http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/443.html
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DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html
目次
■ @ 中国とマンデル教授
■ A 中・印・ロによる金の大量購入と周小川総裁の見方
■ B 中国と基軸通貨SDRをめぐる変化
■ 結語:世界経済の崩壊と金本位制
本稿は、「修正金本位制」について阿修羅サイトに投稿した以下の2稿の続稿です。
@世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト(2011.8月3日)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/616.html
A金本位制への変革を大統領選トップ候補 ケイン氏が示唆―共和党の金本位制コネクション―(2011.10月30日)
http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/840.htm
金本位制への転換を主張し、米大統領選で共和党のトップ候補であったケイン氏はセクハラ問題で12月3日に選挙戦を撤退した。しかしその後、共和党のトップ候補となったニュート・ギングリッチ候補もロン・ポール候補(3位)とともに金本位制への転換が望ましいと示唆する発言をしている。ケイン氏はギングリッチ候補の支持に回ったようだ。ニューヨークタイムズには金本位制についての特設ページが設けられている。
Republicans Learn Moneyball (10月17日 The Weekly Standard)
http://www.weeklystandard.com/articles/republicans-learn-moneyball_595929.html?page=1
Gold Standard:The New York Times
http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/subjects/g/gold_standard/index.html
■ @ 中国とマンデル教授
SDRの構成通貨である米ドルとユーロへ中国人民元を加え、この3つの通貨に金を組み入れた国際金本位制を創設する(現在のポンドと日本円は除外される)。
1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル教授(1932年生、カナダ人)が、先月11月12日に中国・浙江省の省都、杭州(ハンチョウ)で開催された「中国ゴールド・サミット・フォーラム」でこう提唱したそうだ(Forex News 11月14日)。
(※ SDR:IMFの特別引き出し権。現在は米ドル、ユーロ、ポンド、日本円の通貨バスケットによる算出を行い、SDRの米ドルでの価値が毎日IMFから提示される。中国・ロシア・ブラジルなどがドルに代わる基軸通貨の候補に挙げている。※注-1)
Mundell: RMB should be the U.S. dollar and the euro has become an important currency
http://www.forex-news.co/mundell-rmb-should-be-the-u-s-dollar-and-the-euro-has-become-an-important-currency.html
the same time, Mondale support the gold into the SDR. He said gold as a reserve, for early warning of inflation, even if another 100, gold still remains in the monetary and financial system.
ユーロ導入の基礎となる研究などでノーベル経済学賞を受賞し「ユーロの父」と呼ばれているマンデル教授は、現在コロンビア大学と香港中国大学の経済学教授。親中派の学者で英文ウィキぺディアによれば、中国中央テレビで彼が講義を行う人気シリーズ番組にも出演しているという。
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Mundell
Forex Newsによれば、マンデル教授は今年9月北京で開かれた「ノーベル賞受賞者北京フォーラム」で、ドルとユーロをリンクさせた新しい合成通貨(『 DOLLEURO 』)のシステムについて講演している。
10月に発売された米ハドソン研究所の首席研究員、日高義樹氏の新刊では、現在のアメリカに、ドルとユーロを関連付けそこへ「金」を組み込んだ新通貨体制を構築しようとする主張があることが紹介されている(『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』)。
マンデル教授は今年6月にアメリカのテレビ番組に出演し、ドルとユーロの合成通貨へ「金」を組み入れた新しい金本位制について主張を述べた。これを受けて6月13日の米経済誌「フォーブス」が、「ユーロを救うためのゴールドへの転換」と題するその解説記事を掲載している。解説は金本位制が専門のラルフ・ベンコ氏。
The Emerging New Monetarism: Gold Convertibility To Save The Euro
http://www.forbes.com/sites/ralphbenko/2011/06/13/the-emerging-new-monetarism-gold-convertibility-to-save-the-euro/
マンデル教授は杭州の「中国ゴールド・サミット・フォーラム」でも述べたそうだが、世界の経済規模は現存の金の保有量では対応できないため、標準的な(古典的な)金本位制へ復帰することは考えていない。
■ A 中・印・ロによる金の大量購入と周小川総裁の見方
「民主主義インドと異なり、全体主義中国はトップダウンによる政策対応が早い。この違いが直近の両国金需要の統計に如実に表れている。通年ではインド1059.0トン中国769.7トンなのだが、2011年7−9月期に限定すると、インド203.3トン、中国191.2トンと一位二位が急接近しているのだ。」
