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2012年〜慢性疾患と正面対峙させられる(モダンエコノミー)・・資金の大量急速流入とパニック流出が同時に起こる流動性危機
http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/262.html
投稿者 尚林寺 日時 2011 年 11 月 23 日 09:52:54: JaTjL5JPya4go
 

http://blog.livedoor.jp/okane_koneta/archives/51674133.html

***欧州危機、
21世紀になって以降、この言葉の示す内容は、地理的にも内容的にも、大きく変化をしてきた。
当初は、アイスランド危機
その後、東欧危機
そして、PIIGS危機
再び、PIIGSが拡大中にもかかわらず、東欧危機が再登場
こんな推移をしてきた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜危機で倒産の分水嶺に立たされるのは銀行だが、その原因になるバブル的放漫融資を扇動するのも銀行だ。
PIIGS危機の影響で倒産の分水嶺に立たされる欧州銀行だが、欧州では、「集めるのに手間暇がかかる預金」を集める努力を省略し、「一瞬で大量に借りられる市場」から、USドル資金を調達してビジネスを拡大してきた銀行が結構多い。

「一瞬で大量に借りられる」=「一瞬で資金が脱げだす」・・と表裏一体だ。
今や資金取り入れのドアを閉められた彼らは、毎日が綱渡りのUSドルの資金繰りを強いられている。
投資家から「逃げ出し」を食らっている彼らは、黒字倒産を避けるために、高金利でも良いから借りられるだけのUSドル資金を必死にかき集めている。

だから、USドル金利が上がり続けている。
8月14日のエントリー(欧州の金融機関は大変な状態)に掲載したUSドルLIBORの金利水準と、下左の水準を比べて欲しい。

3か月金利で比べれば
8月14日:0.29%
11月20日:0.49%
と、0.2%も上昇している。

銀行ビジネスにとって、調達金利が、0.2%も上昇すると、利益が激減してしまう。
貸し出すローン金利は上昇していないので、ストレートに利ザヤが小さくなるのだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

望む金利での国債発行が不可能になったギリシアなどPIIGS諸国だが、
私は、「そもそも、望みが高過ぎる」と私は判断している。

現状は1980年代〜1990年代に戻っただけで、それが正常な姿なのだと、私は思う。
通貨を統合しても、財政政策はバラバラなのだから、金利がバラバラになるのが正常な姿だ。
放漫財政&貿易赤字の国の金利は高く、倹約財政&貿易黒字の国の金利は低い。この状態が、誰が見ても合理的な姿だ。

★その意味では、1997年〜2007年(各国の金利水準が、各国のファンダメンタルを無視して、低く収斂した)は、理想に心を奪われて、現実を見てみないフリをした無責任な時代(モダンエコノミー)だったと、後年評価されるだろう。

ギリシアなどPIIGS危機に対して、何をするべきかは見えてしまった。
日本のようなデフレ縮小均衡か、手術をして一気に処理をするか、いずれにしても痛みのある政策だ。
ユーロ採用国は民主主義国家なので、国民が判断する。選挙で判断する。

選挙期間中に「痛みの無い手法で解決する」との甘言で政権の座に就いても、新首相や新大統領の机の上には、痛みのある選択肢しか乗っていない。

政策の選択肢が消えた・・これは程度の差こそあれ、先進国に共通することだと判断している。
だから、やる/やらない、早期に着手する/いつまでも放置する・・これが各国の将来の分水嶺だろう。
今月になって、欧州危機の内容が増えた。
かつての東欧危機が再登場してきた。

7月〜8月ごろから、ポーランド、ハンガリー、チェコなど東欧通貨が売られ始めている。2006年〜2009年の東欧危機が再度表面化しつつある。
内容と原因は変わっていない。

参考として当時のエントリーを紹介する。
これらを丹念に読み返すと、現在のPIIGS危機と同様に、
1:最終的に外部の資金で救済を受けるが、
2:その数年前に危機は発生している
3:当初は「大した事ではない」とか、「自分で何とかしろ」という政治家の態度に翻弄され、事態は悪化するという状況が読み取れる。

東欧危機は、IMFの救済で鎮静化したように見えたが、現在の彼らの状況は、
A:西欧経済におんぶにだっこの存在である事は変わっていない。
B:PIIGS危機を背景に、西欧は景気が低迷しつつある
C:なら、彼らへの投資は危険だと投資家が懸念を強め
D:資金を一斉に回収し始めた。
という、流動性危機が起こり始めたと判断できる。

★ベルリンの壁の崩壊後に、安価な労働力&高い教育水準&元同胞&同じキリスト教文化圏という背景で、東欧に資金と設備投資が雪崩を打って流れ込んだ。
そして、彼らに負けじと、アイスランドやアイルランドは雇用確保を旗印に国策として税優遇などの大盤振る舞いをして、世界中の資金を呼び込んだ。
両地域とも、結果的にバブルとその崩壊という経済の大変動に直面した。

★そのような経済の大変動は、流動性の大規模急速流入(ブーム時)とパニック流出(崩壊時)と同時に起こっている。
もし、2011年後半から、流動性危機が始まっているとすれば、2回目の危機だということだ。

★拡大してきた欧州危機は、一過性のパニックというよりは、慢性疾患と考える方がよいだろう。
欧州共通債券だろうが、IMFだろうが、ECBだろうが、出来る援助を長期的に継続せざるを得ない。

なお、欧州は歴史的には一度は先進国だったわけで、アジアの新興国と比較すれば、所得水準や社会保障の水準が高い。
東欧の中産階級労働者と、アジア新興国の労働者(特に、中産階級予備軍)との競争は、世界需要を誰が担当するかの競争だ。

東欧諸国が、熾烈な競争に疲れ果て、内にこもる、保護主義に走る・・など国際的な通商が緊張する事態が2010年代いっぱい継続することも想定しておきたい。
 

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