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なぜ? コミュニタリアンとリバタリアンが共にBIに賛同するのか?  日経BP
http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/392.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 12 月 09 日 08:34:04: mY9T/8MdR98ug
 

 これまで2回にわたってベーシック・インカム(BI)について説明してきた。BIは、理念的に見て、民主主義社会の正義の原理に適っている。制度としても現実的だ――シンプルで分かりやすい、運営コストが小さい。またBIに対する3つの反対論――BIにぶら下がって働かない人が出る、コスト高になって経済競争力が落ちる、必要な原資が大きすぎる――も紹介した。

 BIについて面白いのは、政府の役割について両極端の意見を持つ「コミュニタリアン」と「リバタリアン」の双方が、BIを支持している点である。コミュニタリアンは、国民の平等性を最重視し、手厚い社会保障や福祉を強く主張し、その結果大きな政府を志向する。リバタリアンは、国家における政府の役割は可能な限り小さいことが望ましいと訴えている。

 また「ネオリベラリズム論者」もBIを支持している。彼らは、リバタリアンほど思想的色彩が強いわけではないものの、経済活動も国民の厚生も市場メカニズムを最大限に尊重することによってうまくいくというスタンスだ。今回はこの点について説明しよう。


コミュニタリアンのBIは格差解消の平等政策

 コミュニタリアンがBIに賛成するのは分かりやすい。彼らは「人は平等に生活し幸福になる権利がある」という理念を根拠に、社会保障や福祉の充実を主張する。“平等”を最重要価値とするコミュニタリアンにとって“格差”は何としても是正しなければならない。特に生存権を脅されている人々が存在する状況は決してあってはならないと考える。その点、国民全員に、無条件で、生活を保障するお金を給付するBIは、理念的にも、現実的効果の面でもコミュニタリアンの主張そのものだ。

 ところで、私も含めてBIを考えるきっかけは、「普通の生活にすら困っている人々に対して何らかの公的救済を図るべきである」という思いにあることが多いのではないか。例えば、子供を抱えたシングルマザーのうち半数以上が年収114万円以下の相対的貧困に苦しんでいる現実を見ると、何としてもそうした人達に強力な支援をしなければという思いを抱く。日本が豊かな先進国であるにもかかわらず、経済的要因を理由とする自殺がどんどん増え続け、人口当りの自殺者数が世界でワースト3位であることを知ると、改善の必要性を感じる。人として自然な感情であろう。

 こうした普通の人々が自然な感情に基づいてBIを支持の動機と、コミュニタリアンがBIを支持の理由とは、厳密に言うと、理屈の面で多少違っている。普通の人々がBIを支持する理由の重点が「貧困からの弱者救済」であるのに対して、コミュニタリアンがBIを支持する重点は「格差解消」「一律平等性」にある。どちらの立場も政策の対象としては、“貧困に苦しむ社会的弱者の支援”ではあるが、理念的な重点のあり所は異なっている。


リバタリアンにとってBIは政府の介入と裁量の排除

 次にリバタリアンによるBI支持の理由を示そう。そもそもリバタリアンは、国家における政府の役割は警察・外交・国防など、最小限にすべきであるという立場を取る。にもかかわらず、最低でも60%程度の高い国民負担率を覚悟せざるを得ないBIを支持するのは意外に感じられるであろう。

 リバタリアンがBIを支持する最大の理由は、BIが一律・無条件であるため行政コストが小さいことと、行政の恣意性と裁量が排除できる点にある。レッセフェール――成すに任せよ――を旨とするリバタリアンが最も排除すべきだと考えるのは“政府の介在”である。現行の社会保障や社会福祉は、細かな規定に基づいて施行・運用されている。政府による介入と裁量的運営のコングロマリットのような存在である。この政府介入・裁量運営のシンボル的分野を根こそぎ更地に戻すがごときBIは、財政面では拡大が避けられないにしても、理念的には極めて好ましいということになる。

