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株式日記と経済展望
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EU政府の愚策と、米国の財政赤字対策の、政治的な迷走を見ている と、
先進国の国債のデフォルトは、意外に、近い時期かも知れません。
2011年12月2日 金曜日
◆<ユーロ危機の終着点は、世界恐慌か?> 11月24日 吉田繁治
http://archive.mag2.com/0000048497/20111124221527000.html
■5.EU当局(政府)の、金融面では愚かな対策の三連発
▼(1)空売りを禁止する愚かさ:先物売りとプット・オプションに 利益の機会を与えるだけのことになる。
EUは、ユーロ建て国債の、空売りを禁止しています。空売りで更に PIIGS債とフランス債が下がると見ているからです。 (注)空売りは、証券会社や親銀行から、ファンド等が国債、株、 証券を借りて売り(たとえば1億円で売る)、期限には市場価格で買 い戻して(下がった8000万円等で買って)返済することです。国債 相場が下がるとき、空売りの利益が出ます。株、社債、金証券でも おなじです。上がったときは損が出ます。
【先物売り】
空売りを禁止しても、空売りと同じ効果をもつ「国債先物の売り」 ができます。先物の売りは、たとえば3ヶ月先の先物価格(1億円と します)で、売りをかけることです。 3ヶ月後の限月日までのいつの日か、9000万円に下がれば、1億円で 売っておいた先物を9000万円で買い戻す。差し引きで、売った1億 円―買った9000万円=1000万円。1000万円の利益が出ます。相場が上がれば損をするのは、空売りとおなじです。
【オプションのプット】
先物売りをしなくても、オプションの売り(プット)もあります。 ブラック・ショールズ方程式で計算されたオプション料を、たとえ ば500万円払って、1億円の権利行使価格で売る権利を売る。限月(げんげつ)までの間に、9000万円の価格で下がれば、それを1億 円で売ることができます。 利益は1000万円―払ったオプション料500万円=500万円です。 9000万に下がった国債を、1億円で買う義務をもつのは、その500万 円のオプション料を受け取って、1億円で買う義務の行使価格を引 きうけた人です。
●当局が「空売りを禁止する」理由は、市場に、相場が下がるとい う見込みがあるからです。
空売りが禁止されたら、即刻、上記の、
(1)国債の先物売り、
(2)または、オプションの売り、をしかければいい。ほぼ確実な利 益が上がります。
別の方法で、イタリア国債のCDSを、プレミアム(保険料)を払っ て買ってもいい。イタリア国債が下がれば、そのCDS証券の価格が 上がって利益が出るからです。以上のように、当局の空売り禁止策は、市場に対し、無効です。 むしろ、安値を予想した「売り」に、利益の機会を与えてしまいま す。 2011年10月と11月に、日本政府が、二度のドル買い介入(ドル買 い・円売り)を、10兆円(貴重な日本のマネー)を使って行ってい ます。
これも市場の餌です。1日の外為取引は、500兆円もあります。バケ ツの一滴にしかならない。1週間くらいは、ドルの追随買いが起こ って、円安・ドル高に振れるでしょう。その後、また元に戻ります。事実、そうなっています。「断固たる措置」としか答えない、現代 金融と経済の知識がない安住財務大臣をもったことを哀しみます。
安住財務大臣は、国会質問で「CDSとは何か」と、予定にないこと を聞かれ、「えー、あー、うー」と意味不明の答弁をしたことが記 録に残っています。日銀の上にも立つ財務大臣に基本の知識が、欠けています。結果は、国益(国民益)の損です。選挙の方法だけを 学んできただけだからです。これ以上は、言いますまい。 一般に言って、わが国では、金融・経済の中等教育が欠けています。
▼(2)CDSの発動を禁止した愚かさ:国債売りに拍車をかける
ギリシア債にかかったCDSは、ギリシア政府が払えず、デフォルト したときに降りる保険金です。EU当局は、このCDSの適用をしない としています。ギリシア国債は、50%カットされました(2011年10月)。額面1億円 の国債が、全部、5000万円の償還金へと減額になったということで す。こうしたことこそを「デフォルト」と言い、CDSが、減額された5000万円を保証します。
