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世界大恐慌、仕掛け人を暴く こいつら、まともなのか 世界経済は死んでも、俺たちは大暴落で稼ぎまくる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/29582
2011年12月13日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
笑うヘッジファンド最終ターゲットは 日本国債
明日はイタリア、明後日はフランス、そして・・・・・・
日米欧の6中央銀行が協調する異例の措置も奏功せず、欧州危機はドイツ、フランスを呑み込む最終段階に入った。この国債暴落に乗じて大儲けする「顔の見えない投資家集団」の正体に迫ろう。
■狙われたイタリア国債
欧州の通貨危機、金融危機はなぜ止まらないのか。
それは「ユーロ崩壊」「PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインの5ヵ国)クラッシュ」の側に巨額の資金を賭けている大口投資家がいるからだ。欧州中央銀行(ECB)や欧州金融安定化基金(EFSF)がいくらカネを積んでも危機が収まらないのは、欧州破綻を予想する逆張り≠フプレーヤーがいかに強力かを示している。
これがヘッジファンドだ。
ユーロが崩壊すれば、アメリカも日本も無傷ではいられない。各国の金融機関も大出血、ユーロ各国では公共サービスも崩壊して国民生活は悲惨なものになる。誰も喜ばない事態になる。
唯一、ヘッジファンドを除いては---。
いま個人投資家の間でNHKのある番組が話題になっている。その番組とは11月末に放送されたNHKスペシャル『ユーロ危機 そのとき日本は』。ギリシャからイタリアに飛び火した欧州の「国債危機」の背景を探りながら、日本にもその「負の連鎖」が及んでいる実態をレポートする内容だが、特に注目を集めたのは番組内でインタビューされたイギリスのヘッジファンドだった。同時株安で世界の投資家が軒並み大損を余儀なくされる中で、このヘッジファンドはギリシャやイタリア国債の暴落に乗じて大儲けした、と告白した。
欧州危機の裏で蠢く知られざる投資家集団---欧州の国債が崩壊間近の危機となったいま、その仕掛け人がヘッジファンドであることが明らかになってきた。
欧米の複数のヘッジファンドと交流を持つ信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏が言う。
「一部のヘッジファンドの間では、ギリシャ国債の危うさが指摘され始めた昨年頃から『ユーロで儲ける』というのが合い言葉になっていた。そしてユーロ圏諸国の国債や通貨、株などのショート(カラ売り)で儲けようとしていた。実際、こういうヘッジファンドは昨年5月にはギリシャ国債を、10月にはアイルランド国債を売って、利益をあげている。そして今年はイタリア、スペイン、フランスというようにユーロ圏で国債を中心に売っていた。
こうしたヘッジファンドの売りに気づいた銀行などの大手機関投資家が追随、欧州の国債を大量に売った結果、次々と欧州債が暴落していった。その度にヘッジファンドは『しめしめ』とほくそ笑みながら儲けていたという構図です」
ギリシャが危機に陥ったのはもちろん放漫財政が原因だが、それをいち早く察知して売り浴びせ、他の金融機関や投資家が追いかけてきたところで巨大な利益をあげる---これがヘッジファンドの典型的なやり口だ。
さらに複雑怪奇な最先端の金融商品を駆使し、儲けを膨らませていくのが彼らの得意技。NHKの番組に登場したヘッドファンドが買い進めていたのもCDSなる金融派生商品。この商品は国債がデフォルト(債務不履行)する事態に備えて保険をかけ、デフォルトした場合に元本を保証するもの。その保証料をプレミアムといい、リスクの大きい国債ほどプレミアムが高くなる。
