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野田首相の訪中延期をめぐっては「南京事件」との関係を持ち出す論もあったが、それは70年以上も前に“決まっているスケジュール”で穿ちすぎというものだ。
ユーロ圏を震源地とした世界的な経済収縮と経済成長につきものの不動産バブルを両睨みしながら、共産党支配の支えであり国是ともなっている「高い経済成長」をどのように追求していくのかを呻吟している中国共産党の内部事情が、野田訪中を延期させたようだ。
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中国、成長確保に軸足 来年の経済目標、物価優先から転換 「工作会議」異例の遅れ
【北京=高橋哲史】中国共産党は9日、2012年の経済政策の運営で「成長の確保」に軸足を移すことを決めた。物価の安定を最優先に掲げた今年の方針を転換。来年の秋に開く5年に1度の党大会をにらみ、国内で社会不安を招きかねない景気下振れの回避に全力を挙げる。
胡錦濤総書記(国家主席)が同日の政治局会議で決めた。週明けの12日にも政府と合同で年に1度の「中央経済工作会議」を開き、今回の方針を正式決定する。毎年12月初めに開く工作会議が、10日以降にずれ込むのは極めて異例だ。指導部内で経済政策の路線を巡る駆け引きが激しくなっている可能性がある。
国営の新華社通信が配信した政治局会議の文書によると、債務危機が広がる欧州を念頭に「国際政治経済の環境は複雑で変化が多く、中国経済は新たな状況に直面している」と表明。「情勢の変化に応じて政策を微調整する」とし、追加の金融緩和に含みを持たせた。
一方で「経済の比較的速い発展と物価水準の基本的な安定を維持し、調和の取れた社会の安定を保つ」目標を掲げた。昨年の中央経済工作会議が打ち出した「物価水準の安定を最も重要な位置に置く」方針には触れず、成長の確保と物価の安定を同列に置いた。
昨年の政治局会議は金融政策の基本方針を巡り08年の金融危機後にとってきた「緩和」から中立に近い「穏健」に変更。引き締め方向にカジを切った。来年の方針でも「穏健」な政策に言及したが、今後、緩和方向に再び傾くのは確実だ。「積極的な財政政策」も4年連続で維持し、情勢次第で公共投資を増やす姿勢をにじませた。
政治局会議の文書は「不動産価格の抑制策を堅持する姿勢は揺るがない」と言明。金融引き締め策の効果で足元の不動産は値下がり傾向が鮮明だが、住宅購入にかけている規制策を当面緩めない方針を示した。
中央経済工作会議は党・政府の最高首脳と政府系シンクタンクの経済専門家らが一堂に集まり、翌年の経済政策の基本方針を決める。12月の早い時期に3日間の日程で開くのが通例だ。
今年は工作会議の前触れとなる党政治局会議の開催が昨年よりも1週間遅れた。中国メディアは「(胡錦濤政権が発足した)02年以降で、中央経済工作会議の開幕がこれほど遅くなったことはない」と報じる。日本の野田佳彦首相は12〜13日に訪中する予定だったが、6日に中国側の申し入れで急きょ延期が決まった。工作会議の日程調整が影響したとみられる。
中国政府の関係者は「欧州の債務危機が深刻になっており、経済情勢の見方は指導部内でも割れている」と指摘する。王岐山副首相が成長重視を前面に出す一方、次期首相の最有力候補である李克強副首相が不動産バブル対策の堅持を主張するなど、微妙な路線対立も浮かび上がっている。中央銀行の中国人民銀行は5日に市中銀行から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を3年ぶりに引き下げた。景気テコ入れを狙った金融緩和がどう進むかが次の焦点になりそうだ。
[日経新聞12月10日朝刊P.4]
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