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http://www.y-asakawa.com/Message2011-2/11-message131.htm
******孤立化する英国と嫌悪されるドイツ
・・・英国の孤立化とドイツに対する風当たりの強まりが新たな問題を引き起こしそうである。
英国は今回の首脳会議において、全会一致が原則のEU条約の改正に拒否権を発動している。その結果、EU基本条約の改正を断念せざるをえなかったわけで、サルコジ大統領がキャメロン首相に対し露わに不快感を示したのもそのためである。
また、英国は新たな構造改革案にも27カ国で構成されるEUの中でただ一国だけ参画していない。その理由は、ドイツやフランスが主張する新たな金融取引税の導入が英国のシンボルでもある金融街シティーと通貨ポンドを弱体化させる可能性が大きく、国策に反すると判断したからである。
EU経済に対する依存度が大きい英国が、これから先EUを脱退することは考えにくいが、元々反ユーロ、反EU論が根深い英国だけに、ユーロ圏の債務危機の深刻化が進むにつれEU脱退を問う国民投票などが行われる可能性もあり、英国の孤立化が一段と進むことになるかもしれない。いずれにしろ、国民感情と一段と深まるEUとの亀裂の間に立って、キャメロン政権は難しいかじ取りを余儀なくされそうである。
もう1点これから先に不安を残したのが、ドイツに対する嫌悪感の出現である。ユーロ圏内で絶対的な財政と経済規模を持つドイツは、ユーロ圏の財政危機を防ぐためフランスと協調し、欧州金融安定化基金(EFSF)の大幅増額やギリシャ、イタリアなどの財政危機国に対する厳しい監査体制の強化など様々な対応策を打ち出し、ついにはEU条約の改正までを成し遂げようとしてきた。
こうした政策は、ユーロ圏各国にとって、国家の主権と国民感情を無きものとしているように取られかねない。それは国民の心の中にくすぶる反ナチス感に火をつけ、ドイツへの嫌悪感と憎しみを再び生むことにもなる。そうした風潮が垣間見えたのが、英国で行われたメルケル首相をヒットラーになぞったデモや風刺漫画の登場である。
金融安定化基金や欧州中央銀行などへの出資の25〜30%を負担しているドイツであるから、EU圏の崩壊を防ごうと様々な政策を打ち出すメルケル首相の提案に対し、耳を傾け、その政策を受け入れざるを得ない各国であるが、国民感情はそれとは別の面を持っている。
それゆえ、自国が招いた財政危機、そこから生じる失業問題、年金の減額と支給年齢の先延ばしなどによる生活の厳しさ。こうしたことに対する不満のはけ口が、いつしか指導的立場にあるドイツ国家に、メルケル首相に向けられてくる可能性は大である。
ドイツやフランスが先導役をして推し進めてきたこれまでの政策、ギリシャやイタリアへの資金援助、欧州中央銀行(ECB」による国債購入策などは、どれもみな足下の不安を和らげる「アメ」であった。しかし、今回のサミットで決定した構造改革案は痛みを伴う「ムチ」である。
したがって、痛みを味わう国の国民の目から見ると、政策の立案者であるドイツやフランス、特にドイツは鞭打つ加害者のように感じられることになる。それ故、春先以降、こうした感情は日増しに強くなって来ることが予測されるが、こうした反ドイツ、反メルケル的な感情に対してドイツ国民はより結束する民族であるだけに、言われなき反感に反発したドイツが、それならギリシャやイタリアに対する財政支援はもうやめようと考えた時、EU圏の崩壊と世界経済の危機が発生することになる。
★それはまさに1920年代後半にドイツが他国の金融機関救済から手を引いたことから始まった世界恐慌の再現である。歴史は繰り返すと言うが、80年前を振り返ると、欧州の経済情勢やドイツの置かれた立場があまりに似てきている点が気になるところである。
***今回のEU条約改正の動きや財政規律を強化する構造改革案の実行は、あくまでも、これから先ギリシャのようなデフォルト(債務不履行」必至の国家を出さないための措置であって、これまでに積み上げてきた財政赤字をなくしたりするためのものではない。
むしろ先のサミットでは財政危機国への支援は後退してしまった感すらある。11月の首脳会議によって決定された財政危機国への支援ための欧州金融安定化基金を4400億ユーロ(45兆円)から1兆ユーロ(105兆円)への引き上げることが 、各国の財政からして困難であることがはっきりしてしまったからである。
そのために、欧州金融安定化基金(EFSF)の後釜に予定している欧州安定メカニズム(ESM)の設立の時期を来年の7月に前倒しし、その規模を5000億ユーロ(52兆円」に増やすことや、各国から集めた2000億ユーロ(20兆円)をIMF(国際通貨基金)に拠出し、その見返りとしてIMFから財政赤字国への融資を引き出そうという、苦肉の策が講じられるところなった。しかし、これでは先の1兆ユーロへの引き上げ額に は追い付かず、またその時期も遅れてしまうことになる。
格付け会社のムーディーズやフィッチが早ければ今週中にも、ユーロ圏諸国の国債の一斉格下げをほのめかしているのはそのためである。もともと、ギリシャなどの弱小国だけでなくイタリア 政府などの財政危機や、経営不安に陥っている銀行を救おうとしたら、少なくとも2兆ユーロ(210円)は必要だと言われているだけに、今回のサミットで決定した財政支援策は明らかに力不足である。
★したがって、このままではこれから先、国債の金利の値上がりやそれに伴う一層の財政赤字の進捗化は避けられそうになく、さらなる支援策、例えばユーロ圏共通のユーロ債の発行や欧州中央銀行(ECB)の国債買い上げ拡大論などが再度浮上してくることは必至である。
しかし、ものには限度というものがあり、ここまで事態が悪化してしまっては、魔術でも使わない限り完璧な安全網の構築など不可能である。それだけに、EU圏の崩壊が避けられないことが、そう時を置かずして明らかとなることだろう。 問題はそれがいつになるかということである。
そうした状況下でありながらも
、
***★賭博場と化した世界の金融市場では、私が予測した通り魑魅魍魎どもが国家に次々と対応策を打ち出させ、それを防火壁にして最後の荒稼ぎに血眼(ちまなこ)になっている。 格付け会社による国債格付けの引き下げも、そのための一つの手段として利用されていると考えて差し支えない。
その結果、信じ難いことであるがダウ平均はここに至ってもなお12000ドルの高値圏に留まり、さらに新高値に向かおうとしている。 まさに狂気の沙汰でるが、おそらくこの動きは少なくとも春先から夏場までは続くことになるのではないだろうか。しかし、消えかかったローソクの火は消える直前の一時、大きな炎で赤く燃え上がるものだが、まさに今の灯はそのローソクの残り火である ことを忘れてはならない。
★その残り火を消す嵐が間もなく吹くことになる。遅くとも、1年後の今頃から2013年春先までには、世界経済は断末魔の声を発し始めていることだろう。その叫び声は30年代よりさらに大きなもとなることは間違いない。(中略)
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