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EU首脳合意、評価分かれる 英の孤立に懸念の声
9日に閉幕した欧州連合(EU)首脳会議が打ち出した債務危機総合対策を巡り、域内外でメディアなどによる評価が分かれている。ドイツを筆頭に財政規律強化の合意が歓迎される一方、短期の市場安定策については不十分との指摘も多い。
独「歴史的合意」
「数週間前まで空想の世界といわれた欧州の財政連合、安定連合に一歩を刻んだ」(独公共テレビ局ZDF)。ドイツメディアの間では、メルケル首相が財政規律強化を譲らず、サルコジ仏大統領と結束して「歴史的合意」を引き出したと評価する論評が目立つ。
英国への批判も多い。独大衆紙ビルトは「EUのほぼ全ての国は英国よりもユーロの方が大切だ」と突き放した。保守系有力紙のフランクフルター・アルゲマイネは「今後の金融規制を巡る欧州の議論で英国は影響力を失う」と指摘した。
イタリアの主要紙ラ・レプブリカは「主権に固執する英国が三くだり半を突きつけた」と指摘した。同国のモンティ首相は「英国なしでも新条約は機能する」と発言。来年1月中旬、ローマでの独仏との3カ国首脳会談開催を明らかにした。
一方、フランスのメディアでは域内対立の露見が市場に与える影響を懸念する論評が目立った。フィガロ紙は「欧州は一体性を失うだろう」、ルモンド紙も「(EUには)あいまいさや両義性が残った」と指摘。経済紙トリビューヌは「金融市場の信頼回復のため、指導者らはEUの一体性をとりもどさなければならない」などと解説した。
英国では金融街シティーを抱えるロンドン市長のボリス・ジョンソン氏がキャメロン首相のEU条約改正拒否を「ファインプレー」と表現。フィナンシャル・タイムズ(FT)紙も「首相はシティーを守る立場を選んだ」と理解を示しながら、「1つの市場(の欧州)で英の影響力を再構築する方法を探さなくてはならない」と呼びかけた。
一方、野党労働党のエド・ミリバンド党首は「今後、英国に影響する重要な経済決定に参加できなくなる」と影響力の低下を懸念。インディペンデント紙は社説で「国会議員のわずか15%でしかないユーロ懐疑派に奉仕した」と批判した。
米「努力不十分」
市場の不安払拭には、慎重な見方が目立つ。独地方紙ライン新聞は「これで債務危機を克服したわけではない。各国が新たな国債を大量に出す来年1月までに市場で正念場が訪れる」と予告。FT紙も、クリスマス前に周辺国の国債が「市場の攻撃を受けるリスクが残る」とみる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は「投資家が強く迫っている大胆な努力に欠ける。欧州の債務危機を止めるには不十分だ」と指摘。中国国営の新華社通信も「正しい方向への第一歩だが、効果が表れるかどうかは微妙だ。債務危機解決にはさらに多くの措置が必要になる」とする論評を配信した。
(ベルリン=菅野幹雄、パリ=古谷茂久)
[日経新聞12月11日朝刊P.5]
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