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予告どおりスタンダードアンドプアーズがフランスなどヨーロッパ9カ国の格付けを1段階から2段階引き下げました。
引き下げのアナウンスは気を使ってか、金曜日のニューヨーク市場が引けてからとなりました。
★結論から先に申し上げますと私はこの引き下げで市場が昨年後半のように荒れ狂うことはないと思っております。
最大の理由は予告された時点で市場は格下げをある程度見込んで既に弱含んでいました。例えばユーロの相場はそれを感じさせるものでした。次に今回の格下げで一番の目玉はフランスのAAA格からの脱落であります。しかしながら、昨年夏、アメリカがAAAから脱落した際にどれだけのインパクトがあったでしょうか?また、ドイツがAAA格を維持し、見通しも安定的である点まで勘案すると市場への影響は限定的になってくると思っております。
★それ以上に格付けそのものへの「不感症」が生じてくると思います。更に市場には格付け機関の判断基準に対する根強い「不信感」もあります。フランスに関してフィッチは格下げは今年はしないと先週宣言したばかりであり、格付けがより政治的な色彩を持ち始めてきた感とあいまいさが更に露呈してきているわけであります。
この数日中に行われたイタリアとスペインの国債入札も順調でイタリアでは入札による利回りが昨年末に比べ大幅に下落、市場には安堵感が漂っておりました。この理由はECBの金融緩和で1%という低利な資金調達コストで欧州の銀行はどの国の国債を買ってもぼろ儲けできる状況にあったことで逆に順調な入札と利回りの低下を引き出した、といえます。12月8日の欧州会議に基づくECBの実質金融緩和はそれぐらいパワフルであったともいえるのではないでしょうか?
確かにイタリア、ウニクレディトのように増資発表に対して市場の取り込みに失敗したところもありますが、基本的には国家の破綻に対応出来ないCDSの存在意義をを見直せば市場は抑え込ませる手段の一つにはなるかもしれません。
★ただ、私はまったく別の点において気になることがあります。
それはハンガリー。経済基盤が弱体化している中で圧倒的なパワーを持つオルバン政権がハンガリー中央銀行の独立性を損なうかもしれない法案改正を12月に可決させたことで欧州連合とIMFがその経済財政支援を留保することになっています。これがオルバン首相のヘマなのか、強気の態度なのか、今ひとつはっきりしませんが、危険度から言えばギリシャよりもはるかに高い気はしております。もっともこの国はユーロ圏ではないので通貨、フォリントがどんどん下落することで市場調整機能がキックインしていますが、こういう小国の対策を侮ったことで昨年のギリシャ問題があったことを考えれば、EUとIMFは慎重な対応を早急に行う必要があるかと思います。
欧州9カ国の格下げそのものはネガティブなニュースではありますが、市場の目はむしろ、ECBの国債買取など対策の打ち出し方に大きなウェイトを置いてくるように見えます。
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