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株式日記と経済展望
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2008年の危機時には、EU諸国政府が自国の銀行を下支えした。
今では、政府が国債を買い続けるよう銀行に圧力をかけている。
2011年12月10日 土曜日
◆EU首脳会議、英以外の全加盟国が新協定参加へ 英の孤立深まる 12月10日 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111210-00000011-reut-bus_all
[ブリュッセル 9日 ロイター] 欧州連合(EU)首脳会議は9日、財政規律を強化する協定をEU27カ国の基本条約に盛り込むため、基本条約の改正を目指したものの、英国が強硬に反対したため、合意に至らなかった。
一方、英国を除く26カ国は、議会での承認などを前提に、基本条約とは別の新たな財政協定に参加する意向を表明した。これにより、英国の孤立は深まる格好となった。
26カ国は今後、遅くとも来年3月初旬までの協定締結を目指す構えで、複数の外交筋によると、英国を除いた首脳会議が来年1月にも開催される可能性がある。
首脳会議について、メルケル独首相は「安定性の同盟に向け、飛躍的進歩が見られた。今回の危機をバネに新たな始まりのチャンスとしたい」と発言。欧州は過去の教訓を踏まえ「とんでもない妥協」を回避したと世界は受け止めるだろうと語った。
サルコジ仏大統領は「27カ国による基本条約改正が望ましかったが、友人である英国の立場を踏まえ、実現に至らなかった」と述べた。
あるEUの外交官は、「英国が混ぜ返し、ドイツはむくれ、フランスはほくそ笑んだ」と首脳会議を振り返った。
キャメロン英首相は、首脳会議に提案された内容は英国の国益に沿わなかったと発言。国内経済の約1割を占める自国の金融サービスを保護する姿勢を貫いた。
「われわれは、単一の市場と金融サービスを守るため、賢明に努力する必要がある。これは依然として、われわれに属する欧州委員会、欧州裁判所、EU機関の職務だ」とし、EUの機関は明らかに加盟27カ国に属していると主張した。
あるEUの外交官は、キャメロン首相の交渉について「ぎこちなかった」と表現。金融取引税の導入に対する強い反対が背景にあったと述べた。
欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の後継となる欧州安定メカニズム(ESM)については、発足を2012年7月に前倒しすることを決定。資金力の上限を5000億ユーロに制限し、銀行免許を付与しないことも決めた。
首脳会議では、国際通貨基金(IMF)の債務危機対応を支援するため、EU加盟国が相対融資を通じて最大2000億ユーロをIMFに拠出することも決定。うち1500億ユーロはユーロ圏加盟国が拠出する。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、首脳会議について、財政協定に向けて一歩前進したと指摘。「ユーロ圏加盟国の経済政策の規律強化と財政協定の良い基盤となる。今後さらに肉付けが必要だ」と述べた。
こうしたなか、複数の欧州中央銀行(ECB)筋が9日明らかにしたところによると、ECBは現在ユーロ圏国債の買い入れ限度を週200億ユーロとしており、EU首脳会議の決定を受けて対応を強化することは検討していない。
あるECB筋は「さらに一定の買い入れは行うが、市場やメディアが望んでいる巨大なバズーカではない」と述べた。
◆欧州の銀行:いよいよ厳しくなる資金調達 12月9日 英エコノミスト誌
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/31985
問題を抱えた欧州の銀行は資金が不足しつつある。
普通なら、1ペニーを貸し出す前に顧客を丹念に調べるのが銀行だ。だが、欧州では今、投資家や企業、預金者がお金を貸し出す前に、厳密な調査を受けるのが銀行だ。投資家のストに見舞われ、銀行は新規融資を中断し、可能なものをすべて売却したり、担保にしたりしている。
投資家のストがすぐに終わらなければ、欧州は信用収縮に陥る恐れがある。最悪の場合、銀行の取り付け騒ぎや破綻が起きるかもしれない。
銀行債券市場に見る静かな取り付け騒ぎ
