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ガイトナー財務長官が本日日本を訪れます。というか訪中の後、日本を訪れるのですが‥何の用事で訪れるかご存知でしょうか?
そう、イランからの原油の購入を止めてくれというお願いにやってくるのです。
何故、日本がイランから原油を購入することを止めなければいけないのか?
これ、北朝鮮に対するアメリカの態度を思い出せば、すぐ理解できることなのです。アメリカは北朝鮮に対して、核開発を止めさせたい。しかし、北朝鮮は言うことを聞かない。言うことを聞かせるためにはカードを切らなければいけない。そして、そのカードというのが経済制裁措置であり、世界各国が、北朝鮮に贅沢品を輸出するのを止めようということであるのです。
イランとの関係はどうなっているのか?
ご承知のとおり、イランとアメリカの関係は、もう何十年も最悪の状態が続いているのです。そして、そのイランは、伝えられるところによれば、最近、同国中部の地下ウラン濃縮施設でウランの
濃度を高める作業が始まった、と。
つまり、高濃縮ウランを製造できるレベルにまで技術が高まったということですが、これは何を意味するかと言えば、即、核兵器として使用できるということなのです。
アメリカに対して何の憎しみも感じていない国が核兵器を保有するならともかく、アメリカに対して最も憎しみを抱いていると思われるイランが、核兵器を保有したら?
アメリカが恐怖心を抱くのも分からないではないのです。
はっきり言って、アメリカは、どこの国に対しても核開発を止めろと言っているのではないのです。というよりも、既に多くの国が核兵器を保有しているのです。アメリカが最も気になるのは、アメリカに敵対心を持っている国が核兵器を持つことであるのです。或いは、イスラエルに敵対する国が核兵器を持つことであると言ってもいいかもしれません。
アメリカにとって、イランが高濃縮ウランを製造しているという決定的な証拠をつかむことが問題ではないのです。それが噂であるにしても‥その蓋然性が高いのであれば、何としても事前に阻止する必要がある、と。そうでなければ、イランの力にアメリカが沈黙せざるを得ない事態を将来招かないとも限らない、と。
しかし、当然のことながら、イランがアメリカの言うことを聞くはずがない。というよりも、アメリカが嫌がるのであれば、なおさら進めようとするでしょう。では、アメリカとして、どうするか?
結局、経済制裁というカードを切り、或いは切ったカードを強化するしかないのです。ということで、既に2006年7月には、国連の安保理がイランの核濃縮活動の停止を求めて決議をしたのを手始めに繰り返し圧力をかけ、制裁を拡充してきたのですが、イランは聞く耳を持たない。そこで、アメリカとしては、さらに昨年12月、各国がイラン産原油の代金決済に利用するイラン中央銀行との取引を事実上禁止する法律を成立させた、と。
でも、ここで私はどうも奇妙なことに気が付くのです。
そもそも、イランの核開発はもう何年もだらだらと続いている、と。そして、それに対し、国連の制裁決議が採択されたのも何年も前のことである、と。それなのに、何故ここにきて急に事態が進展しているのか? つまり、何故昨年12月に、米国の議会は新たな立法措置を講じたのか?
ということで調べていると、NHKの解説委員室というサイトに次のようなことが掲載されている
のです。
「時事公論「制裁強化 イラン核問題の行方」−NHK」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/104799.html
「ただ、今回の制裁は、オバマ大統領の主体的な決断というよりも、議会の主導で決まった面が
強かったのではないでしょうか。背景には、選挙を来年に控えるアメリカで、多額の選挙資金を提供する、在米のユダヤ人団体、いわゆる「イスラエル・ロビー」からの強い働きかけがあったとも言われています。」
ははー、そういう事情があったのか。さらに次のようなことも書かれているのです。
「「イスラエルはアメリカの国内問題」と言われるくらい、ユダヤ人は、大きな影響力を持っています。しかも、イラクに駐留していたアメリカ軍が、今週はじめ、すべて撤退してしまいましたので、今後、中東地域でイランの影響力が強まるのではないかという警戒感が広がっています。
そもそも、今回の制裁強化は、先月、IAEA・国際原子力機関が、「イランの核開発は平和目的だけでなく、核兵器を開発している可能性がある」という報告書を出したことが引き金になったわけですが、IAEAが「平和目的だけではない」と言うのは、何を根拠にしているのですか。」
「IAEAの報告書は、たとえば、イランが、2000年以降、
▼核兵器開発のための施設を建設し、そこで、高性能爆薬を使った起爆実験を行ったことや、
▼弾道ミサイルに搭載する弾頭の強度を調べるコンピューター実験を行ったことなどを列挙して
います。そのうえで、イランが、「核兵器の開発を、現在も、密かに続けている可能性がある」と指摘しています。ただし、あくまで、疑いがあるということで、イランが、現在も、核兵器開発を行っている決定的な証拠を挙げているわけではありません。」
ふむふむ‥この解説ですと割とすんなり納得がいくのです。なるほど、なるほど、そういうことだったのか、と。それに、仮にそういった解釈が的外れであるとしても、そもそもイランに制裁を加えることによって、事態は良い方向に向かうのか? 却って緊張を増すことになりはしないか?
案の定、イラン側は次のような発言をしているのです。
「帝国主義者ども(欧米)はイラン政府と国民を制裁で脅しているが、我々は決めた道を歩み続ける」 「すべての政府機関が断固としてこの原則を守り、脅しに屈することはない」
まあ、それだけならば、まだ影響は小さいと言えるのですが‥既に報じられているように、ホルムズ海峡の封鎖にまで言及し‥そうなれば、一触即発の事態を迎えるのは必至でしょう。
なのに、わざわざアメリカから財務長官が中国や日本を訪れ、イランからの原油の購入を控えて欲しいと訴え‥そして、仮に我が国がそれに従うことにどんな意味があるのか?
さればとて、日本がアメリカの意向を一蹴するのも、外交的にリスキーであり‥となれば、表面的にはアメリカの意向を尊重するような姿勢を見せつつも、実際にはイランからの原油の購入を続ける方が、世界平和の維持のためにはむしろ望ましいことであるのか?
まあ、そんなことを考えていたら、昔のことを思い出したのです。
かつて、ポマードを塗った髪型で有名な、大蔵大臣、否、総理大臣がいた訳ですが‥そうそう、
橋本総理のことですが‥この方、アメリカから睨まれたことがありました。何のことがご記憶でしょうか?
「米国債を売りたくなる衝動に駆られることがある‥」
そのとおり。そんな不用意な発言をしたことが今でも度々報じられる訳なのですが‥彼はもう一つ、アメリカの意に沿わない考えを持っていたのでした。
「それは何?」
彼は、イランと日本の関係を大変重視していたのです。多分、原油確保の観点からだったのでしょうが、今から20年ほど前‥その頃もアメリカとイランの関係は冷え切っていた訳ですが‥そうした中、橋本大蔵大臣が、イランに円借款を供与することを考えていたのです。
まあ、その案件は、誰かが、そんな計画を進めるとアメリカから睨まれるよとアドバイスし‥そして沙汰やみになったことと推測しますが‥
いずれにしても、今回のガイトナー財務長官の訪日の件に関しては、余り馬鹿正直な対応をすることは、日本自身にとっても、そして世界平和のためにも大いに疑問だと思うのです。(小笠原誠治)
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