元スイス銀行マーケット・アナリストの豊島逸夫氏が言う。
「イタリア国債の暴落を仕掛けたのはヘッジファンドを代表とする投機筋だと見て間違いない。銀行などの機関投資家はCDSのプレミアムを見て、それが高いと国債の危険度が高まったと判断、国債の『売り』に動く。この不安心理をヘッジファンドが利用した。
ヘッジファンドはまずイタリア国債が暴落すると儲けられるカラ売りポジションを仕込み、そのうえでCDSのプレミアムを上げる売買を実行。不安になった機関投資家が国債の売りに転じると、これを見たヘッジファンドが一気にイタリア国債を買い戻した」
投資家の不安を巧みに煽り、国債を暴落させる。その裏でこっそり事前に仕込んでいたヘッジファンドがボロ儲けを演じているのが、「欧州危機」の偽らざる正体なのだ。
■1兆円以上の利益
そもそもヘッジファンドが世界中から注目を集めたのは1992年、イギリスの通貨ポンドを売り浴びせ、巨額の富を得たヘッジファンドが登場したことがきっかけである。
イギリスを売り倒したのは、ジョージ・ソロス率いる『クオンタム・ファンド』。ポンドが過大に評価されていると見たソロスは激しいポンド売りを開始、これに気づいたほかのヘッジファンドも売りに参戦すると、イングランド銀行の介入もむなしく、売り勝った。このときソロスが投じたマネーは90億ドル(約1兆1200億円)規模、ポンド売りで210億ドル(約2兆6200億円)もの利益をあげたといわれている。
国家をぶっ壊してでも、平気な顔をしてカネを稼ぐ。ここにヘッジファンドの恐ろしさがある。
1997年に起きたアジア通貨危機時にもヘッジファンドが暗躍。当時のヘッジファンドの猛威は凄まじく、ソロスと並ぶ有力ファンドだった『タイガー・ファンド』などが参戦し、タイのバーツに始まり、アジア諸国の通貨を売りに売りまくった。韓国はウォン安に耐え切れずにIMFの管理下に入るなどの国家有事≠ヨ発展したことは記憶に新しい。
「さらに2000年代に入ると金融自由化が進み、彼らが使えるツールは格段に増えた。リーマン・ショックの時にはCDSだけでなく、米大手投資銀行のゴールドマン・サックスなどが組成したCDOなる金融派生商品も登場、これらを利用することでサブプライム暴落やリーマン破綻に賭けるヘッジファンドが大儲けした。なかには1兆円以上という天文学的な利益を手にしたファンドもある。単なる売り浴びせだけでなく、こうしたデリバティブと呼ばれる金融派生商品を複雑に操ることで、ヘッジファンドは幾重にも逆張り≠フポジションを張れるようになっている」(欧州銀幹部)
現在、世界には1万以上のヘッジファンドが存在、その資産運用額は200兆円規模といわれるが、多くがレバレッジ(梃子)をかけて投資しているため実際に動かせるマネーはその何倍にもなり、世界のマーケットを動かす威力を持つようにもなった。
今回、完全匿名を条件にあるヘッジファンドの「ボス」への接触に成功、その内情を披露してくれた。ここにヘッジファンドのナマの姿を紹介しよう。
外から見るとなんの変哲もないマンション。その一室に足を踏み入れると、4人の男女がデスクにうずたかく積み上げられた資料に囲まれ、パソコンのモニターを見つめている。ここが1000億円近くのマネーを動かすヘッジファンドの事務所かと、意表をつかれる質素な佇まいである。
この事務所のトップは運用マネージャーの男。まだ40代前半と若いが、年率5%以上の成績をコンスタントに稼ぎ出すスーパーエリート・トレーダーだ。世界中で売られている株式、債券、コモディティ(商品)から複雑怪奇なデリバティブまでを徹底的に調べ上げ、どこにどれだけ投資すれば儲かるかを考えるのが仕事だ。さらに最先端の金融工学を駆使し、自動売買システムを作ることもある。
