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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/32360?page=3
ドイツはリーダーシップを身につけねばならず、フランスは後に従うことを学ばねばならない。両国にとって、これは辛い経験になるだろう。
欧州におけるゲームのルールは、ドイツ再統一で永遠に変わってしまった。ユーロ危機が生じてようやく、この変化がもたらす甚大な影響がはっきりしたのだ。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相には一定の同情を覚えずにはいられない。首相はリーダーシップのなさを批判されたかと思えば、今度は抑圧的なリーダーシップを批判されてきた。ユーロが燃えているのに傍観していると言われたかと思えば、ユーロ存続の条件についてゲルマン的な命令を出すと言われた。
我々は、欧州にとってドイツは常に大き過ぎる国だったことを思い出させられた。
大ドイツ主義を巡る新たな議論が問いかけているのは、ドイツがこれほど明白に圧倒的な強国となった今、欧州連合(EU)であれ、より統合が進んだユーロ圏であれ、欧州が新たな均衡を見いだせるかどうか、ということだ。
これが次に仏独関係を巡る議論を復活させる。ドイツ政府は、ためらいと苛立ちが入り混じった気持ちでリーダーの役割を引き受けようとしている。一方、フランス政府は、追従者の地位を受け入れることに猛烈な葛藤を覚えるだろう。
*** 体裁を保つために演出された「アンゲラとメルケルのショー」
体裁を保つというのは、こういうことだ。何しろフランスにとっては、ユーロの存続は実存的な問題だ。ユーロ崩壊に続いて起きる当初の莫大な経済的ショックなど、この際どうでもいい。通貨同盟が解体すれば、フランスは十中八九、欧州大陸の下位チームに転落する。欧州はフランスの力の機関室だからだ。これがなければ、世界の大国であるというフランスの自負には何も残らない。
***ユーロは第2のチャンスを手にするが、長期的な解決策にはならない
もちろん、サルコジ大統領はフランスの地位を守るために戦い、一足飛びに財政の連邦主義を目指すのではなく、ド・ゴール主義的な政府間協定を要求してきた。フランスは、モラルハザードの回避を金融市場の信頼回復よりも重視するドイツの習性の危なさをよく認識していたからだ。
しかし結局、ドイツ政府が勝った。ブリュッセルでのEU首脳会談に提出された安定同盟の提案書は、たとえ表ページはパリで編集されたとしても、基本的にドイツで書かれたものだった。
(もしかしたら愚かにも)首脳会議で合意がまとまると仮定すれば、現在の取り組みはユーロに第2のチャンスを与えるはずだ。首脳会議での合意が、欧州中央銀行(ECB)が断固たる姿勢で市場に介入する支援材料となれば特にそうだ。だが、提案がドイツで書かれたというまさにその理由から、この戦略は長期的に持続可能な解決策とならない。
一連の状況の核心にある経済的な議論は、昔からあまり変わることがない。むしろ議論は繰り返し、70年近く前にブレトンウッズに集まった政策立案者たちの間で表面化した意見の対立に戻ってくる。
ジョン・メイナード・ケインズは1944年に、計画されている新しい通貨体制には、債権国と債務国の双方で不均衡に対処するための対称的な義務が必要だと訴えた。国際通貨体制を持続させるためには、一方の緊縮財政を他方の経済成長によってバランスを取らねばならない、というわけだ。
*** 問題の根っこに横たわるケインズの議論
当時、ケインズは議論に負けたが、各国政府はそれ以来、ことあるごとにこの議論に舞い戻ってきた。この問題は1980年代には、一方は米国、もう一方はドイツと日本という構図の経済論争の中心にあったし、現在の米中間の貿易摩擦にも通じている。
だが、大きな皮肉は、単一通貨の創設時にも全く同じ議論が存在したことだ。1980年代初頭に景気刺激的な経済政策を押し進めようとしたフランソワ・ミッテランの取り組みは、屈辱のうちに終わった。ヘルムート・コールが、フランが欧州為替相場メカニズム内に残る見返りとしてフランスに厳格な財政を求めたからだ。フランスは、二度とこんな目に遭わぬことを決意した。
その結果生まれたのが「強いフラン政策」であり、独仏間で経済的な意思決定を共有しようとする取り組みだった。ドイツマルクが単一通貨に組み込まれたら、緊縮対成長という議論はようやく決着を見る。それが当時の理論だった。
