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現役世代は、この10年以上、可処分所得が増加するどころか戦後最長の好況期でさえ切り下げ続けられてきたが、今度は、年金世代が、デフレや「マクロ経済スライド」による調整で年金を切り下げられようとしている。
目標が他にない地平で自ら目標を定め国家全体をリードしていく使命を担うのが官僚機構や政治家であるはずなのに、最強の産業国家になったとたん、バブル→バブル崩壊→金融危機→長期デフレ不況と類を見ない状況に投げ込まれた日本を眼前にした彼らは、為す術を見失い続けている。
目標があった高度成長期においても、経常収支という外部要因に経済政策が強く規定されており、官僚機構の指導力が効を奏したというより、国際関係をうまく活かした民間人の鋭意努力で経済成長が実現されたと言った方が的確である。
哀しいかな、官僚機構が明確に成果を生んだ政策は、「戦後改革」に象徴される米国占領時代のものだけと言っても過言ではないかもしれない。
官僚機構・大政党(民主・自民)・メディアは、「現役世代と年金世代」・「男性と女性」・「専業主婦と勤労女性」・「自活者と生活保護者」・「民間就労者と公務員」などの区分で国民に分断を持ち込み、そこから生まれる怨嗟を利用しながら自分たちの政策を実現しようとしてきた。
最近話題になっている“年金支給額の正常化”をめざす動きも、現役世代への負担増を“言い訳”に実現しようとしている。
まず言っておくが、現役世代に負担増を強いるかたちで、規定された金額よりも多い年金を支給する政策は誤りである。さらに、規定オーバーの年金支給が過剰なインフレを招いているのならそれを放置するのも誤った政策である。
しかし、15年にも及ぶ長期のデフレ基調経済から脱却できない(最近は脱却する気もない)状況で、年金支給額を正常化することに血道を上げるのはトチ狂った政策と言わざるを得ない。
デフレ不況期の諸政策は、天井のホコリを払わないまま床の掃除をするような、優先順位が転倒した愚策だらけである。
年金支給額の正常化は、規定に従うと増やさなければならないインフレ状況に転換した時点で考えればいいことである。
記事にあるように、食料品やガソリンなどの「生活必需品」の物価が上昇しているなかで、年金支給額を減らせば、支出優先度が生活必需品よりも低い耐久消費財やサービスへの支出が減り、大企業が中核を占める産業の収益が劣化することになる。
耐久消費財の中心である家電・情報機器は、デジタル化の急進でコストダウンが激しく進んでいるので、デフレという経済事象で見るより技術革新の観点で見た方がいい。
技術革新(生産性の上昇)でせっかく大きな収益を上げられる条件を実現していながら、経済状況のせいで、その成果を実として得るのではなく価格政策で吐き出さなければならなくなっているということだ。
善意か悪意かよくわからないが、財務省・厚労省・経産省などの官僚機構は、日本を“絶滅危惧種”にするために日々邁進しているようにしか思えない。
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デフレ経済、実感とズレ 物価が「二極化」
テレビなど大幅値下げ 食品など必需品値上げ
消費者のデフレ予想が薄らいでいる。10月の消費者物価指数(CPI)は4カ月ぶりにマイナスに転じたが、消費者の7割は先行きの物価上昇を見込んでいる。モノやサービスの価格が「二極化」し、食料など必需品の価格が上がっていることが背景だ。ただ、日本の主力産業は値下げ競争が激しい分野にあり、生活感覚とは裏腹に、デフレ脱却の道のりは遠そうだ。(関連記事経済面に)
10月の全国CPIは値動きが激しい生鮮食品を除くベースで前年同月比0.1%下落。前年のたばこ値上げなどの特殊要因が消え、より実態に近づいた。
原油や穀物高騰
専門家の間ではデフレ基調は続くとの見方が支配的だ。日銀は10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で2011年度、12年度とも物価上昇率は0%近辺と予想。民間エコノミストでは、マイナス0.1〜0.2%との予想が多い。
にもかかわらず、消費者の見方は異なる。内閣府の10月の消費動向調査によると、1年後の物価見通しは「上昇する」との回答が69.6%と前月比2.4ポイント増加。直近の底だった09年12月(29.2%)から40ポイント以上増えた。消費者がデフレを実感しにくい最大の理由は原油や穀物など商品市況の高騰で、生活必需品の値上げが増えていることだ。
CPI(生鮮食品を除くベース)の個別品目をみると、価格が上昇した品目の割合は36%に拡大。下落は51%と、直近のピークだった10年5月(68%)に比べて縮小した。来年1月には家庭用小麦粉や蛍光灯などの値上げが相次ぐ。
CPIは財とサービスに分かれ、構成比率は半々。財は家電など「耐久財」と衣類など「半耐久財」が各7%、残り36%が食料品やガソリンなど「非耐久財」だ。消費者のデフレ予想が強まった2002〜04年と09年は、3つの財すべてが下落基調だったが、最近は非耐久財が上昇している点が違う。
下落が続く耐久財はパソコンなど家電を中心に、メーカーが激しい価格競争を繰り広げている。ただ、消費者はそう頻繁に耐久財を買うわけではなく、前の購入価格と比較してデフレを実感する機会は限られる。
これに対し、食料品は食パンや砂糖、コーヒーなどの価格が上昇。東日本大震災後は電気代など公共料金の引き上げも加わった。
買い控えで拍車
雇用者の現金給与は97年をピークに減り、必需品価格の上昇で低所得世帯中心に実質購買力は下がった。家計調査で消費支出に占める「食料」と「光熱・水道」の割合は今年1〜10月平均で31.4%と、同統計を遡れる00年以降で最大。消費者は自動車など耐久財は購入を控え、一段の価格下落を招く構図だ。
自動車など輸送用機械と電気機械は製造業生産額の5割弱を占める日本の主力産業。海外でも韓国メーカーなどと価格競争を迫られ、収益環境は厳しい。働く人は賃金上昇を見込めず、生活防衛の色彩を強める。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストは「賃金が上がらない限り、耐久消費財の持続的な価格上昇は見込みにくい」と指摘する。
[日経新聞12月5日朝刊P.1]
デフレ把握へ指標多様化 日銀、「連鎖式CPI」採用
消費者の日々の実感とズレる物価指標。デフレの実態をつかもうと、日銀は10月の展望リポートから「連鎖式消費者物価指数(CPI)」を参考指標として扱い始めた。日銀は1%程度の物価上昇率が見込めるまでゼロ金利政策を続ける方針だが、金融政策の判断にも微妙な影響を与える可能性がある。
公式のCPIは5年に1回、消費動向に合わせて構成する品目や割合を見直す「固定基準年方式」。基準改定の際に大幅修正する「段差」が生じやすい。
今年8月の2010年基準への改定では0.6%下方修正された。家電エコポイントや地上デジタル放送への移行で販売が好調だったテレビの割合が高まったためだ。テレビは値下がりが激しく、基準改定前より全体の指数が下がりやすくなったとの指摘もある。
「連鎖式」は毎年割合を見直し、「段差」を生じにくくしている。半面、基準が年々動くためデフレ局面では基準年から離れるほど公式CPIより低めに出る傾向がある。10年の連鎖式CPIは前年比1.0%下落と、05年基準の公式CPI(0.7%下落)より下落幅が0.3ポイント大きくなった。日銀は値動きの激しい品目を除いた平均値など複数の指標を見て、総合判断するとしている。
[日経新聞12月5日朝刊P.3]
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