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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34316(英エコノミスト誌)
欧州はハンガリーの民主主義的な規範の後退を食い止めるために、もっと手が打てるはずだ。
ハンガリーの保守派の首相、ビクター・オルバン氏は、思いがけない悪党のように見える。共産主義の時代に扇動的な反体制派だった同氏は、2010年に自身が率いる政党フィデスが政権奪還を果たす前に、多少ポピュリスト的だとはいえ、尊敬すべき首相として既に1期務めた経験がある。
だが、2012年1月1日に数々の新たな基本法とともにハンガリー新憲法が施行されたことで、オルバン氏は国内の反対派や友好国から、ハンガリーを新たな独裁国家へと逆戻りさせる方向に舵を切っていると非難されている。
オルバン氏の支持者たちは、経済的な混乱を収拾し、汚職を一掃し、共産主義の名残を払拭する必要性を考えれば、同氏の過激なアプローチは妥当だと主張する。
さらに、フィデスは3分の2の大多数を押さえて2010年の選挙に勝っているため、たとえ法改正の一部が自由に反し、国粋的であるように見えても、オルバン政権には大胆な憲法改正を断行するだけの信認があると言う。
*****民主主義の定着を誇ってきたEUの恥
このような展開は欧州連合(EU)にとって恥ずかしいことだろう。何しろEUが最も誇りにしてきた成果は、繁栄とともに民主主義を欧州大陸に定着させたことだ。しかし、ハンガリーの行動に対してEUにできることは限られている。
EUは、既に加盟している国よりも、加盟を希望する国に対して大きな影響力を持つ。1990年代後半には、EUは当時加盟候補国だったスロバキアの政治家を動かし、ナショナリストのウラジミール・メチアル氏を首相の座から引き摺り下ろした。だが、2000年に、EU加盟国のオーストリアがイェルク・ハイダー氏率いる極右政党を政権に参画させたことを受け、同国を追放しようとした試みは失敗に終わった。
それでも、特にオルバン氏の陰謀がハンガリーの経済的安定を脅かしているところでは、EUにできることがもっとあるはずだ。中欧地域最大の債務国であるハンガリーは、外国人投資家からの支援を切に必要としているが、外国人投資家は政府自らが増大させた政治的リスクに怖気づいている。
EUと国際通貨基金(IMF)は、フィデスが中央銀行と国家財政委員会の独立性を損ねていると判断し、ハンガリー政府に対する予備的な信用枠供与を巡る協議から手を引いた。当然のことながら、ハンガリー国債の格付けはジャンク(投資不適格級)に引き下げられ、短期および長期金利は上昇、通貨フォリントは下落している。
*****ベルルスコーニの失敗を犯してはならない
欧州委員会は、ハンガリーへの信用枠設定を拒むだけでなく、中央銀行の独立性を保つという条約義務に抵触しているように見える同国の新法について、欧州司法裁判所に提訴すべきだ。
もし、ハンガリー国民が同国に不利な判決を不服として、それを無視するようであれば、欧州委員会はEUの採決で同国の投票権を一時的に無効するという条約規定を行使する覚悟をしておくべきだ。欧州委員会は往々にして、各国政府と真正面から対立することをためらうが、今回は毅然とした態度で立ち向かうべきだ。
★欧州の指導者たちは、オルバン氏の反民主的な言動を明確かつ声高に非難すべきである。だが、真っ先にオルバン氏に対する非難を表明したのは、ヒラリー・クリントン米国務長官だった。
問題は、最近では毎月のように首脳会議を開いているEUの指導者たちが、多くの場合、馴れ合いになっていて、互いを批判できないことだ。
例えば、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ氏が放送メディアを牛耳っていることについて、不平を唱えた人はあまりに少なすぎた。もっと多くの人が、先日オルバン氏の権力掌握について不満を表したフランスのアラン・ジュペ外相を見習うべきだ。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相やフランスのニコラ・サルコジ大統領を含む、オルバン氏の同胞である中道右派の指導者たちは、その他の欧州の政治家よりも同氏に対して強い影響力を持っており、ひいては特に非難の声を上げる責務を負う。
フィデスは、EU最大の政治集団である中道右派の欧州人民党(EPP)に属していることを誇りに感じている。オルバン氏を独裁に向かう道から引き戻す最善の策は、EPPから追放するぞという脅しかもしれない。
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