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ギリシャ財政問題でも名を馳せたゴールドマン・サックスだが、ポールソン元財務長官もGSの出身である。
「ポールソン氏は彼らにファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)を政府管理下に置くシナリオを漏らしたという。その7週間後に政府はその通りの行動を取り、両社株は紙切れ同然になった」というのが事実であっても、“犯罪”ではないという話に唖然とさせられる。
「著名運用者たちは誰も、ポールソン氏の話に基づいた取引をしなかった。もっとも、会社別の空売りのデータは公開されている資料からは得られないという」とのことだが、仮に話を聞いたひとは直接手を染めなかったとしても、情報が内輪だけにとどまったと考えるのはナイーブすぎる。常に情報を交換しているたちの悪いGS仲間や“お友達”がごまんといる。 ひとり(一社)で空売りするより、数多くで空売りするほうが目を付けられなくて済むし、相場下落のエネルギー量も膨らむ。
“サブプライムローン詐欺”の顕在化は、06年末から07年初頭の時点でインサイダーにはわかっていたことである。
それまでは「未必の故意」だった詐欺で、そこからは、ババをひとに押し付けつつ強引に儲ける「故意」の詐欺へと突っ走っていったのが米国の金融家である。
ファニーメイとフレディマックに関する情報漏洩は、氷山の一角で、 “サブプライムローン詐欺”をどう終息させその過程でどう儲けるかという話は数多く交わされたはずである。
カネでダイレクトにカネを儲けるシステムを存続させる限り、金融家の悪行と99%の人々に対する生活破壊は止まらない。
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【コラム】ポールソン氏とヘッジファンドの仲をどうみるか−コーハン
12月5日(ブルームバーグ):先週ブルームバーグ・マーケッツ誌が伝えた話を、われわれはどう受け止めるべきだろうか。2008年7月に当時の米財務長官、ヘンリー・ポールソン氏がイートン・パーク・キャピタル・マネジメントの本社で、今をときめくニューヨークのヘッジファンド会社幹部らに微妙な内容の思惑を語ったという話だ。
この記事によると、集まった大物たちの多くはポールソン氏と同様にゴールドマン・サックス・グループと関わりがあり、ポールソン氏は彼らにファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)を政府管理下に置くシナリオを漏らしたという。その7週間後に政府はその通りの行動を取り、両社株は紙切れ同然になった。
これは、ゴールドマン出身でシカゴにコンサルティング会社を創業したジェネット・タバコリ氏が言うところの「縁故資本主義」というものなのだろうか。つまり、金持ちは常に他の誰よりも先に市場について重要な情報を手に入れるということだろうか。
それとも、ウィリアム・プール元セントルイス連銀総裁の言うように、ファニーメイとフレディマックが国に接収されるかもしれないという重大ニュースをそれとなく市場に広めるためのポールソン氏の策略だったのだろうか。
頭脳明晰
それとも、ファニーメイとフレディマックについて心を決めかねていたポールソン氏が頭脳明晰な人々との会話で選択肢を検討してみたのだろうか。ファニーメイとフレディマックをめぐる事件を時系列で追ってみると、どうもこの答えが正しいように思われる。そうだとすれば、財務長官が決定前に可能なシナリオを議論することがそれほど悪いことだったとは思われない。
ポールソン氏がこれらのヘッジファンド運用者を難しい立場に立たせたことは確かだ。イートン・パークでポールソン氏の話を聞いてしまった後、運用者らはファニーメイとフレディマック株を空売りするという素晴らしい収益機会を見送るか、インサイダー取引の罪で訴追されるリスクを冒すかの選択を迫られたからだ。もちろん訴追については、ポールソン氏が話をした7月21日の時点で既に心を決めていたということが証明された場合に限られる。
ブルームバーグ・マーケッツ誌によると、著名運用者たちは誰も、ポールソン氏の話に基づいた取引をしなかった。もっとも、会社別の空売りのデータは公開されている資料からは得られないという。
同誌の記事によれば、少なくとも1人のヘッジファンド運用者は匿名を条件に、ポールソン氏がそのような具体的な情報を明らかにしたことに驚愕(きょうがく)するとともに、米財務省がこの計画を実行することについて疑問の余地はほとんどなかったと語っている。
しかし、政府がファニーメイとフレディマックを管理下に置いた9月7日までの経緯を見る限り、ポールソン氏にせよ誰にせよ、7月21日の時点で両社の運命を決めていたとは考えにくい。
北京
ポールソン氏は8月7日から1週間、北京五輪のため中国を訪れていた。同氏の回顧録「オン・ザ・ブリンク」には、中国から戻った週末に米経済紙バロンズがファニーメイとフレディマックの国有化や株式の無価値化の可能性について長い記事を載せ、同氏はその記事が「かなり正確だ」と思ったという記述がある。
ポールソン氏が中国にいる間に米連邦準備制度理事会(FRB)と米通貨監督庁(OCC)がモルガン・スタンレー、ブラックロックとともにファニーメイとフレディマックの帳簿を精査し、ひどい資本不足に陥っていると結論付けた。
政府は結局、両社を「保存管理」の状況に置いたが、ポールソン氏はむしろ「破産管財人の管理下」に置くことが望ましいと考えたという。保存管理は会社更生手続きに近く、業務は継続される。破産管財人の管理下に置かれることは清算手続きに近い。
8月23日
ポールソン氏が遂に保存管理を決めたのは、財務省が法律事務所を起用して両選択肢を比較検討した翌日の8月23日だった。これはイートン・パークでの会合よりも1カ月以上後になる。
つまり、ポールソン氏は7月21日に内部情報を漏らしたわけではなく、ファニー・フレディ問題について取り得る解決策の一つについて語り、それが結局1カ月後に選択されたということになる。犯罪ではない。
犯罪ではないがこの一件は、ヘッジファンドやプライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンド、大銀行の経営トップらがかねてから政府高官と特別な関係にあり、業界の要望を訴えたり、ちょっとした情報を得たりできる立場にあるという事実をあらためて示すエピソードではある。権力者との付き合いでは、非合法ではなく合法的な罪というものがある。(ウィリアム・D・コーハン)
(ウィリアム・D・コーハン氏は投資銀行出身の作家でブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
記事に関する記者への問い合わせ先:William D. Cohan at wdcohan@yahoo.com.
記事に関するエディターへの問い合わせ先:Tobin Harshaw at tharshaw@bloomberg.net
更新日時: 2011/12/06 19:33 JST
http://www.bloomberg.co.jp/article/2011-12-06/a1dMLWHJPYEM.html
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