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世界恐慌、その現実的影響 預金は損、借金は得 いずれやってくる超インフレに備えよ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/28685
2011年12月05日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
欧州最強国家ドイツでついに国債の「札割れ」が起きた。頼みのドイツが倒れれば総崩れ、世界大恐慌の幕開けだ。次に狙われるのは間違いなく日本。しかも大炎上の惨禍となる可能性が高い。
■日本国債の異変
イタリア国債の金利が7%にも達した欧州債務危機に耳目を奪われている間に、日本国債にもジワリと異変の兆候が見えている。
外資系証券のクレジットアナリストが言う。
「11月22日に財務省が実施した新発20年物国債の応札倍率が、予想を下回る低い数値だった。これは国債の人気のバロメーターのようなもので、高いほど人気がある証拠。前回(10月)が約3.6倍で今回が2.5倍ほどだったから、『人気が3割減』したといえる。実はこの8月にも40年物国債の応札倍率が2.03倍と過去最低を記録している。これを受けて、当時のみずほ総研のレポートは『市場の財政悪化に対する警戒感は高まりつつある』と指摘していた」
政府=財務省もついに危機感を露にし始めた。
「ある日突然、日本の国債が暴落するということがもう目の前にある」---11月21日、外国特派員協会で講演した民主党の藤井裕久税調会長が、日本国債の危機についてこう本音を吐露したのだ。
さらにその翌日には、日銀副総裁の山口広秀氏が出席したセミナーで、「一国の財政に対する市場の見方は突然に変化する」「従来『安全資産』とみなされていた国債が、非連続的に『危険資産』に変わるリスクは常にあると言っても過言ではない」と国債の即死≠警戒する発言を口にした。
全国紙経済部記者はこう語る。
「山口副総裁の発言が持つ意味は大きい。通貨の安定を社是≠ニする日銀の幹部が、通貨暴落をもたらす国債破綻について明言することはめったにない。それほど危機感が強いということでしょう。事実、山口副総裁は同じセミナーで『財政再建に向けて着実に歩を進めていくべき』とも語っていました」
政府、財務省、日銀トップたちの顔ににじみ始めた焦燥感。その先には「国債暴落→超インフレ(ハイパーインフレ)」という、いまだ語られない「恐怖のシナリオ」がある。
超インフレで国の風景は変わり果ててしまう。だから安全報道≠心がけるテレビや新聞は報じようとしない。では本誌が真っ先に「超インフレ後」の日本の姿を紹介しよう。想像していただきたい---。
東京・丸の内にサムスン、タタ・モーターズなど外資系メーカーの本社ビルが立ち並ぶ。三菱や三井といった財閥系の看板は引きずり降ろされ、もはやその名前をテレビCMで見ることもない。皇居の周りは中国人、インド人、中東系などさまざまな人種のグローバルエリートが、出社前のジョギングで汗を流している。
日比谷公園まで足を伸ばせば、大量のホームレスが炊き出しに並んでいる。年齢は40~80代、いずれも日本人の元エリートサラリーマンばかりだ。世田谷、杉並などに持っていた家は、住宅ローンの金利が払えずに手放していた。家が競売で買い叩かれることが決まった日、妻と子供は北海道の田舎へ帰った。「あの日」を機に人生は一変、仕事も家も家族もすべてを失った。この年、自殺者が6万人を突破したというニュースがラジオから流れた—これが現実となる日が近付いているのだ。
超インフレは経済に致命的な大打撃を与える。
たとえば、第一次石油危機後の日本。トイレットペーパーをはじめとする日用品の価格が2倍にも上がった「狂乱物価」となった後、GDPが10%以上(年率換算)のマイナス成長を記録する最悪の不況が到来している。さらに就業者数の減少は4ヵ月も続き、一月で80万人規模減少(前年同月比)する月もあった。競争力を失った企業からバタバタと倒産していき、生き残った企業も残業代カットや新規採用の抑制を実施。職にあぶれた人が急増し、雇用保険の受給者が100万人を突破した。
第一次大戦後のドイツでは最悪期には物価が10%強のテンポ(1日平均!)で上昇する超インフレが起きた。そのうえ、自国通貨の下落のペースが給料アップのスピードを上回り、1ヵ月の給料でコーヒー一杯も飲めない状況に。通貨の価値がフリーフォールのように急落下したため、企業は給料の支払いに紙幣に加えて地元商店街で使えるクーポン券を支給、自治体も独自通貨の発行を始める事態となった。さらに手持ちの預金や株資産の実質価値が激減、虎の子≠ヘ紙くずと化した。大量の失業者を抱える回復不能の恐慌。それは「国家崩壊」の姿そのものではないか。
そして今回、日本国債が暴落して超インフレとなれば、この二つのケースを合わせてさらに規模を大きくしたような事態になる。それこそが財務省・日銀が密かに見据える「恐怖のシナリオ」だ。
■現預金も年金も紙クズに
今夏、第一生命経済研究所のレポート内の「時評」欄に載った寄稿文に一部のマーケット関係者の注目が集まった。執筆者は跡見学園女子大学教授の山澤成康氏、題名は「ハイパーインフレへの警戒」。超インフレの実態と、それが日本で起こる可能性について以下のように詳細かつ具体的に記していたのだ。
〈今後警戒すべきは、デフレよりもインフレだという考えは変わらない。特に、ハイパーインフレ(非常に高率なインフレ)への警戒はしておいた方が良いと思う〉
〈ハイパーインフレの最中の'92年にブラジルに行ったが、レストランのメニューがクリアファイルに入れられていたのを覚えている。毎日値段を書き換えるためだ。/ハイパーインフレと呼ばれるこうした現象は、マネーサプライの量や実体経済の動きとは関係なく起こる。国が財政的に破綻して、通貨の信認が無くなった時に起こる〉