 リバタリアンは、元来は「最小政府国家」を看板にしていた。しかし近年は、こうした側面を重視して「最大限に分配する最小国家」という理念が登場してきている。

 ここでも通常の社会人の考え方とリバタリアンの考え方とのニュアンスの違いを示しておこう。先ほども述べたように、通常の人たちがBIを支持する動機は、色々な事情で貧困に苦しむ社会的弱者を救うことにある。これに対してリバタリアンにとっては、様々な形で政府/公的権力が介入・裁量することを排除できることが、BIに賛同する最大の理由である。

 政府は小さければ小さいほど良いと考えるリバタリアンも、国家を維持し国民を守るための警察や国防といった公的サービスの必要性は認めている。こうした警察や国防と同じく、深刻な貧困の解消は国民の生存権を確保するために不可欠であると考える。そして不可欠な公的機能であるならば、可能な限り「介入や裁量が小さい方が良い」との理由でBIを支持しているのである。


ネオリベラリストは政府による分配は非合理と考える

 ネオリベラリストたちがBIを支持する理由もリバタリアンに近い。ネオリベラリストは、経済的資源配分は市場に委ねるのが良いと考える。政府が恣意的に市場に介入したり、経済活動をコントロールしたりすることに批判的である。

 政府のサイズは小さければ小さいほど良いとするリバタリアンと、政府がコントロールしようとしても経済は上手くいかず、市場に任せるのが適当であるというネオリベラリストは、政府の役割に関しては共に極小を良しとするが、異なる点がある。

 最も大きなその相違点は、リバタリアンの主張が根本的には思想的/理念的なものであるのに対して、ネオリベラリストは経済活動を中心とした現実的方法論の色彩が強いことだ。言い換えるなら、リバタリアンはまず思想/理念ありきで、その思想に添った経済政策を主張する立場。一方ネオリベラリストはまず合理的経済政策の主張があって、そうした経済政策の延長に“小さい政府・最小限の介入”という望ましい政府の姿がある。

 従って、リバタリアンがBIを支持する最大の理由が政府の介入・裁量が小さいことであるのに対して、ネオリベラリストがBIを支持する理由は、BIが市場メカニズムに適っていて経済的に合理的だからという点にある。

 つまり、ネオリベラリストは、BIは現金給付であるため、その使い途は各個人の自由意思によって決められる。従ってBIに投入される財政資金が市場メカニズムによって配分されるので、政府が再配分するよりも効率的な資源配分が可能になるという立場なのである。

 ネオリベラルの理論的主柱となっているフリードマン率いるシカゴ学派は90年代から、政策効果がBIと比較的近い「マイナスの所得税」という政策/概念を提案している。マイナスの所得税というのは、ある一定の所得水準に満たない層に対して、水準に満たない額を埋めるための給付金を支給する制度である。このマイナスの所得税の目的は、健全な市場経済を維持するため、生存権が脅かされるような貧困層の存在を、政府が再分配政策によって解決することである。従って、動機と目的は貧困の解消であって、平等の実現でもないし、政府機能の排除でもない。コミュニタリアンともリバタリアンとも主張の根拠は異なることが理解できよう。


BIは同床異夢なのか? 普遍的な正義の制度なのか?

 コミュニタリアン、リバタリアン、ネオリベラリストの三者がこぞってBIを支持する理由を紹介してきた。これほど主義主張が違うにもかかわらず、各派がこぞってBIに賛同しているのは、単なる“同床異夢”なのか? あるいは、BIが、理念や政策の違いを超えた普遍的妥当性を持った民主主義社会に最適な“正義の制度”なのか? たいへんに興味深いところである。

 しかし、こうして各派が支持・賛同しているにもかかわらず、現実的には、いまだどこの国もBIを実現していない。次回は、なぜBIが実現しないのかについて考えてみる。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111129/224650/?top_updt

--------------
年収500万円台の子ども3人の夫婦世帯がBI制度の導入によって、年収1000万円台の高収入富裕層に変わる一方で、年収200万円台の高齢単身年金生活世帯がBI制度の導入によって、年収100万円以下の超貧困層に転落する。この超貧困層に転落する世帯として他には、単身の生活保護世帯、単身の障害者世帯、単身の失業者世帯、なども含まれる。

