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http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=259003
BISの、最新のデリバティブ統計から読み取れること・・
BISは、2011年11月に、デリバティブの統計数値を更新し、最新データを、11年6月としています。
8月にこのBIS統計を読んで、その解釈から、$14.2兆(1136兆円)の損失が、10年12月時点で生じ、それが現在、主に米欧の金融機関とファンドの含み損になっていると示しました。
この損の1136兆円余の損が、何らかの形で、300兆円くらいに薄められないと(それでも大きいのですが)、世界の金融機関とファンドの損から、
・世界の金融の大収縮(デ・レバレッジ=マネー・ストックの急減少)に向かい、
・流通できるお金がなくなると、
・商品と不動産の商取引が減って、実体経済の恐慌と政府財政の破産になります。
▼デリバティブの「元本」総額:BIS
総額 $598兆 $603兆 $601兆 $707兆
・外為関連 $ 50兆 $ 49兆 $ 58兆 $ 65兆
・金利関連 $433兆 $450兆 $465兆 $553兆
・株式関連 $ 6兆 $ 6兆 $ 6兆 $ 7兆
・商品関連 $ 4兆 $ 3兆 $ 3兆 $ 3兆
・CDS $ 42兆 $ 33兆 $ 30兆 $ 32兆
・その他複合$ 63兆 $ 63兆 $ 40兆 $ 46兆
(BISのデリバティブ統計から推察できるのが、金融機関の、デデリバティブの保有での巨大含み損)
上表のデリバティブの市場価値、言い換えれば価格は、
・08年12月が$35.3兆(2824兆円)でした。
・09年12月が$21.5兆(1720兆円)
・10年12月が$21.2兆(1736兆円)
・11年 6月が$19.5兆(1560兆円)に減っています(BIS)。
●(重要)リーマン・ショック直後の08年12月には、$35.3兆(2824兆円)の価値(=市場価格)があったデリバティブは、11年6月で$19.5兆(1560兆円)に減り、$15.8兆(1264兆円)も小さくなっています。
デリバティブがかかった、対象の金融資産が減ったのかというと逆で、$598兆(08年12月:4京7840兆円)から、$707兆(11年6月:5京6560兆円)と増えています。
とりわけ、2011年の1月から6月の(金融危機の)半年では、$106兆(8480兆円)も増えています。
以上が意味するのは、世界の金融機関の、デリバティブ保有による含み損の、増加です。CDSで考えると、これが分かります。
CDSの価値(市場価格)は、対象とした金融資産の価値がイタリア国債のように下がると、損を保証する保険ですから、逆に上がります。CDSの価格が上がって、かけていたファンドや銀行が利益を得ます。
しかしBIS統計では、デリバティブの対象資産は増えたのに、逆に、かかったデリバティブの価値(市場価格)は、08年12月比で、$15.8兆(1264兆円)のマイナスです。これが、多くの金融機関とファンドの、公表されるバランスシートには出ない含み損でしょう。
★ここ二年半の、この損は金額が大きすぎ、決済できないのでロールオーバーされ、オリンパスの1300億円のように、どこかとどこかの間で、限月が来ても決済されず飛ばされているはずです。
★損の金額が、$15.8兆(1264兆円)と大きすぎます。世界の政府・中央銀行では、救済資金を出すにも、出せない金額です。欧州で600兆円、米国で600兆円は隠れているはずです。
★米欧の主要な金融機関の、合計の自己資本は200兆円くらいです。その6倍の含み損がある。この1264兆円の損は、時間がいつまで経っても、とても決済ができない金額なので、デリバティブで利益が出ている金融機関も、その利益が受け取れずにつぶれます。
●(重要)デリバティブで利益を出したA銀行と、損をしたB銀行の損害は、等価です。全体はゼロサムです。しかし、どの金融機関やファンドも、利益分は待ちかねたように計上します。米欧の金融機関の利益が、公表され財務諸表では、わずか半年で回復したように見えるのは、デリバティブの利益だけを計上し、利益に見合うはずの損は飛ばすからです。
このため、デリバティブでは、レバレンジがかかった巨大損を生む株価や国債の大きな下落期に、含み損だけが残ります。この金額が、誰も言わない$15.8兆(1264兆円)と推計できるのです。
●デリバティブで上がった売買利益は、銀行やファンドの利益として3ヶ月毎に公表され、その利益に対応する損が、飛ばされているのです。
損失は、調査のおよばない租税回避地の子会社やファンドに、本体が損失を出さないように簿価で売ったようにして飛ばされています。投資子会社との連結決算と、保有資産の時価評価は、08年9月以降、米欧の当局が「しなくてもいい」としているからです。
理由は、損を公表すれば、封鎖を恐れる預金者からのとりつけにあって、銀行がつぶれるからです。ファンドも、投資金の引きあげが起こります。
同時に、経営者責任が追及され、損をした株主から代表訴訟も起こって、トップ陣の個人資産が召し上げられ、政府資金(出資)を入れるときは、株価もゼロになります。
損は損であり、どこに飛ばしても、消えることはない。利益でしか消せないのが損です。
★いずれ、決済を迫られます。そのときが、恐慌に至る可能性が高い、世界金融の危機です。唯一、これを避ける方法は、飛ばされた損になっている株価、住宅証券の価格、国債価格が同時に上がることですが、それが期待できない。
以上が、世界の金融の総元締めであるBISの、デリバティブ統計から読み取れることです。BISは、主は米欧の金融機関とファンドの、飛ばされたままの1264兆円の損を知っているはずです。
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