暴騰し、それが長期化する可能性がある。
本稿のはじめで、ワシントン中近東政策研究所のサイモン・ヘンダーソン氏が、「米国・イスラエルとイランの衝突は、バーレーン国内のシーア派による国内的緊張を悪化させるだろう」と予測していることを述べた。エジプトのムバラク政権が崩壊した昨年2月の「アラブの春」では、バーレーンのシーア派による政変がサウジアラビアの石油地域である東部州でのデモと連動する恐れをマスコミが報じた。
現在の、シーア派国家イランへのアメリカを中心とした制裁が、バーレーンとサウジへ波及する可能性、イラン政府のバーレーンに対する過去の政権転覆工作については、下記の拙稿をご参考にしてほしい。
ペルシャ湾の火薬庫 ―バーレーンをめぐるサウジとイランの衝突― (2011年3月8日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34602314.html
最悪の事態を想定した場合、バーレーンとサウジアラビアの情勢が動揺すれば、ペルシャ湾情勢と石油価格はさらに混乱する。
今後の中東情勢を考えるにあたり、まず冒頭で挙げた1月15日の拙稿によって、イスラエルと米国、そしてイランの今後の動向について概観的なスケジュールの予測をまとめてみた。
ホルムズ海峡とペルシャ湾において、まだイラン軍の本当の戦術はその姿を現していない。第1節で紹介したワシントン中近東政策研究所のレポートは、ペルシャ湾でのイラン海軍のテロ活動やゲリラ戦術について過去の歴史的事例を挙げてペルシャ湾の危機を警告している。
1月5日のAFP通信はアメリカの政治情勢について、「共和党議員らの強硬論と対照的に、国防総省や米軍高官からはイランを空爆してもせいぜい核開発を数年遅らせる程度の効果しかなく、リスクが大きすぎるとの警告が繰り返し出されている」と伝えている。
イスラエルのバラク国防相はCNNのインタビューで、今年の夏頃までにイスラエルはイランを攻撃することを示唆した発言をした(冒頭拙稿参照)。オバマ大統領の再選がかかったアメリカの大統領選挙は11月に行われる。オバマ大統領が選挙の直前にイラン開戦を利用するにせよ、しないにせよ、イスラエルが暴発したらアメリカは再び中東でのテロ戦争に巻き込まれる。イランとイスラエルが中東情勢と世界経済を混乱させれば、アメリカはそれを収拾する役割を果たさざるを得ない。
ホルムズ海峡とペルシャ湾の混乱による世界的な金利の急騰と高インフレ、そして日本国債の金利急騰については第2節で扱った。ヘッジファンドのジョージ・ソロスは世界の資本主義システムの現状について、「人々はシステムが現実に崩壊したことを理解していない」と述べているそうだ。
システムが崩壊した後の国際情勢の中で「国債暴落後の日本」をどのように創っていくべきか、それを、気づいた人達から考えていくことが重要であると思う。
■ 参考リンク
イラン・イラク戦争(ウィキぺディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%88%A6%E4%BA%89
タンカー戦争(ウィキぺディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E6%88%A6%E4%BA%89
イランの報復戦争とイスラモファシズムの現代 (拙稿 2008年7月21日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/13319656.html
イスラエルはイラン攻撃で国家崩壊する ―アロー・ミサイル防衛システムでは国は守れない―(拙稿2010年1月2日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/30855702.html
ペルシャ湾の火薬庫 ―バーレーンをめぐるサウジとイランの衝突―(拙稿 2011年3月8日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34602314.html
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