BI制度が「格差解消の平等政策」などというのは欺瞞に過ぎない。年収1000万円台の5人世帯の富裕層はBI制度の導入によって、年収1500万円台の超富裕層にランクアップする。こうしたことは社会の公平性を保つという観点から、社会正義に著しく反すると言わなければならない。

結局、BI制度導入によって超貧困層に転落する単身世帯を救済するために、現在の生活保護制度、障害者年金制度、失業保険制度、介護保険制度、などを代替する新たな社会保障制度の併設が必須となってくる。

BI制度の最大の欠陥は、BI制度が「負の人頭税」という制度そのものからくる「経済格差をより拡大」する性質である。「一人当たり何万円」といった極めて乱暴な割り切りが大きな弊害を生じさせている。


 

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コメント
 
01. 2011年12月09日 08:55:49: pwAFz85QEE
クリント・イーストウッドがいい人になったから。

02. 2011年12月09日 09:13:26: ErOluhWnmo
貧困層よりも富裕層はもともと多くの子供を持つ傾向がある。BI制度の導入によって、経済格差はよりいっそう拡大する。

BI制度による富裕層への多額の金銭贈与は、単身失業貧困層からの徴収によってもまかなわれることに留意しなければならない。

BI制度の本質である「負の人頭税」は、より公平で社会正義を実現する別の制度に取って代わらなければならない。


03. 2011年12月09日 10:20:30: KLoioEXy2c
生活保護費や、障害者手当てをもらうための苦労(不平等などの)を考えたら
とりあえず、基本的な生活費を無条件でもらえる状況は、ストレスなどの
軽減になり、病気の回復や労働意欲にもつながる。

経済格差は、今だってひどい状況だ。
今の政治家には、これの解決は無理だと散々思い知らされてきた。
すこしでも政治家や役人の裁量を減らすことは、最も重要なことだと思う。

田舎では自民の政治家やそれにつながる人だけがお金持ちになっている。
その格差は、経済力、社会的力も含めて、ひどい状況だ。
そうした仕組みが危険な原発の建設にもつながってきた。
これを放置していたら、私たちは、また新たな危機に直面することになる。
一刻も早く、BIの実現を願う。


04. 2011年12月09日 11:08:11: ErOluhWnmo
年収800万円以上の富裕世帯への金銭支給はまったく不要である。しかし、BI制度では、この富裕層に対しても金銭を支給してしまい、さらなる富裕化に拍車をかける。これはBI制度が「負の人頭税」という本質からくる不平等化の促進である。

「正の人頭税」では多人数世帯が苦しんだが、「負の人頭税」では働くことができない単身世帯が苦しむことになる。

富裕層への金銭贈与は行なわない、働くことができない単身世帯への金銭贈与額を大幅にアップする。こうした金銭贈与の「重み付け」の制度こそが、単純なBI制度にとって替わらなければならない。


05. 2011年12月09日 11:35:36: Fd5HezZDGP
「人生ゲーム」ではゲームが続けられるように無担保で借金ができる。
例えば15万円/(人月)を上限に、無担保で借金してもいいシステムはどうだろう。
人生を終えたとき、家などの財産のある人は返済に当て、返済できない人は
墓標に借金額が刻まれるということで。


06. 2011年12月09日 11:37:34: 2XHcHVA5tc
>年収800万円以上の富裕世帯への金銭支給はまったく不要

それをどうやって補足するのだろうか。
零細の経営者、事業の借金返済のため、実質の生活費は年200万円にも満たない収入でありながら、児童手当ももらえない、保育所の保育料も最高額を払ってきた人もいる。

そういう自営業者が、この不況でどれだけ自ら命をたったか。

年金保険料さえ、預かった金の記録も正しい配布もできない役人、
それを監視するどころか自分の利益誘導のために、使い込むことだけを
考えている政治家などにややこしいことなど任せることができない。

いまだって、低所得者層からはしっかり税金取るのはじょうずだが、1800万1円であろうと10億であろうと同じ税率ってどういうことか。

鳩山元首相だって首相になったから脱税がばれたが、そうでなかったら
ずっと脱税したまま。もっとも期限切れ、のものは、脱税が許された形になっている。
すでに富裕層には、お金がまわる仕組みになっている。


