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北朝鮮 次は「金正恩暗殺」「軍部クーデター」の異常事態
タガが外れた独裁国家の全内幕
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31489
現代ビジネスより引用
「坊ちゃん」金正恩の親衛隊と軍部を率いる金永春国防大臣が血で血を洗う抗争を開始。中国は正恩を無能と見切り、中国と軍部の傀儡になることを早くも迫った。正恩に残されたのは暗殺か亡命。半年前には軍部による金親子暗殺未遂事件も起きていた。
■総書記の死を確信していた人物
「金正日総書記が亡くなれば、2~3年以内に北朝鮮は崩壊するだろう。金正恩の権力基盤はあまりに脆弱で、軍部との間にも大きな亀裂が走っている」
韓国とアメリカは、来るべき金正日総書記の「最期」に備えて、数年前から政府高官、学者、脱北者、専門家を交えて、極秘に「北朝鮮Xデー以後」をシミュレートする会合を進めていた。2010年初頭に出されたひとつの結論は、非常にシンプルなものだった。
「金正恩では、北朝鮮はもたない」---。
冒頭の言葉は、韓国の外交通商部の幹部がスティーブンス駐韓米国大使に伝えた言葉とされるが、特に懸念されたのが、正恩が主導する経済政策の度重なる失敗に辟易した軍部が反乱を起こす可能性だった。
両者に走る亀裂の深さについては後述するが、金正日が死亡した後、その亀裂はますます深くなっており、北朝鮮の内部崩壊は、米韓が予測するよりも早く進むかもしれない。金総書記亡き後の北朝鮮王朝で、一体なにが起こっているのか。
国際社会に恐怖と混乱をもたらし続けた男の最期としては、あまりに呆気なかった。2011年12月19日、北朝鮮は最高指導者・金正日総書記が急性心筋梗塞によって、17日午前8時半、現地指導に向かう列車の中で死亡したと発表した。
数年前から心臓疾患や糖尿病を患っており、先が長くないことは誰もが分かっていたが、突然過ぎる死には各国の首脳も戸惑いを隠さなかった。野田佳彦総理が関係各所に「全力で情報収集に当たれ!」と焦りの色を隠さず檄を飛ばしたことからも、いかに想定外のものだったかが分かる。
しかし、金正日が2011年内にも最期のときを迎えることを確信していた人物がいる。次期中国首相に内定している、李克強副首相がその人だ。
話は10月24日にさかのぼる。この日、李副首相は中国の高官を従えて平壌を訪問していた。北朝鮮が、秋の恒例となる「中国へのおねだり」のために招請したのだ。中国のベテラン外交官が説明する。
「北朝鮮の食糧事情は年々厳しくなっていますが、長く厳しい冬を迎えるにあたって、中国から大量の原油と穀物の援助を受けなければ立ちゆかない。加えて、2012年4月15日の太陽節(北朝鮮最大の祝祭日)は、建国の父・金日成主席生誕100周年にあたる重要な記念日。この祝祭日を盛大に祝うためにも、援助は不可欠だったのです」
この日の首脳会談で、李副首相は全面協力を約束。それを聞いた金正日総書記は、'08年8月に脳卒中で倒れて以降、久しく見せたことのない満面の笑みを浮かべて、李副首相に握手を求めたのだった。
実はこのとき、大規模な援助を確約しにきたのと同時に、李副首相はある「密命」を帯びていた。それは金総書記の健康状態を見定めることだった。
「李副首相は、中国の指導者のなかで唯一と言っていい下戸。そのため、海外の賓客と会食する際にはノンアルコールでの乾杯を求めます。このときも、中国側が金正日総書記の健康に気を使う形で、アルコール抜きの晩餐会を求めました」(同ベテラン外交官)
ところが、である。北朝鮮側は「あなたが何を飲もうが、偉大なる将軍様が何を飲むかは、将軍様自身がお決めになることだ」といって、ノンアルコールでの乾杯を拒んだのだ。