〈今後、ハイパーインフレがすぐに日本で起こるとは思っていない。ハイパーインフレが起こるのは、財政規律が崩壊した場合だ。財政赤字を補填するために発行した国債の引き受け手が無くなって、中央銀行が国債を引き受ければ、ハイパーインフレの可能性は高まる〉
超インフレへの恐怖は世界の経済専門家の間では共有されている。その証拠に、欧州危機が火を噴き始めた昨年、『ハイパーインフレの悪夢』と題された本が人気を博した(日本版は今年発売)。しかもこれは第一次大戦後のドイツで起きた超インフレの実態を詳細に描いたもので、1975年に出版されたものが復刊されてのブームだった。同じく、過去に世界で起きた超インフレの実例をふんだんに描いた『国家は破綻する』は日本でもベストセラーとなっている。いま書店の経済書コーナーは、超インフレ・ブームなのだ。
超インフレが来た時に特にきついのは年金生活者だ。
「超インフレになると、たとえばタクシーに乗るのに1兆円くらいかかるというように、物価は急激に高騰する。カネの価値がなくなり現預金は紙くずになるので、退職金を1億円もらった大企業の役員も預貯金が100万円くらいしかない若年層も、同様に資産を失う。ただ賃金も物価と同様に値上がりするので、働くことができれば生活はできる。高齢者も働かざるをえなくなるが、企業は高齢者よりも若者を雇おうとするため職はないだろう。
仕事がなければ年金に頼らざるをえないが、年金支給額は『マクロスライド方式』で決定する。これは物価が2%上昇したときには年金の支給額を2%ではなく、1.1%だけ増やすというやり方だから、超インフレになって支給額が増えても物価の上昇分を補えない。働いて稼ぐことができる若者がカネ持ちになり、困窮した高齢者が巷に溢れることになるでしょう」(経済評論家の山崎元氏)
厳しいのは年金生活者だけではない。サラリーマンも給料が上がるといって浮かれていると深い地獄に落とされることになる。一橋大学経済研究所准教授の小黒一正氏がこう言う。
「超インフレが恐ろしいのは、初段階では物価が上がるのにつれて給料も上がるから国民がこれを歓迎すること。しかし、気づけばいつの間にか、物価が5%上がっても、給料はせいぜい2~3%しか上がらなくなる。物価上昇で金利も上昇、調達コストがかさむようになり、負債を抱える企業が人件費にカネを回せなくなるからです。しかも給料が上がる分、累進課税で所得税がアップ、控除額も圧縮される。結局は実質的な『大増税』となる。そのため、給料は上がるのにおカネが足りない異常困窮状態≠ノなる」
一方でカネの価値がなくなるから、預金と同じように借金もチャラになる。では、いまのうちにじゃんじゃんカネを借りておけば得かというと---そこにも「落とし穴」がある。
■変動金利の住宅ローンは危険
ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの櫨浩一氏が言う。
「超インフレになる前段階で超円安、超高金利が来ることに注意が必要です。低金利だからといま変動金利で住宅ローンを組んでいる人は大変なことになります。金利が10%になれば月々の利息支払い分が10倍になる。利息分だけを払って元本がまったく減らないサラ金状態≠ノ耐えられず、ローン破綻者が急増するでしょう」
前出・小黒氏が続ける。
「一方で円安を背景に外資系企業や外国の富裕層が『ここぞ好機!』と、投げ売られた不動産や弱った日本企業を強い自己通貨で買い漁りに来る。そして次の段階で超インフレとなれば、物価とともに不動産価格は急上昇するから、仕込んでいた外資勢が大儲け。海外に資産を逃がしていた日本の富裕層も同じことをして、さらに資産を増やすでしょう。意外なところでは農家も潤う。スーパーから品物がなくなるモノ不足の時に、米がほしいという消費者に『ではプラダのバッグと交換しましょうか』と言うことができるからです」
超インフレがいつ来るかは誰もわからない。ただトリガーを引くのは、財政の危機=日本国債の暴落であるというのは専門家の共通見解だ。経済のプロは「明日にも日本国債は暴落しかねない」
「少なくとも3年以内には確実に暴落する」と口を揃える。となれば超インフレも遠くない未来に起こることがわかるだろう。
欧州に目を転じれば、ギリシャ、イタリアでは国債暴落のあと、まず政権が倒れた。今後はIMFやECBの指導下で、増税や社会保障カットなどの「苦い薬」を飲んでいくことになる。
一方の日本では野田—財務省が「消費税アップ」だけにこだわるが、復興財源で東北の公共事業に大量にカネを投下したり、農家の戸別補償などのバラマキ4Kにも手をつけず、公務員改革や議員定数削減も放置されたまま。消費税アップという重い負担を国民に押しつけ、官僚は既得権益に固執し、議員は国庫からカネを引き出して選挙区に配ることしか考えていない。
世界の財政・金融情報に詳しい元スイス銀行マーケット・アナリストの豊島逸夫氏はこう言った。
「古今東西、財政赤字を積み上げた国が最後に何をしてきたか。方法はふたつ。ひとつは増税、そしてもしいまの日本で増税できなければ、いっそのこと超インフレにして借金をチャラにすればいいと財務省は思っているだろう。禁じ手だが、国債を日銀に引き受けさせるだけ。市中にカネがジャブジャブとばらまかれ、超インフレになる。インフレは当座のカネ回りが良くなり、国民の痛みも急性ではないので抵抗感が薄いことを当局は知っている」
結局ツケはすべて国民に回ってくる。いますぐにでも自衛を始め、超インフレに備えたほうがいい。
「週刊現代」2011年12月10日号より
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