こどもを持つ世帯がちょっと金持ちになったって今の子育てにかかる手間ひまお金を考えたらやすいぐらいだ。
何しろ、生まれたときからミルクはどこのものを買えばいいのか情報収集を
しなければならないのだから。放射能に住んでいるところが汚染されれば
こどもを連れて安全なところに逃げなければならない。

子育てにどれだけお金がかかるか、考えたら途方にくれる。


07. 2011年12月09日 12:47:41: JSkbVdd7E2
世帯いくら+家族一人当たりいくら×人数
みたいにすればいいんじゃないかと思うのは素人考えでしょうか
例えば、金額は仮置きですが、
単身世帯なら150,000+50,000×1=200,000/月
5人家族なら150,000+50,000×5=400,000/月
と、それなりにバランスが取れると思うのですが…。

08. 2011年12月09日 13:23:52: ErOluhWnmo
>>07

そういう方法もアリだと思います。

それプラス、富裕層への金銭贈与は行なわない、というルールも必要です。これがないと、BI制度維持のための低所得世帯層の費用負担が増えるばかりです。

収入が増えるにしたがって、金銭贈与額を漸次低減していく、という方法でよいと思います。


09. 2011年12月09日 13:39:05: CONe7K3O1k
この種の手当に所得制限を設けると役所仕事が増えるので無駄、
というのが世界標準の考え方です。

所得の捕捉はあくまでも税務署1本にまかせ、累進課税をキチンと行なえば
BIや子ども手当程度のはすぐに取り返せます。


10. 2011年12月09日 15:17:22: ErOluhWnmo
>>09

年収1000万円台以上の5人世帯の富裕層がBI制度で受け取る年間500万円の増収分が、累進課税の強化で丸ごと課税されて、100%税務署に徴収されるのであれば、あなたの主張に賛成します。


11. 2011年12月09日 22:22:33: dsRTZrvqzQ
>BI制度が「格差解消の平等政策」などというのは欺瞞に過ぎない。

いや、格差是正・貧困撲滅の政策になり得るよ。
つまり、給付水準・税制など具体的な制度設計如何だ。
ベーシックインカム制度のような基本所得保障制度は、
ダイナモさんが頭のなかで想定しているものだけじゃないんだよ。

極論すれば、100人のBI論者がいれば、100通りのBIがある。
十把一絡げにして、切り捨てるのは短絡的過ぎる。
個別具体的に評価するべきだ。

たとえば、こういうのもある。
累進税率強化(富裕層への増税強化)+相続税強化+負の所得税あるいはベーシックインカムなら
協力な再分配政策になり得る。

■飯田泰之(経済学者):「負の所得税の財源。
現在日本では年間80兆円の相続財産があり、これに対する相続税収は1.5兆円。
2億円まではうまくやれば無税。日本は実質相続税が無い。
配偶者を除く次の世代への相続に20%課税すれば8兆円の財源ができる。」
http://twitter.com/#!/montagekijyo/status/13613237545
負の所得税+累進率を強くすることには賛成。すぐにでもやって欲しい。
http://twitter.com/#!/kuroseventeen/status/11698284587