中央銀行が牽引する相場 (12月1日 豊島逸夫ブログ:元WGC日本代表)
http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/2011/1107.html
11月中頃、ワールド・ゴールド・カウンシル発表の7〜9月期の公的部門の金購入統計が異常に増加し、IMFに未報告、あるいは報告遅れで大量の金を買っている国があると欧米金市場で話題になっていたそうだ。
11月20日と21日の日経では、マーケット・ストラテジィ・インスティチュート(MSI)の亀井幸一郎氏とワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)元日本代表の豊島逸夫氏が、このことを、大量に金を買い進めている「ミステリアス・バイヤー」がいると言って取り上げている。
この異変に関してはロイターのアナリストが、過去2年間の傾向から対外黒字額と外貨準備高の大きい中国とインドがその主な国であると分析している。
ANALYSIS-Yellow-BRIC road leads to mystery gold buyers (11月18日)
http://af.reuters.com/article/metalsNews/idAFL5E7MI28620111118
前出の6月13日の「フォーブス」の記事の中でラルフ・ベンコ氏は、インド準備銀行の元副総裁のタラポア氏が金本位制の長所を公式に明言していること、中国人民銀行の周小川総裁が金本位制を軽視してはいないことを Ye Weiqiang 氏の報告として挙げている。周総裁は2009年4月に、現在のSDRに中国の元を加えたSDR構想を発表している。
---------------------------------------------------------------------------------------------大国である中国、ロシア、インドが行なった大規模の金の買い付けについては、国家の生き残りをかけた「基本的な重要戦略」として捉えるべきだ。朝倉慶氏は2009年の4月時点のレポートでこの点を強調している。ここでは、大規模の金の買い付けを行った中国とロシアが、SDR本位制の実現という戦略目標を持って動いているという事を考え合わせることが重要だ。
(中略)「一方、中国当局は急ピッチで、中国工商銀行などの4大銀行を使って国民・民間に金を保有させようと動いている」。国民・民間の金保有量を増やし、国としての金の持ち高を大幅にふやそうというのはロシアやインドでも同様なようだ(『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶著 2011年7月刊)。
世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界の中央銀行の金への急速なシフト (拙稿 2011.8月3日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35473133.html?type=folderlist
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■ B 中国と基軸通貨SDRをめぐる変化
SDRは中国・ロシア・ブラジルなどがドルに代わる基軸通貨の候補に挙げている(第1節冒頭参照)。
現在欧州債務問題では、欧州金融安定基金(EFSF)でカバーできない部分を国際通貨基金(IMF)によるSDRで補完するために、SDRの拡大を通じた財源強化案が検討されSDRが注目されている。
二国間融資やSDR通じたIMF財源強化、検討する用意ある=独財務相 (11月30日 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTJE7AT02120111130
マンデル教授が11月12日に「中国ゴールド・サミット・フォーラム」で、人民元をSDRの構成通貨へ加え金とリンクさせることを提唱する前の今年10月末、IMFは「理事会会合でSDRの構成通貨に中国人民元などを新規に加える案を検討したものの、結論には至らなかったことを明らかにした。」
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理由は、人民元が「自由に利用できる」通貨であるとIMFが定めるSDR構成通貨の要件を満たしていないこと。このため、IMF理事会はこの要件の変更を検討し、近々にその新基準を発表する見通し。
IMF高官筋は、「通貨バスケットをいずれ拡大する必要があり、新興市場国通貨の採用が最も理にかなっているとすでに考えられている」と語り、そのうえで「新基準の発表が自動的に追加・除外される通貨を示すわけではない」と説明した。
ただ理事会は、SDR構成通貨の数は、不必要なコストの発生やSDR利用の複雑化を防ぐため比較的少数にとどめるべきとの立場を示している。
(11月11日付ロイターの複数の記事を要約)
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――つまりIMF理事会は、中国人民元をSDRの構成通貨へ加え、その数を少数にとどめるために現状の4つの通貨からどれかを除外する方向で見直しを進めていると解釈できるだろう。イギリスと日本の出資額からみて(下記アドレス参照)、冒頭で示したマンデル教授の言うように、SDR型金本位制での構成通貨は米ドル・ユーロ・元に絞られ、ポンドと日本円は除外されるかもしれない。
IMF:http://en.wikipedia.org/wiki/Imf
(11月23日に IMFから日本経済についてのレポートが出たが、この中では少子高齢化の日本経済の長期的な低成長と停滞そして莫大な公的債務が強調され、経済衰退国と見なされている。第3章では、日本国債の突然の急速な金利上昇の可能性が警告されている。)
Japan Sustainability Report ( IMF 11月23日)
http://www.imf.org/external/np/country/2011/mapjapanpdf.pdf
マンデル教授は杭州でのサミット・フォーラムで、SDRによる通貨体制はアメリカを含む大国の支持を必要とすると述べたそうだ。アメリカは2011年1月の米中首脳会談の共同声明において、「中期的には人民元がSDRの構成通貨になることを支持する」としたが、オバマ政権の対中姿勢・政策は2011年に入って以降、変化している。