ただ実際の売買はこの事務所では行わず、オフショア(租税回避地域)にいる専属のトレーダーがマネージャーから電話で指示を受けて行う。ほかの多くのヘッジファンドもこの方式をとっており、売買拠点として人気なのはケイマン諸島、英領バージン諸島、ルクセンブルク、バミューダ諸島などだという。
「ボス」が言う。
「われわれの使命は『絶対リターン』だ。市場平均がマイナスのときも、プラスの成績をあげることが至上命令。一般的に運用マネージャーは自分のカネをヘッジファンドに投入、さらに報酬は儲け分の2割ほどが支払われる。運用に失敗すれば自分の資産を失うだけでなく、報酬もゼロ。何が何でも稼ぐ。たとえ世界経済が死んでも、われわれは大暴落で稼ぎまくるだろう」
世界経済が破綻すればもはやいくらカネがあっても仕方がないというのが常人の考えだが、彼らは違う。危機は儲けるチャンスとしか思っていない。
■日本国債のカラ売りを
危機の時にスター・ヘッジファンド・マネージャーが生まれる---これはヘッジファンド業界のセオリーだ。事実、2008年のリーマン・ショック時でさえ、ジェイムス・サイモン、ジョン・ポールソンらの面々が大損を被る投資家たちを横目に「危機を利用した相場張り」に成功、1000億円以上の報酬を手に入れた。そして今回の欧州危機でも、確実に儲けたヘッジファンドが生まれている。
世界のヘッジファンド事情に詳しいS&S investments取締役の岡村さとみ氏が言う。
「昨年のヘッジファンドランキング2位、ハーバード出身のレイモンド・ダリオが創設した『ブリッジウォーター・アソシエイツ』、ヘッジファンドで初めて公共債市場に投資したことで知られる『シタデル・インベストメント』、欧州とアジアに特化したファンドで成功した『オクジフ・キャピタル』などはプラスのリターンで回している。世界中の株や債券を超短期、超高速で取り引きする手法で乱高下相場でも儲ける手腕は目を見張るものがある」
どんなことをしても儲ければ勝ち、負ければクズ。それがヘッジファンドの世界である。国家財政という最も大きな山を崩せば見返りもでかい。それが人々の暮らしにどういう影響を与えるかなど、知ったことではないのだ。
こうした事態を受けて、「市場の不安要素」を排除しようと当局はヘッジファンド規制を進めようとしているが、期待はできない。
経済評論家の山崎元氏が指摘する。
「欧米ではヘッジファンド規制を強めることを検討中とされているが、実は欧州が積極的でも米国は消極的。米国の場合は銀行がヘッジファンドに融資しているケースや金融機関の傘下にヘッジファンドを抱えているケースがあり、多額の資金で売買をしてくれるヘッジファンドは証券会社にとって非常にいい顧客だからです。金融大国である米国は、金融業界にマイナスになることは避けたいというのが本音なのです」
当のヘッジファンドはどう考えているのか。米ヘッジファンド『オリンピアン・キャピタル』を運営するマイケル・リーヴァス氏に「ヘッジファンド批判についてどう思うか」を聞いたところ、メールで次のような回答が返ってきた。
「ヘッジファンドは、最高の利益を出すことでおカネをもらっている。もちろん勝者と敗者がいる。常に勝っているわけではない。資本市場に対する政府の介入や流動性と透明性の欠如は、現在の金融システムと経済を破壊させるだろう」
自分たちは資本の流動性と透明性を担保する存在—それがヘッジファンドの論理だ。
そして欧州の国債を売り浴びせた後、次に狙われるのは日本だといわれている。事実、ニューヨークのヘッジファンド『グリーンライト』、ダラスのヘッジファンド『ヘイマン・アドバイザーズ』など、すでに日本国債のカラ売りポジションを保有するヘッジファンドが出てきたのだ。
米国や日本の政府が唱えてきた金融の自由化、グローバル化はとんでもない鬼っ子を産んだ。ヘッジファンドという「強欲」モンスターが間もなく、我々の目の前に姿を現す。
「週刊現代」2011年12月17日号より
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