12. 2011年12月09日 22:27:42: dsRTZrvqzQ
■日本にも富裕税の導入を!年間所得100億円以上の富裕層は14%の税率でしか税金を支払っていない
復興増税、税と社会保障の一体改革は、富裕層にそろそろ負担してもらうべきです。
冒頭の図のように、日本では、高所得者優遇税制のせいで、
わずか2年間で富裕層は世帯数で4%増え、その資産は19%も増えています。
日本の所得税の最高税率は1983年には75%ありましたが、
小泉内閣以降の減税措置で大幅に引き下げられ、税収も低下傾向にあります。
景気の後退も相まって、所得税の税収は19兆円から現在では14兆円と、年間5兆円も減ってしまっているのです。
しかも、今の最高課税率は40%とされていますが、実際には年間1〜2億円の高額所得者は、
所得税を、最高でも26・5%しか支払っていないのです。
それは、証券取引についての課税を20%(いまはさらに特例として10%!)とする、
証券取引への優遇制度があり、しかも総合課税ではなく、分離課税となっているからです。
ほかで儲けて株に投資すれば税金が極端に安く上がる!ということです。
この分離課税を駆使することで、いま、所得100億円以上の人はかえって税率が減って税金14・2%しか払っていません・・・・!
所得税・相続税で累進課税率を上げるだけではなく、所得税はどうしても所得隠しでかいくぐられてしまいますから、
残った資産に対して、さらに富裕層への富裕税も創設すべきです
(戦後間もない頃にはあったのですがすぐ廃止されてしまいました)。
末尾のウォールストリートジャーナルの記事2本にあるように、
スペインでは富裕税を時限付きで復活する予定ですし、
アメリカのオバマ政権も、証券取引に関する優遇課税で超富裕層への課税率が低い問題を解消するために、
富裕税を課すバフェットプラン導入を検討しています。
冒頭の図にあるように、日本で純金融資産1億円(純でしかも金融資産だけですからね)を持つ90万世帯の資産250兆円!
に1%の富裕税をかけるだけで、毎年2・5兆円の税収が得られます。 …
数パーセントの富裕税で、日本の富裕層が海外に大挙して逃げ出すなどあり得ないのです。
さらに、バフェット氏も提案しているように、海外に資産だけ逃がした場合にも課税できるように法制度を整えればいいのです。…
日本の富裕層も、「私たちから税金を取って」と声を上げている欧米の富裕層と同じく、
この国のおかげで利益を上げているという現実に向き合うべきです。
祖国の緊急事態にこそ恩返しをするのが「愛国心」でしょう。
富裕税導入と共に、せめて所得税の最高税率60%にして、
そこまできめ細かく累進課税率を上げることで、
高所得者からの所得税歳入を上げて低所得者への歳出に回す所得再分配、格差社会の是正を図るべきです。
http://news.livedoor.com/article/detail/5873474/?p=2

■税率はどのように変ってきたか
日本の税制はどのように変ってきたのか。
ネットで公開されている財務省の資料で見てみよう。
結論から先に言うと、昭和から平成に変った1989年から大きく様変りしたことがわかる。
最大の理由は「国際水準に合わせる」ことだったと思うが、
大幅な減税を強行する一方で、歳入の減少を補う工夫をした気配がない。
おそらく消費税の引き上げが視野にあったのだろうが、景気の回復を待つということで、
とりあえず国債の増発で歳入の欠陥を補うことにした。
その先送り政策を20年間続けた自公政権の結末が、現状なのだ。
個人の所得に対する日本の税金には、伝統的に強い累進性があった。
オイルショックに襲われた昭和49年、1974年当時、国税と住民税を合わせた最高税率は93%だった。
それ以前の税率も90%以上だったことを覚えている。
ただし年間1800万円程度以上の高額部分について適用されるので、所得の全部に最高税率がかかるわけではない。
1800万円以上も所得のあった人は、超過部分は1割ぐらいを自分のものにして、あとは社会に還元しなさいということだ。
保守党政権に支配されていた日本で、つい20年前までこのような税制が行われていたことは感動的でさえある。
一億総中流と呼ばれた高度経済成長は、このような税制の中で実現していたのだ。
日本の平社員と社長の給料の差は10倍ぐらいだが、アメリカでは千倍にも万倍にもなるという話が、
海の向こうからの噂だった時代である。
 個人所得税(住民税を含む)最高税率の推移
 1974年 84年 87年 88年 89年 95年 99年
  93% 88% 78% 76% 65% 65% 50%
http://pub.ne.jp/shimura/?daily_id=200911
高度成長時代、富裕層への税率は、93%だった!
(ただし年間1800万円程度以上の高額部分について適用)