米国による中東からアジアへの軍事力シフト―米国のオフショア戦略(4)―(拙稿 9月24日)
http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/775.html
またロシアはこれまでSDRへ自国通貨ルーブルを入れるように主張してきたが、2008年のリーマン・ショック以降は大規模な金の購入も行ってきた。
11月の「中国ゴールド・サミット・フォーラム」を受けたものだと思うが、ロシアの旧政府機関紙「プラウダ」は12月に入り、「第3の通貨戦争は世界を金本位制へ戻すためなのか」と題する記事を掲載し、金本位制を主張する米投資家のジェームズ・リカーズの言葉を借りてSDRをめぐる中国の動きを牽制している。
Third currency war to take world back to gold standard? (12月7日)
http://english.pravda.ru/business/finance/07-12-2011/119872-currency_wars-0/
■ 結語:世界経済の崩壊と金本位制
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金本位制支持者も純粋な金本位制への復帰が無理な事は百も承知。その上で、ドルを金の特定価格とリンクさせ、その水準からの価格変動に応じて、金融政策の引き締め、緩和を決定するという、金の保有量に縛られず、金に中央銀行へのチェック機能も果たさせる現実的な提案も出てきた。
実現には緻密な議論が必要だが、ドルや紙幣全体への不安が共有される中で、輝きを失わない金を利用しようとする動きは根強く広がっていきそうだ。
「無視できない金本位制回帰への動き」 (富田秀夫のグローバル・マーケッツ 6月5日/ 2011)
http://www.gci-klug.jp/tomita/2011/06/05/012915.php
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「ユーロの父」と呼ばれるマンデル教授は崩壊の進むユーロ通貨を救いたい。マンデル教授の「金」を組み入れたドルとユーロの合成通貨『 DOLLEURO 』の構想は中国を必要としているし、また中国もSDR型金本位制を必要としているはずだ。欧米資金の新興国からの引き上げ・流出などにより、中国経済は一段と深刻に悪化しつつあり不動産価格の下落が本格化している。インド経済も今年後半に入り景気減速が鮮明となっている。リーマン・ショックの数倍の不況が来ると言われるユーロの崩壊は、アジアの新興国を世界経済恐慌の谷底へ落としてしまう。そしてアメリカ経済も大変な影響を受けて「二番底」へと落ちるだろう。
ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、2009年の段階でリーマン・ショック以降の世界における国家破綻の連鎖を予測し、「過去、世界経済は何度も金融危機に見舞われたが、多くの場合、2,3年後あたりから、ソブリン・デフォルトの波が押し寄せた」と警告していた(注-2)。
ユーロ通貨を金本位制で救うのに、ユーロ圏との貿易や国債購入の面で関係が深い中国を取り込むというマンデル教授の構想を実現するためには、オバマ政権、FRBなどが今までに行ってきたような世界経済の破壊的作業が今後も必要とされるだろう。
新しく就任したマリオ・ドラギECB総裁(前イタリア中央銀行総裁)は、2002年〜2006年までゴールドマン・サックスの欧州部門の副会長を務めており、ギリシャ粉飾決算のすべてを知っていたことは明白だ(注-3)。ドラギの動向は、今後のアメリカのシナリオを読むうえで重要なポイントとなるはずだ。
マリオ・ドラギ:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%AE
12月9日に閉幕したEU首脳会議で、EUは来年3月までの「新財政協定」調印を目指すとし、ユーロ危機が先送りされたという言い方がされている。しかし、金本位制についてのアメリカ指導層の間でのコンセンサスや、米中ロなどの大国間での合意を得るためには、「先送り」をさせることによって経済の危機と混乱を深め、世界経済恐慌までもっていく必要があるという見方もある(朝倉慶氏など)。
形を変えての金本位制への復帰とその廃止の繰り返しは、経済の歴史から来る常識であるという考え方はネットでも見られるが、長期的レンジで柔軟に戦略を変化させることができるアメリカにとって、基礎的システムの変換は世界戦略を立案する上での伝統的な基本的作業だ。
■ 注:
注-1:特別引出権 (SDR) http://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/sdrj.htm ( IMF )
注-2:『裏読み日本経済』 朝倉慶著 徳間書店 2010.2.28刊
注-3:『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶著 幻冬舎 2011.7.10刊
■ 参考リンク:
The Works of Robert Mundell
http://robertmundell.net/
Robert Mundell (Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Mundell
Mundell's Dollar/Euro Fix Doesn't Fix Our Currency Mess (合成通貨「DOLLEURO」について フォーブス 2011.6月5日)
http://www.forbes.com/sites/lawrencehunter/2011/06/05/mundells-dollareuro-fix-doesnt-fix-our-currency-mess/
基軸通貨ドルの代替候補SDRに「相応の配慮」を-三菱東京UFJ銀 (ブルームバーグ 2009.4月2日)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=aL42Io0OJl34
石油産出国ロシアのSDR通貨構想 (拙稿 2010.7月3日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/32644855.html
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