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「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」 『ヘイマン・アドバイザーズ』カイル・バス氏 米国ヘッジファンドマネジャーの告白
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/30728
2011年12月27日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
■多くの日本人が資産を失う
日本政府は、日本国債が暴落する事態が不可避だと知っています。いつ起きるかのタイミングはわかっていないかもしれないが、不可避だということは認識している。それなのに絶対に国民に伝えない。これはアンフェアだ。
先日の政府の発表を見ましたか?「個人向け復興応援国債」(来年3月から発行)を買って3年間換金しなかった人には、財務省が金貨と銀貨をプレゼントする。普通の国債より金利を低くする代わりに、金銀の記念コイン≠あげるという。非常に馬鹿げた政策です。
日本国債が暴落すれば、(安全資産としての)金や銀の価格は上がるからリスクヘッジできるとでも言いたいのでしょうか。でも日本国債1000万円に対して1万円分の金貨しかもらえないから、ブレークイーブン(日本国債暴落分を金・銀の価格上昇分で相殺)するには、金や銀の価格が1000%まで上がらなきゃいけない。そんなことがありえますか。さらにこの「応援国債」を買った人には財務相から感謝の手紙がもらえるという、子どもだましまでしている。
政府がこんな馬鹿げた政策をするのはなぜか。理由は明確です。
いま日本国債を売買するマーケットは緊迫状態にある。だから通常通りに国債を発行すると、マーケットでどんな混乱が起こるかわからない。そこで安定的に買ってくれる個人を対象に、違った種類の国債を売ろうとした。
物事を逆から見れば、政府がそれだけ日本国債に対して絶望的になっている証拠です。もちろん、政府はそんな本音≠まったく口にはしませんが。
暴落が起きる時は一瞬です。起きてから、対応する時間などない。'90年代に日本の株式市場が急降下したとき、日本人は株は絶対に売らないと言っていた。自分の保有分は、子どもや孫に相続していく、と。しかし、いざ暴落がスタートすると、みな恐ろしくなって一斉に売り始めたじゃないですか。同じことが日本国債でも起きる。そして、多くの人が資産を失うことになるでしょう。
カイル・バス氏。アメリカ・ダラスに本拠地を置くヘッジファンド『ヘイマン・アドバイザーズ』のマネジャー。サブプライムローンの崩壊で大儲けを演じた氏が、次に賭けているのが「日本国債破綻」だといわれる。
すでに日本国債のカラ売りを仕掛けたこともあり、「(日本国債暴落で)手にするリターンは並外れたものになる」と語ったと報じられたこともある。
アメリカでバス氏を直撃すると、氏は「12ヵ月以内に」日本が倒産すると断言した。
■持っているなら、いますぐ売れ
過去20年間、日本の株式市場が80%、不動産市場が70%も落ち込む中で、唯一、国債だけは傷ついていません。そのため多くの日本人が「日本国債は安全だ」と思っているが、それは大きな間違いです。いまほど日本国債が危険なときはありません。
私の周りの投資家、ヘッジファンドマネジャーたちは、日本の国債リスクを認識して、すでに行動に移しています。先日も、ある日本の機関投資家が「リスクヘッジするのを助けて欲しい」と私のところにきていました。
いま日本国債のリスクをヘッジする費用は非常に安くあがります。ほとんどタダ同然だから、知っている人≠ヘみなやっていますよ。国家レベルで見ても、アメリカや中国が日本国債へのエクスポージャー(投資リスク)を減らしているじゃないですか。
実は日銀の白川(方明)総裁も、この4ヵ月ほどの間、議会でもプライベートでも日本の金利上昇(国債暴落)のリスクに言及し始めている。日本という国の未来は厳しいものになると警戒している。それでも、どうして日本人は日本国債が安全だと考えてしまうのでしょうか・・・・・・。
もし私が日本人ならすべての資産を他国の銀行、カナダやオーストラリアのように財政赤字があまりない国の銀行に移すでしょう。ノルウェーもいい。
日本やヨーロッパの国債に投資はしない。私たちがやるべきことは、おカネを失わないようにするということです。だから私はいま、世界中を見渡して、高い金利を支払ってくれる企業の社債を買っています。
逆に日本国債に投資するのは最もクレイジーな(愚かな)ことです。すでに持っているなら、すぐに売ったほうがいい。いざとなったら政府が助けてくれるなどと悠長に考えている人は、国債に投資した額の70~80%を失うことになるでしょうね。
10年物国債を保有している人は、金利が1%上がるだけで、国債の現在価値が10%目減りし投資額の9%を失うんです。2%だと20%近くなくす計算になる。