ドイツは今もう少しで、ユーロ創設当時に通貨同盟の対として求めた政治統合を手に入れようとしている。危ないのは、ドイツ政府が、完全にドイツの設計に沿った形で新たな構造を作れると思い込んでいることだ。
メルケル首相の言う安定同盟が存続し得るのは、ケインズが半分正しいだけではなかったことを認めた場合に限る。超国家的な枠組みが条約で定められるかどうかはともかく、欧州の大部分に果てしない緊縮財政を強いるような枠組みは、域内各国の国政の現実を乗り越えて存続することはできない。
*** 緊縮財政だけではリーダーシップを発揮したことにはならない
ドイツのリーダーシップが抑圧的になるのを避けるには、財政同盟は一方に偏ったものではあり得ないということを理解しなければならない。
★一方のフランスは、欧州の政治的な地理について再考し始めなければならない。仏独関係は常に中枢的な関係であり続けるが、今やそれが平等な関係ではないことは明白だ。フランス政府はドイツ以外にも友人が必要だ。ポーランドやイタリア、スペインなどだ。また万一、英国の保守党が欧州の悪夢を振り切るようなことがあれば、昔の英仏協商を復活させる根拠になるだろう。
ポーランドのラデク・シコルスキ外相は最近、ベルリンの聴衆を前に、欧州にとって大きな脅威となるのは、ドイツの力ではなく、ドイツの不作為だと語った。両国の歴史を考えると、かなり勇気ある発言だ。
今、ユーロの生き残りがドイツのリーダーシップにかかっていることに異論を差し挟む人はいないだろう。だが、そのリーダーシップは、緊縮財政を約束するだけでは済まないのだ。(中略)
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■「英国は世界のピグミー族だ」英副首相の発言が物議・・ポーランドがEU絶賛「パリ・ベルリン・ワルシャワ枢軸を」とぶち上げた。
http://markethack.net/archives/51790236.html
英国のニック・クレッグ副首相(自民党)がBBC1チャンネルのアンドリュー・マー・ショウに出演し、「イギリスがまるで原住民のように世界の動きから取り残されるのは残念だ」という意味の発言をしました。
クレッグ副首相はEUのやっていることの全てが正しいとは限らないことを認めながら、「問題はイギリスがヨーロッパからも米国からも完全にシカトされていることだ」と嘆きました。
このクレッグ発言に対してはイギリス国内から大きな批判の声が上がっています。
保守党のマーク・プリッチャードは「イギリスがただ遠吠えするブルドッグだと揶揄する声があるが、ブリュッセルのプードルになるよりブルドッグで居た方がマシだ」と反発しました。
僕の考えでは今回の英国のEUからの離反がイギリス経済に及ぼす実害は殆ど無いと思います。
しかしイギリスの威信は大きく傷つきました。
★キャメロン首相が「しっしっ!」とサルコジ首相、メルケル首相から追い払われた同じ日、ゆくゆく通貨ユーロを採用したいと考えているポーランド外相はEUを絶賛し、「パリ・ベルリン・ワルシャワ枢軸ラインを打ち立てよう!」とぶち上げたのです。
★ポーランドは今ヨーロッパの国々の中で最もファンダメンタルズが良いし、内需は旺盛だし、果てはシェールガスも出るという調子で経済的には絶好調です。新しい機関車としてドイツと連結しようという気運が最高潮に盛り上がっているのです。
さて、話をイギリスに戻すと今回のニック・クレッグの発言は保守党・自民党の連立政権の絆が緩んでくるという意味ではチョッと不安です。
リーマン・ショック後、イギリスはアメリカよりもっと大胆な金融緩和をしましたし、イングランド銀行のバランスシートの拡張も半端では無かったです。
このような放埓とも言える財政政策にもかかわらず、市場が英国の経済運営に信頼を置いている理由はキャメロン-クレッグ-オズボーンという若いリーダーがガッチリと財政の手綱さばきをするという期待を持っているからです。
そのキャメロンとクレッグの間に亀裂が入ると総選挙の時に市場を包んだ宙吊り議会の恐怖が再びイギリスを包むかも知れません。
ニック・クレッグはそんな事態を引き起こすほど馬鹿ではないので、この内輪揉めをエスカレートされることはしないと思いますが、FXをやっている人は★イギリスのアキレス腱は外交ではなく内政、つまり連立政権の維持にあることぐらい気付いて欲しいと思います。(以下略)
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