■ワインを一気飲みした金正日
晩餐会の席上、金総書記は高級フランスワインをグラスになみなみと注がせて、李副首相と乾杯した。驚いたことに、金総書記は喜色満面の笑みを浮かべて、何杯もワインをお代わりし、ときには一気に飲み干しもしたという。
「一体どうなっているんだ。酒もタバコも健康のためにやめたと聞いているのに」
中国のある高官が、それとなく周囲に聞くと、金総書記は主治医から堅く止められている酒とタバコを復活させている、というのだ。
「この独裁者の最期は、予想されているよりも早いものになるだろう」
中国の高官らはそう判断し、帰国後は首脳陣にもそのように報告したという。
このとき中国側はもうひとつ、今後の北朝鮮の行方を見るうえで重要な確信を得ていた。「金親子と軍部の対立は、思いのほか深刻なものになっている」ということだ。そしてこの判断をもとに、中国は金正日以後の対北政策に関して、ある決断を下したのである。
中国側は李副首相の訪朝に際して、金総書記にこんな申し出をしていた。
「李副首相は次の中国を担う人物です。ぜひ、次期指導者同士の交流を行いましょう」
李副首相は'13年3月に首相に就任することがほぼ決まっている。その前に金総書記の後継者である金正恩との交流を図っておきたい、と面会を求めたのだ。もちろん、中国という後ろ盾を失うわけにはいかない金総書記としても望むところであり、「首脳会談」に息子を同席させた。
「あなたも次代の中国を担う方、息子も次代の朝鮮を担う男だ。これから何かと面倒を見てもらいたい」
そういって金総書記が息子を紹介すると、正恩は李副首相に向かって深々とおじぎをした。いまとなって思えば、これが金総書記の遺言であったのかもしれない---中国のベテラン外交官はそう回想する。
「頼もしい息子さんですね。中国は永遠に、貴国の『盟友』ですよ」
李副首相はこう返すと、正恩とも固い握手を交わしたのだった。一見すると、次期リーダー同士の親密な交流の一幕である。しかし、このとき中国側は、北朝鮮指導部のある異変に気づいていた。
「この首脳会談の席にも晩餐会の席にも、金総書記の側近中の側近である金永春・人民武力部長(国防相)の姿が見えなかったのです」(同ベテラン外交官)
首脳会談の席に金総書記が連れていたのは、息子の正恩と姜錫柱副総理、続く晩餐会に「軍代表」として同席させていたのも、正恩と李英鎬総参謀長。「国権の最高機関」である国防委員会の副委員長で、人民武力部長の金永春の姿はなかったのである。
「金永春人民武力部長は、過去30年近くにわたって金総書記を支え、ひたすら汚れ役≠務めてきた人物です。'83年に韓国の全斗煥大統領らの暗殺を目論んだ『ラングーン事件』や、'87年の大韓航空機爆破事件など、金総書記の命を受けて、数々のテロを主導してきました。金総書記は、軍を最優先する『先軍政治』を掲げていましたが、この路線を推し進めたのも金永春といわれており、まさに金総書記の右腕として活躍してきた人物で、強硬派の代表格。その人物が参加していないということは、金親子と軍部の間に深刻な対立が生まれていることを窺わせるに十分でした」(同ベテラン外交官)
'09年2月、金永春は金正恩が内々に「後継指名」を受けた1ヵ月後、金総書記の67歳の誕生日を祝う席で「将来の金正恩体制を全面的に支える!」と高らかに宣言し、金総書記から人民武力部長の指名を受けた。正恩には権力基盤がないため、金総書記は朝鮮人民軍を掌握する金永春を国防相に昇格させ、「後見人」の役を託したのだ。
しかし、この二人の考え方がまったく違うために、北朝鮮の中枢内部に大きな亀裂が生まれることになった。韓国国防省の高官が説明する。
