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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31480
「現代ビジネス」より引用
アラブの覚醒と先進国に広がる「ウォールストリート占拠」運動は連動している
トーマス・フリードマン(コラムニスト)
翻訳:松村保孝
シティグループは幸運にも、ムアンマル・アル・カダフィが殺されたタイミングに救われた。リビアの指導者の死は、もっと注目されるべきだったシティグループに関する致命的な記事から人々の注意をそらしてしまったのだ。その記事は、なぜ多くの平均的アメリカ人がウォールストリート占拠運動への支持を表明しているかの説明に役立つものであった。
10月20日付のその記事は事件解決のためにシティグループが2億8500万ドル(約220億円)の罰金支払わなければならないと報じていた。シティグループは一方で、疑うことを知らない顧客に、自らは破綻しそうだとわかっている有毒な不動産抵当証券を売りながら、ウラでは空売りして、その証券が破綻する可能性に何億円もの金を賭けていたのだ。
社会倫理にもとるこれ以上の行為はない。米国証券取引委員会の訴状によれば、2007年、世界的銀行であるシティグループは10億ドルの価値がある資産から下落しそうな5億ドルを選択する取引に際し"重大な影響力"を行使し、破綻がほとんど確実とみられた不動産抵当証券からなる債務抵当証券(C.D.O.)を故意に選択した。
ウォールストリートジャーナルによれば、証券取引委員会の申し立てには,シティグループ以外で働く不特定の債務抵当証券トレーダーの「そのポートフォリオ(有価証券明細書)は,まるで隣の家の芝生に自分の犬が残してくる汚いもののたぐい」という発言が引用されていて、ウォールストリートジャーナルは、「数ヶ月のうちにそのほとんどの取引が無価値となった」と書き加えている。「その結果、ヘッジファンドや投資顧問会社など、その証券に投資した企業15社が何百億ドルも失う一方、シティグループは手数料と投資収益で1億600万ドルを得た」
今は新しいよりましな経営陣に変わっているシティグループは、自らのいかなる違反行為についても肯定も否定も行なうことなく問題を解決した。
ニューヨークタイムズのビジネスコラムニストであるジェームズ・スチュアートは、シティグループのいかさまに比べれば「ゴールドマンサックスの抵当証券ブローカーなどまるでボーイスカウトに見える」と書いている。
「5億5000万ドルの詐欺、という告発の解決に際し、ゴールドマンサックスは証券取引委員会からこう非難された。ゴールドマンサックスはシティグループと類似した取引の仲介者であり、ヘッジファンドマネージャーのジョン・ポールソンが不動産抵当証券の選択に手を貸すことを可能にし、その後、相手方の顧客に知らせることなくそれを空売りしたのだ,と」
一方の「シティグループはポールソンのような人物抜きに自社内のスタッフですべてをすませた。その金になる役割を、自ら横取りしたのである」
(先週木曜日、この事件を監督する連邦地裁判事は、そのような重大な証券詐欺行為でありながら、被告であるシティはなぜ、自らの違反行為行為を肯定も否定もすることなしに終結できたのか、証券取引委員会への説明を求めた)
これこそが,なぜ世界中の「ウォールストリート占拠」運動家たちが共鳴し合っているのか,その答えの核心なのだ。ホスニー・ムバラク大統領の失脚時、私はカイロのタハリール広場にいた。街頭デモを見てすごく印象的だったことの一つは、そのノンポリ性だった。エジプトの人々と話してみると明らかだが、彼らを抗議行動に駆り立てるものは、もちろん民主主議の要求が大きな要因である事は事実だが、それがいの一番ではない,ということだ。この運動は“正義"の追求なのである。
多くのエジプトの人々は、自分たちがひどく正義にもとる社会に生きていて、ムバラク一家や彼らと縁故関係にある資本家たちによってゲームは不正に操作されていると確信していた。エジプトは,ある国が、本物の法の支配や制度を発達させないで市場経済を採用すると何が起こるか、を示しているのである。
しかし、それではいったいアメリカのわれわれには何が起こったのか? 金融業界は巨大化,富裕化してその政治献金によってわれわれの現実の諸制度を買収、堕落させてしまったのである。イリノイ州選出の民主党上院議員。リチャード・ダービンが2009年のラジオ番組のインタビューでずばり語ったように、この大不況を引き起こした元凶でありながら、その当の金融機関が「いまだにワシントンでは最強のロビー集団であり、率直に言えば、彼らがワシントンを所有しているのだ」
いまやわれわれの議会といえば、合法的な贈収賄の広場(フォーラム)である。ある消費者団体は、ウェブサイトのオープンシークレットドットオルグからの情報をもとに、(担保融資が必須の)不動産業界を含む金融サービス産業が1990年から2010年の間に23億ドルもの連邦レベルでの選挙運動への献金を行っったと言う計算結果を出した。
この額は健康保険、エネルギー、国防、農業、交通などの産業の献金を合計したものよりも大きい。下院財政委員会になぜ61名ものメンバーがいるのか? それだけ多くの下院議員が自らの一票をウオールストリートに売りたいがためである。
われわれにはもう、こんな事をやっている余裕などない。実行に新規の官僚機構を必要としない以下4点の改正に焦点を当てるべきである。
1)もし銀行が大きすぎてつぶせないのであれば、大きすぎるのであるからバラバラにすべきだ。さらなる金融危機に兆単位のドルを緊急援助するわけにはいかない。
2)もしあなたの銀行の預金が、アメリカ市民の税金で国家保証されているなら、預金に基づく銀行の自己勘定取引はできない。それでこの話は打ちきり。
3)デリバティブ(金融派生商品)は,今度は別のAIGが同じように巨大なリスクをためないように、われわれが監視できる透明さで取引されなければならない。
4)最後にあるブログからのアイデア:連邦議会議員は、ナスカー(全米自動車レース協会)のレーサーのように、献金を受けたすべての銀行、投資銀行、保険会社、不動産会社のロゴを明示した服を着用すること。国民はそれを知る必要がある。
資本主義と自由な市場は、成長と貧困救済のための最善のエンジンである。しかしそれは意味のある透明性、規制、監視とのバランスの上でなり立つ。この10年間、われわれはそのバランスを失っていた。現金の大破に抗してそのバランスを取り戻せなければ、再びわれわれは危機に直面せざるを得ない。そうなれば、正義を求める叫びは不吉な方向へと向かう。
以下は金融業界への私からのアドバイスだ。ただし御社のように有料ではない。
強気(Bulls)はいい。しかし、強欲(Pigs)は捨てよ。
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