ある意味では、ゆっくりとした銀行取り付け騒ぎは、銀行債券の市場で既に起きている。この市場はもっと満ち足りた時期なら、長期の安定した資金を供給し、金融当局者が夜ぐっすりと眠れる状況を生み出す。
7月以降、欧州の銀行にとっては、こうした銀行債市場がほぼ完全に凍結されてしまった。
債券の発行は大幅に減少しており(図参照)、銀行がデフォルト(債務不履行)した場合に投資家が手に入れられる資産の裏づけがある担保付き債券にシフトしている。
投資銀行バークレイズ・キャピタルのデビッド・ライアン氏の試算では、6月末以降に発行された欧州の銀行の無担保債券は、前年同期の1200億ユーロに対して、わずか170億ユーロにとどまっている。
「必要額に照らしてみると、これは微々たる額の資金調達だ」とライアン氏は言う。
資金調達市場で起きている欧州の銀行の取り付け騒ぎは、ある意味では、一部の国債市場で起きている動きをそのまま映し出している。銀行と政府との繋がりを考えると、これは当然予想されることだ。
2008年の危機時には、政府が自国の銀行を下支えした。今では、政府が国債を買い続けるよう銀行に圧力をかけている。その結果、スペインやイタリア(イタリアでは11月29日に実施された3年物国債の入札で、落札利回りが持続不可能な7.9%まで急騰した)のようなユーロ圏周縁国では、最も強力な銀行でさえ投資家から借り入れを行うのが難しくなっている。(後略)
(私のコメント)
EU首脳会議の結論はIMFへの資金拠出で当面持たせることであり、問題の先送りにしかなりません。ECBではなくてIMFなのは、EUだけの資金では間に合わないからであり、日米や新興国からの資金を呼び込むためにIMFを使おうと言うのだろう。それに対してアメリカやカナダは資金を出すつもりはないようだ。
EU加盟国の財政規律を強化する協定を決めましたが英国は反対して参加しないようです。英国は幸か不幸かユーロには参加しませんでしたが、今日あることを予想していたのだろうか? 信用不安が起きている時に緊縮財政は取るべきではありませんが、PIIGS諸国では国債が暴落して投売りされている。そうなると財政を建て直さないと国債は買い手がいなくなる。
日本の場合は、国内資金で国債が買われているので問題になっていませんが、ユーロ加盟国ではドイツですら国債入札の札割れが起きる状況になっている。金利を0,25%下げて1%にしましたが、信用不安が起きていれば銀行は貸し出しをせず貸し渋りや貸し剥がしをやっているようだ。まるで90年代の日本の状況と同じだ。
日本でも国債の消化がいつまで国内の資金で間に合うのかが問題になりますが、円建ての国債なので最後の買い手である日銀が札を発行して買えば消化は無限に出来る。しかしそうなると円は暴落してインフレが起きる。しかし円が暴落すれば世界中に日本製品が溢れるようになるだろう。国内もインフレになって物価の高騰が起きて不良債権問題が一気に片付くかもしれません。
ユーロ圏内ではドイツが一番の経済力を持っていますが、ユーロ圏内の国債を一手に引き受けるつもりは毛頭考えられない。ECBにはユーロは発行できないからどこかが買わなければならない。その際にはドイツが一番買わされる可能性が高いからドイツは強硬に反対している。PIIGS諸国の赤字をドイツが全部被ることはとても考えられない。
財政規律を強化するとは、結果的にはPIIGS諸国をユーロから切り離すことを目的としているのだろう。スペインやイタリアは自国通貨に戻って大幅な切り下げで経済を再生させることができる。このような観点から見れば日本の円高は国際競争力の強さを裏付けるものであり、アメリカの格付け会社が日本の国債を低く評価しているのは理解に苦しむ。
結論的に見ればユーロは、財政政策も一体化されていなければならないのに統一してしまったから問題が起きている。ギリシャなどはユーロ建て国債を大量発行して資金を調達して公務員の給与にばら撒かれた。税収がないのに公務員の給与が高ければ国家財政は赤字になって国債で赤字を穴埋めするようになる。その点では日本も同じだ。
緊急の問題はEU諸国の銀行の信用不安の問題であり、国債の金利が急騰している状態では政府も銀行救済に出せる資金がない。インターバンクの短期の資金調達もいつまで機能しているか分からぬ状況では、世界の中央銀行が資金を供給しても一時的な先送りにしかならない。日本の銀行のように不良債権を20年以上かけて償却するか、できなければ破綻させるしかない。
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