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かつて、米国の政策立案者は大西洋の向こう側に目を向ける時、「欧州に電話をしたかったら誰にかけたらいいのか」というヘンリー・キッシンジャーの言葉を引用したものだ。
最近では、その答えは明白だ。アンゲラ・メルケル独首相である。問題は・・バラク・オバマ米大統領の助言が常に歓迎されるわけではない。
メルケル首相とその他首脳が今後数日間で欧州を大惨事から救い出せるかどうかはともかく、ユーロ危機は世界が変わりゆく様子について米国に冷徹な教訓を与えた。
有り体に言うなら、米国の助言は最近、大いに軽んじられているのだ。皮肉なことに、ユーロ圏の難局打破に関して、米国政府の批評が当を得ていたにもかかわらず、だ。
数週間前、ティム・ガイトナー米財務長官は、欧州にしっかり行動するよう求めた時にざわめくような野次に見舞われた。先月カンヌで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、オバマ大統領はもう少し丁寧な扱いを受けた。
*****影響力が衰え、欧州危機の悪影響に怯える米国
しかし、米国の衰えゆく影響力は隠しようがない。米連邦準備理事会(FRB)がドル資金の流動性を高めるために大規模かつ大胆な緊急措置を講じる以外に、米国政府が大西洋の反対側の出来事に影響を与えられることはほとんどないのだ。
対照的に米国は、欧州が米国に及ぼし得る悲惨な悪影響について気を揉み続けている。ここ数カ月というもの、ワシントンでは、「それは欧州で何が起きるかによる」という意見が・・そうした不安を受け、ワシントンには不慣れな受け身の姿勢が生まれた。
★米国は、ゴドーの代わりにユーロを延々と待ち続けているのだ*1。
(*1「ゴドーを待ちながら」は不条理劇の代表作とされるサミュエル・ベケットの戯曲)
共和党が大統領候補に危険人物を指名するかもしれないし、中東ではヒョウが子ヤギとともに伏す*2かもしれない。だが、もし欧州が崩壊を食い止めることができなければ、オバマ大統領の再選の見通しは「ジャンク」に格下げされてしまうのだ。
*****ゴドーならぬユーロを待ちながら・・
「ユーロを待ちながら」という戯曲は、3幕から成る。
**第1幕では、我々は米国の助言を聞き入れる人がもうほとんどいないことを知る。
米国経済が最高潮に達していた1990年代には、人々はたとえ、時に偉そうな口調や態度に憤慨しようとも、米国の助言を傾聴した。より柔軟な労働市場の必要性にせよ、金融の規制緩和の必要性にせよ、「ワシントン・コンセンサス」が幅を利かせた。
今や米国モデルは傑出しているようには見えない。先週発表された歓迎すべき失業率の低下が、その理由を説明している。
9%から8.6%に低下した失業率は表面的には大幅な低下に見えるが、失業率低下の半分以上は大勢の人が労働市場から脱落したことが原因で、その数は新たに創出された雇用を上回ったのだ。米国では、人口に占める就業者の割合は欧州と同じレベルだ。
確かに米国経済には、弱々しいとはいえ、安定的な回復の兆しが見られる。欧州の状況が許せば、米国の成長率は来年、2.5%に達する可能性がある。だが、米国はもはや、抜きん出た国ではない。★メルケル首相率いるドイツは、米国よりはるかに硬直的な労働法がありながら、グレートリセッション(大不況)が始まって以来ずっと失業率を低下させてきた。
**戯曲の第2幕では、米国は次第に自国の指導者たちの無能さに気づき始める。
すべての民主主義国は、選挙で選ばれた指導者に神秘的な力があると考える。過去1世紀の大半を通じて、米国人は他国よりもずっと、そう考えるだけの正当な理由があった。ただ実際には、米国の大統領は決して、国民が考えているほど経済に影響を与える力を持っていない。(*2=イザヤ書より、動物の争いもない絶対的な平和が訪れること)
見通しの悪い世界の経済情勢の評価は、今、ホワイトハウスをことさら無力に見せる。逆説的かもしれないが、遠く離れた場所で起きている、米国を景気後退に逆戻りさせかねない出来事を止める力が米国にはないという新たな認識が、共和党候補の世論調査で元下院議長のニュート・ギングリッチ氏が急浮上している理由の一端を説明するかもしれない。
喪失に対して最初に人が示す反応は、否認だ。次に怒りが来る。ギングリッチ氏の急浮上を支えたティーパーティー運動は、怒り以外の何でもない。
米国人は左派も右派も、自国の指導者が事態をしっかり掌握できる世界を切望している。ギングリッチ氏の挑戦的な態度は、保守派の世界観に見事に合わせたものだ。
*****確かなことは何もない
ここで、第3幕が始まる。
終盤の局面では、何が起きるのか見当もつかない。欠点のあるギングリッチ氏が結局、共和党の指名を勝ち取る可能性もある。
★そしてメルケル首相が欧州中央銀行(ECB)の権限を強化し、FRBのように行動できるようにする可能性もある。あるいは、その逆も考えられるだろう。
ほとんどどんな筋書きもあり得る。この時点で、★「ユーロを待ちながら」は、その着想の原点となった作品と同化していく。「時に、我々は別々だった方が良かったのではないかと思う・・・同じ道を歩むのに似合いの相手ではなかった」とオバマ大統領が言う。「それは分からないだろう」と連れが言う。するとオバマ大統領は「そう、確かなものは何もない」と言うのだ。(中略)
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