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【コラム】マヤ暦の予言に記されていない2012年のリスク−Wペセック
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LWW4MN07SXKX01.html
12月28日(ブルームバーグ):マヤ文明の暦の予言は外れだ。2012年に人類が滅亡することはないだろう。だが時として、そうなるのではないかと感じることはある。アジアの宿命といったものだが、欧州の債務問題と米国の政治的な行き詰まりから、域内各国・地域の首脳は難問を突き付けられている。
これほどの波乱期でなかったら、アジアにとって将来を左右する決定的出来事となっていたかもしれないニュースが今週、飛び込んできた。日本と中国が両国間の貿易でドルを介さない円と元建て決済を促進することで合意したというものだ。欧米が内向きになる中では、力と資金が東向きにシフトするのは至極当然に思われる。さらに世界の経済環境が一段と悪化すれば、アジアが経済面で覇権を握る道につながろう。
以下に、その過程でアジアが直面し得る8つのリスクを挙げる。
(1)リカップリング(再連動):アジア経済は米国発の2008年金融危機では目を見張る機敏さでその影響を回避した。しかし今後1年間は、前ほど容易ではない。世界の主要経済は停滞もしくは後退といった状況にある。欧州のデフォルト(債務不履行)リスクは高まり、選挙年に当たる米国では強力な政策は打ち出しにくい。日本の病は悪化し、中国経済はソフトパッチ(一時的な軟化局面)に見舞われるだろう。巧みな財政・金融政策のかじ取りで、米リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻からの3年余り、アジア経済は顕著な成長を達成した。それを再現できる可能性は低い。
ジニ係数
(2)懐具合の心配:消費者は、インフレと所得格差の拡大というダブルパンチにますます不満を募らせるだろう。政府指導者らは、経済成長の果実を公平に分かち合うという点で十分な行動を取っていない。所得配分の不平等さを測るジニ係数はアジア全域で上昇しており、社会的緊張の高まりは市場や政治に予測できない形で現れかねない。
(3)中国・烏坎の抗議活動:広東省の漁村・烏坎での抗議活動に関する情報を13億人の国民の目から隠すのは日に日に難しくなりつつある。同村では、土地収用をめぐり数千人規模の地元住民が政府当局に抗議活動を行った。中国当局は常にこうした人民の行動を早い段階で抑え込むことに成功してきているだけに、この「ウォール街を占拠せよ」のような動きは驚きだ。米紙ニューヨーク・タイムズは、次の烏坎候補は少なくとも62万5000カ所に上る可能性があると指摘。来年、中国の警察当局は忙しくなりそうだ。
(4)政治的陰謀:中国と香港、韓国、台湾は来年、新たな指導者を選出する。インドでは総選挙がある。タイではタクシン元首相が帰国すれば、暴動が起きる恐れがある。ミャンマーは、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏率いる政党の選挙参加の動きに対する同国政府の対応で、最近の民主化の流れが試されることになる。
厚いベール
(5)金王朝の愚行:世界は、北朝鮮の故金正日総書記の後継者を金正恩氏と受け止めているが、同国が今後どういった行動に出るのか、はっきりした情報はない。20代とされる正恩氏は韓国にミサイルを発射し、核実験を行う意向を対外的に示すことが義務と感じているのかなど、世界で最も厚いベールに包まれた北朝鮮体制に関する疑念がアジア全体を覆っている。
(6)インターネット取り締まり:中国当局による強力な検閲は、ネットの取り締まりを芸術の域にまで高めつつある。アジア全体でみても、ネットは規制強化の動きにさらされている。インドは、攻撃的と見なされるコンテンツを削除するようグーグルなどに求める取り組みを強化。透明性確保と国による情報管理。この2つのバランスを取ることがますます難しくなろう。
おなじみの話
(7)日本の債務のわな:日本に関するおなじみの話である流動性のわな。日本では金利をゼロにしても景気刺激につながらない。真の問題は公的債務というわなで、円相場もその一部だ。強い円を背景に、企業は海外進出を加速し、日本の高齢化や鈍い成長、大震災やその他災害の影響にヘッジを図りつつある。その一方で、日本の産業の空洞化はますます進むことになる。結果として、世界最大の公的債務はさらに拡大し、格下げリスクは一段と高まる。
(8)中国の失敗:経済の法則に反抗しようとする中国の取り組みは今年、胸突き八丁に差し掛かる。ここ数年の景気刺激策に伴う不良債権がその可能性を明示している。同国の成長が著しく鈍化することは、社会の安定を死守したい中国共産党にとって悪夢であろうし、またオーストラリアなどの国にとっても大きな打撃となる。
米国に次ぐ世界2位の経済大国である中国が欧米、日本とともに低成長クラブ入りすれば、アジア各国・地域は自らの足元の危うさを認識するだろう。そうした状況は、マヤ暦が予言した12年の人類滅亡とは異なるが、われわれがこれまで理解してきた世界とも違うものであろう。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時: 2011/12/28 14:02 JST
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