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翻訳:mkaga
ゴールドマン・サックス証券が日本でどれほどの影響力を持っているか、不思議に思うかもしれない。だが皆さんの中には、次のことをご存じの方もいるだろう。
The Independentより
マリオ・モンティ氏のイタリア首相就任は、数え切れないほどの理由で注目に値する。スキャンダルをまき散らしたベルルスコーニ氏をモンティ氏に代えることで、イタリアは排除不可能だったものを排除した。選挙を経ていない専門家が作ったルールに則り、民主主義の通常のルール、ひょっとすると民主主義自体を一時的に停止させた。ゴールドマン・サックスの上級アドバイザーをヨーロッパの一国の首脳にさせたことで、この投資銀行にかつてないほどの政治的権力が与えられた。このことについて、政治的にひどく有害ではないか、と考えた方もいるだろう。
最も重要なことは、これはゴールドマン・サックス計画にとって大きな前進であり、最大の成功とすら言えるかも知れない、と言うことだ。
モンティ氏だけのことではない。公的債務ドラマのもう一人の役者、欧州中央銀行は、ゴールドマン出身者の経営に委ねられた。そしてこの投資銀行の出身者たちは、金融危機を通してアメリカでやってきたように、ほぼ全ての欧州各国で幅をきかせている。11月16日の水曜日までは、国際通貨基金(IMF)欧州部門もまたゴールドマンのアントニオ・ボルヘス氏が率いていた。個人的な理由で退職したが。
イタリア激変の以前、ゴールドマン・サックスが「吸血鬼部隊」というニックネームの汚名を濯ぐ予兆すらなかったのに、今はその触手をユーロ圏の頂点へとのばし、その影響に対して懐疑的な声が上がっている。今後数週間に下される政治的な決定が、ユーロ圏に負債を払いきれるかどうかを決める。そしてゴールドマン・サックスの利益は、その答と複雑に結びついている。
元IMFエコノミストのSimon Johnson氏はその著作「13Bankers」で、ゴールドマン・サックスなど大手銀行は金融危機の前段階で政府と非常に緊密になり、アメリカは事実上の金融寡頭制だった、と議論を展開した。Johnson氏によれば、少なくとも欧州の政治家は、アメリカのようには企業に「買収され」ていない、という。「代わりにヨーロッパで得られるのは、政府のエリートや銀行家が共有する世界観、共有するゴール、そして相互に幻想を強化し合うこと、です。」
これがゴールドマン・サックス計画だ。単純に言えば、政府をぎゅっと抱きしめることだ。どんなビジネスでも、自分たちを妨害する監督官や減税してくれる政治家への働きかけで優位に立ちたいと思うが、これはただのロビー活動ではない。ゴールドマンは政府にアドバイスをするだけでなく、融資し、公的機関に人材を送り、政府出身者の目前に儲かる仕事をぶら下げる。この計画で非常に深く人材・アイディア・金を行き来させたため、公的利益とゴールドマンの利益を分けることが難しくなってしまった。
…………
良いコネのある議員を政府から選ぶことは、計画の半分にすぎない。残りの半分は、ゴールドマン出身者を政府に送り込むことだ。モンティ氏同様、11月1日に欧州中央銀行総裁の役職を引き継いだマリオ・ドラギ氏も政府にいたこともあれば、ゴールドマン・サックスにいたこともある。世界銀行のメンバーの一人であり、かつてゴールドマン・サックスで2002年から2005年の3年間に取締役を務める前は、イタリア財務相の責任者だった。つまり、政府から一旦ゴールドマンに出て、今度はイタリアの中央銀行総裁として戻っていったワケである。
ドラギ氏は、10年前にイタリアなど数カ国がユーロ圏周辺で、無理矢理単一通貨に押し込めようとして行われた不正な経理操作、という批判につきまとわれている。複雑なデリバティブ取引によって、イタリアとギリシャは政府負債の見かけの大きさを小さく見せることが出来た。ユーロ圏では、政府負債は経済規模の60%を越えてはならないと決まっている。そのデリバティブ取引の背後にいたのが、ゴールドマン・サックスの人々だった。
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