●ところが、EU当局は、「ギリシア国債の償還金の50%gへの減額 は、その国債をもつ金融機関とファンドが、自主的に、申し入れた ものである。従って、CDSの適用には当たらない」としています (2011年11月)。
●これは、「とんでもないこと」です。金融市場では、どういった 動きになるか? CDSをかけておいても保証がない。危険だから、手 持ちのPIIGS債、特に、巨額のイタリア債(総額200兆円)を、減額されないうちに売っておこうとなります。誰でもこれを行うでしょ う。 CDSの発動禁止が、イタリア債の金利が7%に上がって、10年ものの 長期国債の価格が下がった理由です。残存期間8年の国債は、金利 が3%から8%煮上がると以下のように下がります。
1兆円のイタリア国債=1兆円×(1+3%×残存期間8年)÷(1+期待 金利7%×残存期間8年)=1.24÷1.56=7948万円・・・21%の市場価値(時価)の下落(注)本来は複利計算です。ここでは、便宜 上単利で計算しています。
これがイタリア国債を200兆円もつ、フランス、ドイツ、英国の金 融機関とファンド、および個人投資家の、200兆円×21%=42兆円 の新たな損になっているはずです。短期債が30%くらいはあるでし ょうから、35兆円くらいの損でしょうか。
イタリアの金利が7%に上がって、フランスの国債の金利も上がっ た(フランス債が売られて下がった)のは、これが理由です。フラ ンスの銀行が、もっとも多く、イタリア国債を買っているからです。以上のように、国債市場では、市場が政府財政の破産を決めます。 政府があれやこれや対策を打っても、市場に見透かされるのです。
▼(3)欧州金融安定基金1兆ユーロ(105兆円)を、新興国からの資 金拠出に頼った愚かさ:ユーロ売りに拍車をかける
EU当局は、当面(たぶん機関は3ヶ月)の金融対策費として必要と 計算した1兆ユーロを、新しく作った同基金が、3%の金利の特別債 を発行して、中国を筆頭にした新興国(BRICs)に売るとしています。 BRICsからは、欧州の銀行が資金を引きあげつつあります。その上 に、 金融安定基金債を買えと言う。BRICs(ブラジル、ロシア、インド、 中国)が、今後の、一層のユーロ安で、買えば損をすることが想定 される、ユーロ建ての金融安定基金債(長期債)を買うはずもないでしょう。
このため、欧州には、金融安定化のための基金がないと見なされる ようになったのです。三重に愚策を重ねる統一政府に呆(あき)れ ます。 EUがこうした「相場を一層下げる3つの愚策」をとる理由は、本当は、裏でユーロを崩壊させ、通貨と国債の崩壊後に安価に買い占め て、その後の金融を支配することをねらう金融勢力があるのではな いか、とも感じるくらいです。相場は、「羊は太らせて、売って価 格を崩壊させ、その後に食え」です。
●結論を言えば、PIIGS債の満期償還が増える2012年1月が、まず、 ひどく危ない。これを乗り切っても、次は2012年3月、6月が危機で す。ユーロは、1月危機になると見ています。
ユーロ危機は、つぎに・・・米国債の危機、米国債の後は、日本国 債の危機の順に連動するでしょう。
2012年は、年初から、危ない。8000本のファンドと金融機関の決算 期である12月にくるかも知れません。いや、すでにこの11月が危機 か。
世界の8000本のヘッジ・ファンドは、2011年は、平均で運用総額の 10%の損としています。運用総額は、30倍近いレバレッジ(デリバ ティブの機能)で4800兆円にはなっているでしょう。480兆円×10 %=480兆円です(2011年10月:英エコノミスト誌)。
30%の損のグループ(2400本)、10%の損(2400本)、損益なし (2400本)に分布するでしょう。(標準偏差)
30%の損をしたヘッジ・ファンドへの投資家は、その預託資金(元 本)を、ヘッジ・ファンドから引きあげます。
ファンドへの投資資金の引き揚げには、普通、45日前の通告が必要 です。2011年10月15日には、8月、9月の暴落で解約申し込みが殺到 したと思えます。
その償還期が、2011年12月末です。このときは、ヘッジ・ファンド は、手持ちの証券を、売れる物から投げ売りして、現金化の必要が 出ます。これが、まず、ユーロ債の暴落を示すのです。