↑たとえば、こういった税制とBIや負の所得税を組み合わせれば、
強力な再分配政策になり、格差は是正され、貧困も撲滅できる。

以下のような修正版負の所得税もある。

■負の所得税の予算と財源 −財源はある(かも)!
現実性皆無のベーシック・インカムについてあれこれ考えるのは知的遊戯としては楽しいが、
そればかりというのもなんなので、今回は現実性がありそうな負の所得税について検討してみよう。
負の所得税のモデルはいくつかあるが、ここではミルトン・フリードマンが提唱したモデルを考えてみよう。
すなわち控除額と助成率を設定するモデルである。…
ただし、フリードマンが提唱した既存福祉を置き換えるモデルではなく、
既存福祉に追加する形でのモデルを考えてみよう。
これは既存福祉のレベルを置換した場合、福祉水準を切り下げることなく負の所得税を導入することが難しいためである。
もし置換するとしたらその対象は失業保険と生活保護、ということになるだろうが、
実務上失業保険との置換は不可能(月収単位ではなく、年収単位の話だから)だし、
現在の生活保護水準と同レベルの給付(月13万〜34万円程度、2割削減したとしても月11〜27万円程度)を行うのは難しい。
もちろんフリードマンは福祉削減の急先鋒なのでそのようなモデルを推奨するのだろうが、
当ブログ主はフリードマンのそのような側面が嫌いなため、あえて福祉や援助の「ごった煮」を目指そう。
さて、そのようなモデルとベーシックインカムとを比較した場合、負の所得税のいいところは財政に優しいところにある。
救貧制度と位置づけられるので全員に配る必要がなく、給付対象となる人であっても、
給付額が所得に反比例しているので一人当りの給付額も軽くてすむ。
また、そもそもの給付額自体もBIのような「最低限の生活費」という縛りがなく自由に設定できる。…
以下負の所得税に必要な予算について本当に大雑把な計算をしてみよう。
まず支給は世帯単位で、年金との二重給付を避けるため、現役世代限定としよう。
その代わり年金制度は残すものとする。
▼控除額の設定
救貧制度であるから、対象は年収300万円以下とする。
すなわち控除額は300万円。
実際は世帯人数に応じて控除額が増減することになるだろう(独身者は低く、4人家族は高くなるはずである)が、
ここではデータの不備と計算の簡略化のため世帯人数による補正は行わない。
一律300万円としよう。
可処分所得の目安はこれの80%程度と言われているので、約240万円である。…
▼助成率の設定
300万円以下の所得に対して、2万円の所得減に対し、1万円の給付をするとしよう。
すなわち助成率は50%に設定する。
具体的には、この給付額においては、年収300万円だと0円、年収200万円で50万円、
年収ゼロだと150万円の給付が為される。…
だが年金制度を残すことを条件に、支給は現役世代に限定しよう。
したがって、ここから高齢者世帯を除かなくてはならない。
高齢者で年金制度に加入していない人はここでは考えず、別の制度でカバーするものとする。…
これを先に試算した総世帯数から差し引きすると、年収300万円以下の世帯は、
世帯年収          世帯数
200〜300万円  434万世帯
100〜200万円  357万世帯
0〜100万円    139万世帯
存在することになる。
この世帯数を給付額と掛算すると総額は、
434万×25万円+357万×75万円+139万×125万円=
5兆5000億円
となる。
▼子ども手当が実現可能ならば負の所得税も実現可能
すなわち負の所得税に必要な予算額は5.5兆円である。
奇しくもこれは、子ども手当(全額で5.3兆円)と同程度の予算ということになる。
すなわち子ども手当が実現可能であれば、負の所得税もまた実現可能である!
http://d.hatena.ne.jp/ColdFire/20100206/1265421463
課税最低限300万円、助成率50%の負の所得税に必要な予算額は5.5兆円だから、
課税最低限や助成率を引き下げれば、さらに予算が少なくて済む。
控除額150万円、助成率40〜50%ならば、予算額は2兆円台くらいか。
これなら、ベーシックインカムよりかなり現実味がある。

天下り官僚の受け皿である独立行政法人など公益法人に毎年12兆円以上の税金が流れているので、
これを根絶すれば、この12兆円以上のカネを財源とすることができる。
もちろん、景気対策の一環として、国債の日銀直受けや政府通貨の発行といった財政拡大を伴う強力なリフレ政策を断行して、
財源を一時的にまかなってもよい。
所得税最高税率の引き上げや相続税・資産課税強化など富裕層に対する増税で財源をまかなってもよい。