しかも日本国債の金利が2%上がると、その時点で政府が国債の利子をペイできなくなるから、一気にデフォルト金利(デフォルト状態に近い高金利)≠ワで急上昇する。15%かそれ以上までいくんです。そのとき、日本人全体の貯蓄の3分の1が失われると私は見積もっています。
日本の人口状況を見ると、人口の3分の1近くが60歳以上で、25%近くが65歳以上。これから引退に入る人たちが一気に貯蓄を失うのだから、最悪です。
では、これから日本国債がどうなっていくのか。具体的にお話ししましょう。
問題は日本の財政にあります。日本の税収は約41兆円ですが、そのうち半分以上の21兆5000億円ほどを国債関連の支出に充てている。中でも大きいのが国債の利子の支払いで、これが10兆円。つまりは税収の4分の1ほどを国債の利子の支払いに使っている。
この「税収のうち国債関連の支出に使っている割合」を世界各国とくらべると、日本はいま「国債危機」が問題視されている欧州のどの国よりも大きい。つまり日本政府の財政状況は世界で最悪なのです。
想像してみてください。いま日本国債の金利は世界で見ても非常に低いところに落ち着いていますが、もし上がったらどうなるか。
実は金利が1%上がるごとに、新たに10兆5000億円ほどの利子を支払わなくてはいけなくなるんです。そして2%上がると、たったの2%だが、それだけで利子(など国債関連)の支払いにかけるおカネが税収を超えてしまう。わかりやすくいえば、金利が2%上がると日本は倒産するんですよ。
そして、この負債を支払えなくなる状況が、いまから12ヵ月以内に起きると私は考えています。
なぜか? IMF(国際通貨基金)のレポートを見ると、日本国債の唯一≠フ買い手は日本の銀行だと書いてある。つまり、日本政府が銀行に国債を買うように強制しているのが現状。逆に言えば、日本国内の銀行が買い支えているから、金利が低く抑えられているんです。
しかし、日本の銀行はもうこれ以上は日本国債を買えないと言い出している。なぜなら預金額が減ってきているからです。実際、ゆうちょ銀行はこの第3四半期に、預金の減少が起きている。
背景にあるのは人口減少です。
さきほど言ったように、日本の人口の3分の1近くが60歳以上で、25%近くが65歳以上。こうした高齢者の多くが引退を始めており、彼らが預金するより、それを引き出して使わなければならなくなっています。事実、2012年には個人預金の増加率が0%以下になると言っている大手銀行もある。早晩、日本の銀行は「もう新たに国債を買わない」だけでなく、「いま保有している国債を売らなければならない」状況に追い込まれるのです。
■誰が日本国債を買うのか
海外で稼いだカネで日本人が国債を買い支えるという構図もいつまで続くか。
海外から日本へのカネの流れは「貿易黒字(輸出マイナス輸入)」と「投資資本の流入」という二つからなります。このうち貿易のほうを見ると、2011年度はマイナスに転じるといわれている。
一方の投資資本のほうを見ても、日本人は世界中で10兆円以上のアセットに投資して、そこで得られる利子が日本にカムバックしていた。しかしいま世界の株式市場は低迷し、金利も軒並み下がる傾向にある。センシティブ(神経質)にならざるをえない状況です。
要するに日本国債はこれから、日本人以外の新たな買い手を見つける必要がある。もっといえば外国人にすべてを買ってもらわなければいけない。
でも、5年物日本国債の利回りは0・34%しかない。危険なのに儲からない日本国債を誰が買うでしょうか。日本の国会にはインフレターゲットをやろうなどと言うメンバーもいますが、それを実行しても日本は崩壊するだけです。そんな日本の国債を積極的に買おうとしている投資家など、海外にはいませんよ。
しかも現在の欧州問題を解決するにはIMFによる資金援助が必要だとの意見が出始めている。これが実現すると、IMFの二大貢献国である日本とアメリカがカネを出さなければいけない。しかし、いうまでもなく日本にもアメリカにもそんなカネはない。
全員が同じボートに乗っていて、そのうちの1ヵ国が追加の資本を必要としているが、ほかの国もそのためのカネを出せない。これを「サーキュラー・リファレンス」といい、誰も助けられる人がいなくなり、世界は混乱へと陥ることになる。そんなシナリオがいま、現実に起きようとしているのです。
国債危機はまずヨーロッパで起きました。そして次が日本、その後にアメリカでも起きるのです。
改めて言いますが、日本人は目覚めて、現実を直視し、認識を改めるべきです。日本国債にリスクがないという考えが日本人の頭の中にプログラミングされているが、これが最もリスキーなことです。日本国債は破綻する。それも近い将来、確実にです。
いま日本国債のヘッジポジション(カラ売りなど)を保有している人は、私も含めて世界に1%もいないでしょう。ただ、助かるのはその人たちだけです。そして残りの99%が、大損することになる。日本人に幸運あれ---。
【取材・飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)】
「週刊現代」2011年12月24・31日号より
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