【後記】 EU政府の愚策と、米国の財政赤字対策の、政治的な迷走を見ている と、先進国の国債のデフォルトは、意外に、近い時期かも知れませ ん。
(私のコメント)
吉田繁治氏のメルマガは、非常に具体的に数字を挙げて説明されているから、ヨーロッパの金融危機の状況が具体的に分かります。ギリシアのソブリン危機から一気にイタリアやスペインやフランスにまで飛び火しましたが、この原因はEU当局(政府)の愚かな対策の三連発にあります。
空売りを禁止や、CDSの発動を禁止や、欧州金融安定基金1兆ユーロ(105兆円)を、新興国からの資
金拠出に頼った愚かさは、EU当局は何を考えているのでしょうか? 空売りを禁止したところで抜け穴はいくらでもあるし、CDSの発動禁止は安心して国債を持っていられなくなるから現物売りに繋がります。だからイタリアなどが7%台まで金利が急騰して国債が暴落してしまいました。
EUの当局者は金融市場の仕組みを良く知っているはずですが、デェリバティブの事になると分からないのかもしれません。安住財務大臣もCDSの事を聞かれて「アーウーアーウー」くらいのことしか答えられない。損失防止措置のためにCDSを買っていても保険の適用外にされてはたまったものではないから現物ごと投売りが出ます。
1兆ユーロの資金を新興国に出させると言うのも、EUがいかに血迷っているかがわかりますが、これではユーロは危ないと新興国はユーロを手放すでしょう。EU当局はわざとユーロを崩壊させるためにそうしているのかと思うくらいですが、ヨーロッパの金融危機に火に油を注ぐような事をしている。PIIGS諸国の国債の償還時期が12年の1月から次々と来ますが、ECBの資金は直ぐに底をつくだろう。
問題の根本は、デリバティブの中身がわからない事であり、吉田氏の記事に寄れば銀行が抱えるデリバティブの保有の強大な含み損はなかなか表には出てきません。その含み損の増加は半年で8500兆円も増えています。その中にはCDSの価格の上昇などで膨らんでいるから、CDSを引き受けたところは、リーマンショックの時のように支払い不能になりはしないだろうか?
オリンパスの飛ばしもデリバティブの損失の穴埋めに使われたのでしょうが、オリンパスのように儲かっている企業は利益で飛ばしを清算できますが、出来ないところは清算出来ずに決算書から消せても損失は残り続ける。デリバティブの損失は1264兆円にもなるそうですが、中央銀行でも手に負えないような巨額な損失だ。
デリバティブの世界はゼロサム社会だから、利益と損失は等価であり、国債が値下がりしてもCDSで儲けていると計算しても、保険の対象外としてされるとパーになってしまう。しかしデリバティブの損失は計上されずに含み損になるから、それが1264兆円にもなる。山一證券が潰れたのも飛ばしがばれたからですが、欧米の金融機関も同じ事をしているのだ。
オリンパスの事件も記事にあるように「損失は、調査のおよばない租税回避地の子会社やファンドに、本体が損失を出さないように簿価で売ったようにして飛ばされています。投資子会社との連結決算と、保有資産の時価評価は、08年9月以降、米欧の当局が「しなくてもいい」としているからです。」つまり欧米は時価会計制度を停止させている。
理由は金融機関の飛ばしがばれれば取り付け騒ぎが起きるからですが、飛ばしで決算書から隠しても何時かは決済を迫られる時が来ます。これを避けるには「唯一、これを避ける方法は、飛ばされた損になっている株価、住宅証券の価格、国債価格が同時に上がることですが、それが期待できない。」日本は20年も景気の回復を待ちましたが、株も不動産も低迷したままだ。
こうなるとPIIGS国債も持っていても危ないから売り払って現金にしてタンス預金にしておくことが一番安全な投資方法になります。しかしインフレになればユーロの現金では損するから円やドルに変えるか金に変えるかするしかない。新興国ではインフレになり先進国ではデフレになるでしょう。同じ事がアメリカでも起きれば世界金融恐慌になる。FRBがあれだけドルをばら撒いてもデリバティブの清算にはとても間に合わない金額であり、世界中の銀行は潰れるだろう。
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