13. 2011年12月09日 22:34:18: dsRTZrvqzQ
負の所得税とは、いかなる制度か。
例えば基準額が300万円で助成率が20%だとすると、
年収が0円なら(300万円−0)×20%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(300万円−50万円)×20%で年間50万円もらえることになる。

基準額が150万円で助成率が40%だとすると、
年収が0円なら(150万円−0)×40%で年間60万円もらえる。
つまり年収60万円のベーシックインカムと同じ事を意味する。
年収が50万円なら、(150万円−50万円)×40%で年間40万円もらえることになる。

こうすることによって、役人の裁量権を極力減らし、
つまり、一定のルールに沿って所得税を徴収(または、負の所得税を給付)することを提案しているのだ。
「負の所得税」とは、所得ゼロの人よりも、100万円の所得のある人のほうが、
結果的に受け取り総額が増えるようにして、働くことのインセンティブをつけようとしたものである。
生活保護制度を負の所得税に置き換えれば、不公正もこれで解消される。
(障害者や難病・重病人には、別途、手当てを加算すればよい)

そして、この基準額や助成率は、いかようにも変更してもよい。
また、いかなる税制と組み合わせるのも自由。(フリードマンのフラット税制にこだわる必要なし)
したがって、基準額、助成率、税制如何によって、低所得者層により有利な制度設計ができる。
制度設計如何で、格差是正・貧困撲滅、つまり強力な再分配政策になり得るのだ。


14. 2011年12月10日 08:51:02: E6ZdxcII8E
>>11,12,13

詳しい解説ありがとうございます。

単純なBI制度ではなく、「累進課税の大幅な強化」+「負の所得税」が制度として最も望ましいようですね。


15. 2011年12月10日 18:41:50: YYVpWWjwTE
複雑な制度は公務員の影響力が増える
BIと年金は併用出来るようにして、ただ、年金は国庫負担分はカットすればよい
年金制度は今のままじゃ破綻は確実
今の支給を維持するのなら、ただでさえ貧しくなっている若者から金を奪うようなもの
老人の生活が大事で若者の将来を奪うのはどうなのか
子供どころか結婚も出来ないだろう
BIは18歳以上に本人に支給すればいい
ただ、子供手当ては支給するべき

16. 2011年12月10日 21:12:24: 6kuobrWeYc
>こどもを持つ世帯がちょっと金持ちになったって今の子育てにかかる手間ひまお金を考えたらやすいぐらいだ。

金がかかるというよりも金をかけていると言ったほうが正確なような。

>複雑な制度は公務員の影響力が増える

所得制限程度は大して複雑な制度といえんだろう。
課税では普通にやっていること。


17. 2011年12月10日 21:37:44: gYMjEpM7nk
>金がかかるというよりも金をかけていると言ったほうが正確なような

都会の収入のあるひとはかけているかもしれないが田舎では、収入が低いから
学校の費用だけでも払うのは辛い。
制服から体操服に習字道具に算数セット、弁当もたせたいのに許されず
高い給食費に、車の往来が激しくのびのび遊べる場所がないので仕方なく
スポーツクラブにいれたら、その経費、学級崩壊で授業どころでなくなると、
今度は塾の経費、PTAで学校の修繕までするための寄付、女の子は変質者
情報がでると送り迎え、ぼんやりしていると空から農薬降ってきたり、
フッ素うがいをさせられたりするので、油断ができない。


こんどはその上、放射能。
ほったらかしていてもこどもが育った時代がなつかしい。

携帯やゲームの宣伝、うまいよね。
山の中で暮らしているわけでないから無縁でいれない。
高校以上になるとPC,車の免許。
昔は、働きながら覚えた仕事もいろんな資格になって専門学校ができていて
驚く。

>所得制限程度は大して複雑な制度といえんだろう。

うーん、年金保険料の徴収、記録があれほどずさんだったことを考えたら
それがきちんと行えると思うのは、危険だと思う。


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