「金正恩はスイスへの留学経験があり、海外の自由な空気を肌で知っている。また、彼が依っているのは『朝鮮太子党』と呼ばれる、北朝鮮の有力者の二世、三世のグループ。彼らも一様に海外経験があり、このままでは北朝鮮が消滅してしまうと危機を覚えている。彼らが目指すのは、国外に門戸を開いて、経済改革を行うことです。しかし経済改革に着手し、国外に門戸を開けば、軍部の力は必然的に弱体化する。金正恩が経済改革を進めることに、金永春率いる軍部は猛反発する姿勢を見せたのです」
後継者として表舞台に立った正恩は、その手腕をアピールしようと、「10万戸の住宅建設」「デノミ政策」「朝鮮国家開発銀行の発足」などの改革に次々と着手した。ところが、こうした動きを嫌った軍部は、この改革をことごとくつぶしていったのだ。'09年4月には6ヵ国協議からの脱退、5月には2回目の核実験を強行。'10年に韓国海軍の「天安号」を撃沈したことは記憶に新しいが、こうした北朝鮮の「暴走」は、すべて正恩の改革をつぶすために、金永春率いる軍部が謀ったことなのである。
■にらみ合った正恩と永春
一方の正恩も「国権の最高機関」と憲法が定める国防委員会の解体を打ち出し、古い軍部への対抗心をむき出しにした。しかしこれが軍部の逆鱗に触れることになり、両者の対立は激化する一方だった。
これには金総書記も頭を痛めた。軍部の支援なくして「金王朝」の存続は成り立たないからだ。金総書記はなんとか両者の関係を取り持とうと、'11年の2月15日、69歳の誕生日を迎える前日に、改築したばかりの芸術劇場に二人を呼び、芸術鑑賞との名目で二人を握手させた。一瞬ではあったが友好ムードが醸成された。だが、3月下旬にNATO軍がリビアの空爆を行うと、空気が一変した。
「リビアは核開発を放棄し、欧米におもねったからああなった!わが国は断固として核開発を進める。核武装してアメリカに対抗することによってのみ、わが国は生存していける!」
金永春率いる強硬派のこうした主張が、急速に支持を得ていった。強硬派が勢いを増せば増すほど、改革路線を推し進める正恩の立場はなくなる。金総書記はまさに最後の力を振り絞って正恩支援を進めた。'11年4月12日に朝鮮人民軍の人事が発令され、2人の上将、5人の中将、38人の少将が誕生したが、この中に少なからぬ「太子党」の面々が含まれていた。いわば、軍の中に「正恩親衛隊」をつくった形だ。
さらに金総書記は6月13日に、中国共産党の李源潮・組織部長を平壌に招いた際、正恩とともに、正恩の後見人といわれる総書記の妹婿の張成沢副委員長などの側近中の側近を出席させたが、この重要な席に金永春を招かなかった。
「強硬路線を進める永春への警告でした。永春のパージも辞さない、という姿勢を見せたのです。そして、金総書記は永春に『金親子に忠誠を示す最後のチャンス』を与えます。8月末、金総書記がロシアに訪問した際に永春を同行させ、正恩の後見人になることを再度要請した。ところが9月9日、建国63年の閲兵式に、総書記は敢えて正恩と永春を並んで立たせたが、二人はにらみ合うばかりで、溝は埋まらなかったようです」(中国の政府高官)
もはや永春に期待はできない---。金総書記はそれ以降、重要な会合の場に永春を同席させることはなかった。前述の李克強副首相との会談の場に永春がいなかったのはそのためだ。
金親子が永春を見放したとみた中国は、驚くべき決断を下す。正恩を支援するのではなく、なんと永春に「総書記亡き後は、中国人民解放軍が永春を全面的に支援する」と伝えたのだ。中国政府高官が続ける。
