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経済活性化の特効薬:東北を日本の「深圳」に−ペセック
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXAW9H0D9L3501.html
1月4日(ブルームバーグ):日本の政治家で埋まった部屋を静粛にさせたいなら、中国に学ぶよう提案してみればいい。
世間一般の通念は、中国が日本の戦略から学ぶべきだというものだ。日本は、中国がすべきこと(力強い国内経済と高い生活水準の実現)としてはいけないこと(不良債権による危機とデフレ)両方の例を示している。
それでも、中国の先例に注意を払うべきだとの考えを受け付けない日本の政策当局者にぶつけたい言葉がある。「深圳」だ。
すでに20年にわたりエコノミストらは日本の当局者に対し、経済特区を1、2カ所創設するよう促してきた。融通が利かず、官僚的で変化を好まない日本のモデルに取って代わる思い切った政策を当局者が試せる実験場を持つという構想だ。経済エネルギーを阻害する法律や規範の適用を免除する管理地域のことである。
中国は南部にそうした場所を設けた。故ケ小平氏は1980年、見るべきものがなかった沿岸の村を同国最初の経済特区に指定した。深圳は今や巨大な超高層ビル群が立ち並び、工業団地が活況を呈し、1000万人が暮らす世界有数の港湾都市となった。
深圳は中国の実験の中心地だ。これがアンゴラやバングラデシュ、ブラジル、インド、イラン、カザフスタン、フィリピン、ポーランド、ロシアなどにも刺激を与え、北朝鮮さえも経済特区創設に走らせた。
経済特区
なぜ日本はこれができないのか。2001−06年に首相を務めた小泉純一郎氏は在任当時この問題を提起したが、同氏の構想が効果的に実施されることはなかった。日本政府が導入した経済活性化戦略の中で最も好まれたのは、債務とコンクリートだ。無用の長物である公共事業プロジェクトの予算を賄うための国債発行と、それを造るためのコンクリート。日本は非生産的な仕事を守るのに熱心になり過ぎ、革新的なものを生み出していない。
日本がこれまで試していないのはサプライサイド(供給側)経済学だ。日本が唐突にレーガノミックスを採用するよう提唱しているわけではない。しかし日本は、金融社会主義を限界まで続けてきた。前進と停滞を20年余り繰り返してきたにもかかわらず、日本が重視してきたのは生活様式を守ることであり、グローバリゼーションや中国との競争への適応ではなかった。
新たな考え方が幾つか表に出てきている。昨年3月11日の震災は絶好のチャンスとも言える。日本政府が経済政策の実験場と位置付けることができる都市は多い。福岡、神戸、長崎、札幌、横浜。被災地の東北地方はさらに良い候補地かもしれない。
東北への誘致
テンプル大学(東京)のアジア研究学科ディレクター、ジェフ・キングストン教授は、「日本にとって東北は、中国にとっての深圳となり得る」と話す。
同教授が理想とする体制は次のようなものだ。大規模な規制緩和、企業活動を阻害するお役所仕事の削減、新規投資に対する10年間の免税、常勤雇用を生み出す経営者へのインセンティブ、約11%の法人税率、ガソリン税の一時停止、電力への助成、消費税撤廃、再生可能エネルギーの研究・生産に資金を呼び込むためのさまざまな仕組み。
富士通総研のシニアエコノミスト、マルティン・シュルツ氏は、さらに一歩踏み込み、東北地方の法人税を無税にするよう主張。それにより、震災前から既に人口が減少していた同地方に若者と家族を引き寄せることができると話す。
活力と政策革新
「ティッピング・ポイント」などの著作がある、雑誌「ニューヨーカー」のスタッフライター、マルコム・グラッドウェル氏は震災の数日後にブルームバーグにこう話した。「政治が行き詰まり、長年にわたって低迷が続く日本が、この機会を捉えて多くのことを成し遂げるよう願っている」。
中国は日本から学ぶことがたくさんある。日本は第2次世界大戦後の焼け跡から、識字率が極めて高く、環境面で安定し適度に平等主義が行き渡った安全で繁栄した国をつくった。しかし、日本を現在の地位に押し上げた活力と政策革新をこの国が失って久しい。
野田佳彦首相の2012年最初の行動は、日本の深圳を創設することであるべきだ。日本が中国に勝てないのであれば、こうした認識が切に求められる。日本は、アジアの新興国である中国から少なくとも一つ二つを学んでもよさそうなものだ。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2012/01/04 15:11 JST
元日の地震で考えた政府と国民の深い断絶−W・ペセック
1月5日(ブルームバーグ):元日の地震ほど驚かされるものはない。1月1日に起きたマグニチュード(M)7.0の地震で祝日のまどろみを破られた時、多くの東京都民がそう考えた。
2011年が終わって喜んでいる先進国があるとすれば、それは日本だ。デフレの深刻化、国債の格下げ、5年間で5人目の首相辞任、世界中の投資家を動揺させたオリンパス問題などがあったものの、3月の大震災と津波、それによって引き起こされた放射能汚染危機は1年で最大のニュースだった。
12年最初の日に地震が起きた時、すぐに心配になったのは東京電力福島第一原発だ。ありがたいことに、今回、地震は新たな被害をもたらすことはなかった。
だが、次回はどうだろうか。6月の朝日新聞の世論調査では、74%が全国の原発を段階的に減らし将来は廃止することに賛成と答えている。野田佳彦首相が4日の記者会見で示しているように、政府の対応はそれとは反対のことが進んでいることを示唆している。国民は将来の脱原発を望んでいるのに、政府は電力業界を甘やかす姿勢に戻っている。
どうしてこんな断絶が起きているのだろうか。日本の原子力産業共同体は、米国の企業と軍とのつながりと全く同じぐらい強力だ。大金が絡んでおり、日本の「原子力村」も守りを固めつつある。菅直人前首相は原子力業界と官僚の癒着を抑える計画を発表したが、その時に菅氏の首相としての政治生命は終わった。
日本国民に対しもっとふさわしい対応があってしかるべきだ。また、全国の原子炉54基のうち6基しか稼働していない現状についても考えてみるべきだ。苦しい状況が予想され、政府は原発が経済に不可欠だと主張しているものの、日本は原発なしでもそれなりにうまくやっていけることを証明している。
日本がこれほどの地震大国でなければ、原子力は効率的で費用効果が高く、クリーンだという主張にも、もっと説得力があるかもしれない。原発を全て停止しろとは誰も言っていない。技術者が原子炉を強力な緩衝装置の上に設置するなどしてテロをはじめとするあらゆる潜在的リスクに対応しない限り、原発中心の政策からの脱却が日本の指導者にとっての最優先課題になるだろう。
日本が成長産業を求めているのなら、原発に代わるものを探すことに新たなアイデアや技術革新、投資を集中させるべきではないだろうか。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:The Nuclear Future Japanese Don’t Want: The Ticker(抜粋)
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更新日時: 2012/01/05 13:57 JST
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