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英と独仏、鋭く対立 EU首脳会議閉幕:主権巡り深まる溝、今後の金融規制に影響も
【ブリュッセル=瀬能繁】欧州債務危機対策の最大のヤマ場となった欧州連合(EU)首脳会議が9日閉幕した。これまでの1週間は独仏英の3首脳が激しく駆け引きを繰り広げ、8日の討議は9日早朝の午前5時まで続く約10時間の長丁場となった。妥協を重ねた独仏と、あえて別の道を歩むことを決断した英国。双方の間に生まれた溝は今後のEUの金融規制・税制などでさらに深まる可能性が出てきた。
「国の利益守る」
8日夕。ブリュッセルに現れたキャメロン英首相は険しい表情で「ユーロ圏の安定は欧州諸国と英国にとって良いことだが、英国の利益を守る必要がある」と一方的に記者団にまくし立て、首脳会議の会場に入っていった。
メルケル独首相とサルコジ仏大統領は5日の会談で、財政規律強化のためにEU条約改正が必要との認識で一致していた。EU条約改正には加盟27カ国の全会一致の批准が不可欠だ。
2日にパリを訪れてサルコジ氏と会談したキャメロン氏は「条約改正は必要ない」と言い放っていた。独仏首脳にとって英国の反対は織り込み済みだった。
キャメロン氏の出身母体である英保守党内の反EU議員は条約改正の機を利用して「EUから一部主権を奪還すべきだ」と唱えていた。EUに弱腰を見せれば党内の保守派の突き上げを食らう。仮に条約改正をのめば、国内で国民投票を求める声が強まり、EUが大混乱に陥りかねない危険と背中合わせにあった。
独仏首脳は「非ユーロ圏もユーロ圏の会合に参加したい」(ポーランドのトゥスク首相)という声に配慮し、まずはEU27カ国によるEU条約改正を模索。英国が反対する場合は、ユーロ圏と非ユーロ圏の有志で新条約をつくる二段構えの作戦だった。
その独仏も5日の会談で妥協をした。財政規律重視のメルケル氏は財政赤字や債務の削減に向け「EU司法裁判所が各国に執行を強要できるようにすべきだ」と唱えていた強硬論を取り下げた。EUへの主権移譲に敏感なサルコジ氏への配慮とみられ、裁判所の役割を各国が憲法や基本法で債務削減ルールを定めているかどうかの点検にとどめることを受け入れた。
一方のサルコジ氏。ドイツが求める過剰財政赤字国への自動制裁案をのんだうえ「ユーロ共同債は解決策にならない」とメルケル氏に歩調を合わせてみせた。ただ、EUの執行機関である欧州委員会に強大な権限を与えるドイツの案は頑として拒んだ。互いに機微に触れる話に突っ込まないようにと「あうんの呼吸」(EU筋)は健在だ。
条約改正の議論に入ったのは8日の「最後の討議」(ファンロンパイEU大統領)。だが、キャメロン氏が示した条約改正容認の前提条件は激烈だった。
ロンドンに本部のある欧州銀行監督機構(EBA)が英当局の権限を抑えるのをやめる▽EBAの本部の所在地をロンドンから別の場所に移さない▽各国で金融規制に関するEUルールの適用を柔軟に変えられるようにする――。
欧州最大の金融センターであるシティーを抱える英国ならではの要求。英国が反対している「金融取引課税」の実現を独仏首脳が再び持ち出したこともキャメロン氏を硬化させた。
「規制緩和」要求
キャメロン氏の強硬姿勢を目の当たりにしたEU筋は9日午前3時すぎ、記者団に「27カ国の合意はなくなった」と表明。同5時すぎにサルコジ氏は金融規制の緩和と受け取れるキャメロン氏の要求を「受け入れられない。十分な金融規制の欠如が現在の危機を引き起こした」とはねつけた。
「タフであったが良い決定だった。守りを固められないのであれば(条約の)外側にいた方がいい」。キャメロン氏は激論をこう振り返った。“確信犯”とはいえ、孤立の代償は小さくない。
英国はEUのヘッジファンド規制や銀行監督規制などで独仏に主導権を奪われた。英国は孤立感を深め「英国抜き」がEUの政策決定の日常風景になるのは必至だ。
[日経新聞12月10日朝刊P.9]
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