「李副首相らは10月の直接会談で『金総書記の最期は近い』という結論だけでなく、『金正恩は後継者として無能である』という結論も出しました。正恩はいまのところ何の成果も出していない。李副首相も直接正恩と面会して、彼の人となりを見極めたのでしょう。金総書記が最期を迎えるというタイミングに、朝鮮人民軍最大の実力者である永春がいなければ、北朝鮮が大混乱に陥るのは自明の理。しかも、米軍がイラクから撤退し、アメリカが中国を『新たな主敵』と見立てている中、対米強硬派でもある永春は頼もしい援軍です」
■実権は軍部が握る
正恩のおもりをするぐらいなら、永春に肩入れする方がいい。そう判断した中国は、10月24日の会談直後の11月15日、永春の盟友である李継耐・人民解放軍総政治部主任を平壌に送り込み、金永春との会談を要請した。そして中国人民解放軍が今後、永春及び朝鮮人民軍強硬派を支持することを平壌の指導者らに示したのだった。金総書記の死後、表向きは金正恩の指導を肯定した中国だが、その裏では正恩の政敵を支援するというしたたかな布石を打っていたのだ。
父親を失ったのみならず、もっとも強力な「人民軍」という後ろ盾を永春に奪われた。北朝鮮が頼れる国が中国しかない以上、金総書記亡き後の金正恩は非常に苦しい立場におかれることになる。
「金総書記の死後、中国側は早速正恩に究極の選択を迫っている。それは、金永春一派の軍門に下り、朝鮮人民軍と中国の傀儡となるか、それとも亡命の道を選ぶか、というものです。しかし万が一後者を選んでも、中国はすでに『もし正恩がわが国に亡命してきても、これを受け入れるつもりはない。許すのは、せいぜい1~2ヵ月のトランジット滞在≠セ』ということを決定しており、水面下で正恩にも伝わっているはずです」(中国政府高官)
傀儡か、亡命か。国際社会は、今後正恩が軍部を統制できるかどうかに注目しているが、そもそも統制などしようもないのである。もし正恩が軍部を無視する、あるいは保身のために粛清でもしようものなら、彼にとって最悪の結末---軍部がクーデターを起こす、あるいは金正恩を暗殺という事態が待っているだろう。これは荒唐無稽な推測ではない。現に永春一派は、半年前にも金親子の暗殺を企てていたのだ。
「去る6月30日、金総書記は予定されていたウラジオストク訪問を突然中止しました。ロシア側も寝耳に水で困惑したが、実はこれは『永春一派が金親子を狙ったクーデターを起こす』という情報が飛び込んだからです。実際、金総書記はわざとロシア行きの無人の専用列車を走らせ、万が一これが狙われた場合には、永春一派を一網打尽にするという作戦を練っていた」(前出・韓国国防省高官)
おそらく正恩は亡命という選択肢も、反対派の粛清という選択肢もとれないだろう。永春率いる朝鮮人民軍の傀儡として、数年間は黙って玉座に座りつづけているしかないはずだ。
そしてこの一年のうちに、正恩が永春らに屈したかどうかを見定める機会がやってくる。2012年に、韓国の大統領と南北首脳会談を開くかどうか、だ。
「'11年の秋より、金親子は李明博大統領筋と水面下で接触し、'12年の3月に平壌で南北首脳会談を開くことを計画していた。4月に金日成生誕100周年を迎える北朝鮮にとって、南北首脳会談は歴史的な日を盛り上げる絶好の材料となったからです。金総書記亡きいまは水泡に帰してしまったが、もし正恩にその気持ちがあるならば、なんらかのアクションをとるはず。しかし、南北和平に反対する軍部の傀儡となっていれば、計画が出てくることすらなくなるでしょう」(前出・中国のベテラン外交官)
拉致、核開発、そして突然の砲撃。国際社会は金総書記下の北朝鮮の行動に度々頭を痛めてきたが、軍部に牛耳られた北朝鮮がこれからどんな行動を起こすのか、さらなる警戒が必要である。
「週刊現代」2012年1月7・14日号より
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